![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82392118/rectangle_large_type_2_e6775110834bf668c7d36960fa5215df.jpeg?width=800)
第二章「旅の始まり」
俺は見知らぬ土地にいた。
その隣にはあの女の子がいて、俺と女の子は手をぎゅっと繋いでただ何もかもが無と化してしまった大地を見渡していた。
すると、唐突に地面が割れ、裂け目から白い何かが現れた。
それは俺と女の子に手を伸ばし、そして___。
「ごほっ!?」
俺の横顔に強烈な衝撃と痛みが走った。
今まで感じたことのないレベルの痛みにベッドから転げ落ちた。
受け身も取らずに落ちたものだから体中に痛みが走る。
「い、いてて…何が起こった…?」
俺は一番痛む頬を押さえながらベッドを支えにして立ち上がった。
何が起こったのか原因を探って見回してみるとベットの脇にあの女の子が立っていた…手を振り抜いたような体制で。
「おはよう」
「え?あ、お、おはよう…?」
俺と目があった途端あまりにも自然に挨拶してくるものだから思わず返してしまったけど、多分犯人この子だよね?謝罪はないの?
俺が戸惑っている間に女の子はかがみ込んでゴソゴソと何かを取り出したかと思えば俺にサンドイッチと瓶に入った飲み物を手渡してきた。
この子、見た目無表情だけど実は優しい感じのキャラかと思ったらばちばちの殴ってものいうタイプなのね。
そう俺は心の中で女の子の性格を診断しながらサンドイッチと飲み物を受け取った。
「じ、じゃあ、いただきます」
この子すごい自然体でいるけど普通に人殴るのって犯罪だからね?血が出なければセーフとか言ってきそうな雰囲気あるんだけど。これで文句言ったらまた殴られそうだから辞めておこう…
心の中でそんなことを言いながらも女の子からくる逆らいがたい無言の圧にむしゃむしゃとサンドイッチを食べ進める。うまい。
「これからやることを教えるからよく聞いて」
「んぅ?」
サンドイッチを半分ぐらい食べ終わった時、また女の子がカゴから大きな紙を取り出した。
それをベッドの上に広げてある一点を指差した。
「ここに黒雹龍たちの巣がある。ここに行ってあなたを保護するに従って必要な眷属を獲得する」
「へんほく?」
俺は聞きなれない単語だらけの話に思わず行儀悪く食べ物を口の中にもしゃもしゃしたまま問いかけてしまった。
それでも女の子は気にした様子もなくカゴから別の紙を取り出した。
「これに触って。あなたのわからないことが記してある」
そう言ってずいっと突き出された紙の表にはこの世界に来る際に見た魔法陣と似たようなひし形の魔法陣が描かれていた。えっと…。
「これ、俺読めないよ?」
「読むんじゃなくて魔法陣に触れて」
「あ、そういうことね、なるほど…」
てっきりこの魔法陣を解読しろとかそういうことかと思ったけど違うのね。
俺はちょっと気恥ずかしさを感じながら女の子の持ってる紙の魔法陣に手をかざした。
次の瞬間、体中を不思議な感覚が駆け巡ったかと思うとスルスルといろんな情報が頭の中に入ってきた。
うんうん。ふむふむ。
ほうほうなるほどね…ん?なんか情報量多くね?
俺が情報を整理して理解する速度よりも圧倒的に多い量の情報が次から次へと流れ込んでくる。
え、えーっと、これどうやって止めれるんだろ?
うーん…止まれ!
試しに止まれと念じてみても一向に止まる気配はない。
「え、ちょ、あの、そ、ソフィアさん!?これどうやって止めんの!?」
俺はあまりの情報量に意識が遠のいていくのを察し、さっき流れてきた情報の中にあった女の子の名前を呼んで助けを求めるもチラッと冷たい視線を向けてくるだけで助けてくれそうにない。
段々と視界が霞み思考が鈍ってきた。
あ、ヤバいわ。こ、これ…そろそろ、耐え、られ、な…。
俺の意識は大量の情報量に押しつぶされた。
これが俺のこの世界での旅の始まりであった。
-----------------------------------------------
*追記
序章・第一章もありますのでぜひ読んで感想をお聞かせください。
いいねの方もよろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?