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第一章「異世界転移」
俺は見慣れない煉瓦造りのヨーロッパ風の部屋でベッドの上で天井を見つめていた。
どうして俺はここにいるのか?
俺自身理解が追いついていない。
少し情報を整理しよう。
*
__ことの発端は俺が学校に行こうと家を出た直後のことだった。
「行ってきまーす」
俺の名前は相川優磨。
近くの公立高校に通っている。
この日も学校に行こうと家を出ようと靴を履いているとリビングの方からドタドタと足音が聞こえてきた。
振り返ってみると妹の美羽(みう)が弁当を持って立っていた。
「お兄ちゃんまた弁当忘れてるよ」
そう言って若干呆れた表情をしながら弁当を手渡してくれた。
俺は脳みそに異常があるんじゃないかってぐらい物忘れが激しいから妹の存在はとても重要だった。
美羽が修学旅行で家に居なかった時なんて忘れ物だらけで反省文また書かされたからなぁ。
ありがたやありがたや。
「痛って?!」
日々の感謝の念を込めて無言で小さく拝んだら鳩尾に蹴りを入れられた。
さっき食べたパンが出そう…うっぷ。
なにするんだと抗議の目を向けると数十倍の眼圧で返された。
俺がヒッと小さな悲鳴をあげると睨むのをやめてはぁと疲れたように息を吐いた。
「私にも準備とか片付けとか色々とやることがあるんですけど?拝んできても嬉しくもなんっともないから、その忘れ癖をなんとかしてよ」
「善処します」
「はぁ…」
俺が返事を返すと美羽はさっきよりも重いため息を吐いた。
苦労をかけるとわかっているんだよ?
でも頭でわかっていてもなかなか上手くいかないんだわ。
苦労をかけるな、妹よ…。
後ろからジトーっとした視線がきてる気がするけどいつもの事だし、気にしない気にしない。
俺は自分にそう言い聞かせながらとっとと靴を履いて家を出た。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい。気をつけてよ」
これが妹との最後の会話になるとは知らずに、俺は家を出た。
「えっ?」
気づいた時にはもう手遅れだった。
家を出た先にはいつもの道路や街並みはなく、ただひたすらに白い空間が広がっていた。
光源はどこにもないのにまるで昼間のように明るい。
足元を見ると下の方も永遠と白い空間が続いていて、俺は見えない足場のようなものの上に立っているようだった。
「なんだこれ?おーい美兎ー。これな、に…は?」
俺は美兎がなんかしたのかと思い込み、後ろを振り返って絶句した。
そこにはさっき俺が出てきたはずの扉もなにもなかった。
あまりにも日現実的な現象に俺の頭はショートしかけていた。
しかし、コツコツと背後から聞こえてきた足音にハッと我に返された。
恐る恐る、ゆっくりと後ろを振り返る。
コツコツと足音を立ててこちらに歩み寄ってきたその人物は見知らぬ幼い女の子だった。
俺の胸の下ぐらいまであるその幼女はとても整った顔立ちをしていて、白銀の髪を腰の辺りまで伸ばしていた。
前髪から覗く真紅の瞳はルビーのように美しく、思わず見惚れてしまった。
けれど、その女の子が近づいてくるにつれ俺は何か嫌な予感を覚えた。
生き物としての本能が逃げろと全力で叫んでいる。
けれど、俺が動き出すよりも先に女の子が動いた。
唐突に手を前にかざしたかと思えば、俺の足元に魔法陣のような円形の何かが出現した。
「な、なにが__」
「次元魔法【ウラノス】」
俺は呑気に戸惑う暇なんて与えられなかった。
女の子が何かを言うのと同時に魔法陣が激しい光を放った。
俺の体もその光の中に飲み込まれていく。
そこで俺の意識は途切れた。
*
そして気がついたらここにいたと。
うーん。情報を整理しても意味がわからない。
まあ、理解できたこととしては俺が今どう言う状況になっているのかを知っているのはあの女の子だろうと言うことだな。
まあ、あの女の子以外に考えられないけどね。
そうなってくると今後俺はどうすればいいんだろう?
しばらく顎に手を当てて考えた。
・・・。
もう考えるのめんどくさいし、寝るか。
もしかしたら今あるこの状況は夢で、起きたら自分の部屋のベッドの上かもしれない。
それに無計画にこの部屋から出てあの子を探したところで見つかるかもわからないんだし、それならこの部屋に留まってあの子が姿を見せるまで待ってた方がいいし。
俺の健康的にも非現実的なことが連続して起こりすぎて疲れて正確な判断もできないし、ここで休憩取っても文句なんて言われないでしょうよ。
まぁ、文句なんて言おうものなら問答無用で殴るけどね。
と言うわけでおやすみなさーい☆
追記:序章もありますのでそちらもよろしければご覧ください。
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