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深淵の渚


ショッキングな出来事や映像は、なぜ頭から離れてくれないのだろう。


大好きだった声優が自殺してしまったとか、安倍総理の銃撃事件とか、母親の暴力や暴言とか、大切な人の遺書とか。 得体の知れない巨大魚に食べられる夢とか。

平凡な日常でふと、水の中に空気が生まれたようにぷくぷくと浮上し、パッと水面で弾けて私をハッとさせる。空を見上げていた目線が、一瞬で真っ暗な水底に引き戻される。

深く深く、その先に光は届かない。決して引き揚げられる事のないものたちが沈んでいる。



私は2年ほどSkyというゲームをプレイしている。何度かサムネにしている画像はそのゲーム内で撮った写真だ。プロフィール画像もゲーム内での、私の姿だ。

今回のサムネもこの記事を書く時に重要な場所として撮った。私はここ1ヶ月ほぼ毎日のように、寝る前にサムネにしている場所に行って風鈴のアイテムを置いて寝ている。

蛇口から水がポタポタと落ちるような音と、時折吹く風が風鈴をコロコロと鳴らして耳が心地よい。

Skyには約2ヶ月ごとに季節(シーズン)があり、季節テーマに沿ったエリアが公開され、その季節限定のアイテムやエモーションなどが開放される。

現在は『ならいの季節』で17番目。私が今回話すのは12番目の『深淵の季節』の話である。(季節が始まった1月頃は、Skyから離れてる時期だったのでクエストをしっかりやったのは4月の初め頃だ)

海に飛び込むと、光が差し込む幻想的な海底都市が広がる。最も深い場所にある大きな扉。その先にあるのは幸福かそれとも…


やっぱり怖い。初めてこの季節のストーリーをやった時は、内容の恐ろしさがとても脳裏に焼き付いてしまってよく眠れなかった。

不穏な警報音が鳴り響いて画面が赤くなるだけでも凄く怖かったのに、次のクエストでは自分たちがあんな展開になるなんて思わなかった。

砲手さん

その後のエンディングは目を見張るほどの美しいもので、結果的に仲間と再会できた展開はうるっとして感動した。でも最後のクエストで流れたあの映像がショッキング過ぎて、毎日のように深淵のエリアに行き、ネットで考察を漁りまくった。

あの映像をどうやって処理し、自分の心に受け入れることが出来るだろうとその事を必死に考えていた。

結果として、1ヶ月たった今でもよく分からないまま今日も深淵のエリアで寝ようとしている。

何も知らなければ、波の立たない穏やかな水面が、風のせせらぎと共に揺れる少し殺風景で長閑な場所だ。全てを知った後に見るこの場所は、違った意味を漂わせている。

 

ここまで書いていたのが2023.5.3の事。2023.12.3に加筆するが、私はまだあの場所で寝ている。

Skyにはたくさんのエリアがあり、寝落ちスポットも色々あるが、深淵の季節エリアはクエストクリア後に獲得出来るアイテムは殆どなく、地上は殺風景で寝落ちには不向きなので、わざわざ訪れる人は少ない。

海底都市がある唯一のエリアなので、潜りに来る人はいるが私は海の中より何もない地上が好き。何もないわけではなく、昔はそこに人々の暮らしと文明があった。

そこでは生き物を必要以上に捕獲し、都合のいいように利用していた。いつでも搾取できるように狭い水槽に閉じ込めていた。

資源が枯渇した人々は更に大きな利益を得ようと、神に近い存在を扉の奥に閉じ込めてしまった。
その生き物たちの天罰が下って、街ごと海に沈んでしまった。というのが私の解釈だ。


メッセージ性の強い季節だったな、と思う。解釈を飲み込んだ上で、私は何もない地上で寝るのが好き。この土地の砂を踏んで、水に羽を濡らして、横になって持参した風鈴を置いて眠りにつく時は心が休まる。

この下にはかつての暮らしてた誰かの夢や希望が沈んでいるんだと思うとワクワクするし、それを奪った巨大な生物が海底都市の奥深くで泳いでいることを思い返すとゾクゾクする。

人々からしたら悲惨な結末だったかもしれないけれど、閉じ込められた生き物たちからしたら幸福な結末だったかもしれない。


Skyって楽しい。こういうことを考えてゲームとして遊べるのがいい。この先もプレイしていきたいな。

ということでSkyユーザーの皆様、秘宝の環礁の地上洞窟で朝〜夕方にかけて寝てる人がいたら90%私だと思ってください。それでは今日もおやすみなさい。sweet dream.

だいたいここか入口の洞窟で寝る

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