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序章「邪神の憂鬱」
『神』
それは絶大なる力を持ったこの世の頂点。
全知全能の力で世界を管理する支配者。
その世界に住まう全ての生物は神の機嫌を常に伺い、生きる許しを請わなければならない。
だが、神の中にはそんな生物たちを玩具として弄ぶ者もある。
生物に殺し合いを強いるものや実際にその手で惨殺を行う神のことを魔神と呼ぶ。
そしてその中でも屈指の力を持つ者、"邪神"はとても退屈していた。
「はぁ…退屈じゃのう」
邪神は誰に言うわけでもなくそう呟いた。
「いくら人間を痛めつけようが殺ろしてしまおうがもうなにも感じなくなってしまったわい」
人間の腹を切り裂いて内臓を引きずり出そうが、腕を切り落としてそれを食わせようがその時に上がる悲鳴に邪神は飽き飽きしてしまった。
もっと継続的に質のいい断末魔が聞きたい。
絶望に顔を歪ませ、それでも諦めきれずにもがき足掻く無様な生物たちをワイン片手に眺めていたい。
そんな時、邪神は己の欲求を満たす新しい遊びを思いついた。思いついてしまった。
それはとても残酷で通常の思考回路とは逸脱した発想だが、それを止める者などいない。
「クフフフ。ああ、久しぶりに心の高揚を感じるぞ」
邪神が嗤う。
世界が破滅への道を歩み始める。
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