2.5次元舞台の新しい可能性を見た話~刀剣乱舞から仮面ライダー斬月、サイコパスへ~


いま大きな盛り上がりをみせている2.5次元舞台。改めて、その魅力とは?と聞かれたとき、どんなことを思い浮かべるだろうか?



「2.5次元舞台の特徴」が語られるとき、よく挙げられる言葉がこれだ。

「原作から飛び出してきたような世界」

たとえばキャラクターを忠実に再現した役者たちのビジュアルや演技(しばしば声を声優さんに寄せることもある)。たとえば細かいところまでこだわった衣装や武器などの小道具。これらは2.5次元の大きな魅力のひとつで、当然これらを重視するファンも多い。新しい演目が発表されたとき、「キャラの再現度の高さ」は必ず話題になる。
ストーリーについても、舞台ではあまり原作を改変しないことが多い。オリジナル展開やオリジナルキャラクターが入れ込まれることはあまりなく、「原作に忠実な物語」が喜ばれがちだ。そのため、長編漫画などを原作に持つ作品はしばしばシリーズ化されている。

漫画やゲームの世界が目の前に広がっている。画面で見たあのキャラクターが、見ていた通りに目の前で動いている。
その驚きと喜びはとてつもなく大きい。そういった魅力を求めて劇場に通う観客は多い。かくいう私もそうだ。

けれど。

ここ最近、2.5次元舞台は「原作に忠実」な「2次元原作の舞台化」という枠を飛び出しはじめているのではと思っている。
これまで観てきたいくつかの作品を挙げつつ、個人的に感じている2.5次元の最近の変化について語ってみたい。

①ミュージカル&舞台「刀剣乱舞」

2.5次元舞台に触れているひとならきっと誰もが知っている、言わずと知れた超人気コンテンツ。チケットの取れなさに何度泣いたことか…!
以前にも言及したことがあったけれど、この作品の大きな特徴は「オリジナルストーリーであること」だと思う。原作ゲームに明確なストーリーがないため、ミュージカルでも舞台でも、つねに全く新しい物語が繰り広げられている(舞台では刀剣のオリジナルキャラクターも登場した)。
登場キャラは300%の再現度と完成度を誇り、しかし物語はオリジナル。
ここに、今までの2.5次元作品とは異なる流れを見たように思う。
そしてそれは、ご存じのとおり大変な熱狂をもって受け入れられた。

私の知る中では、同じくゲームを原作とする「戦国BASARA」も、キャラクターは忠実に原作を再現し、物語の方はオリジナルストーリーで上演されている。刀ミュ・刀ステの立ち上げと前後して「斬劇 戦国BASARA」と名を変えてからは特にオリジナルストーリーであることを前面に押し出してきているので、やはりこの時期(2016年前後)に新しい潮流ができたように感じている。

②舞台「仮面ライダー斬月-鎧武外伝-」

そして次にご紹介するのがこちら。仮面ライダーシリーズ初の演劇化と銘打って、2019年春に上演された作品だ。
鎧武外伝の名のとおり、こちらも「原作ドラマ(仮面ライダー鎧武)の後日譚&前日譚」という形で完全新作オリジナルストーリーが繰り広げられるのだが、先の刀剣乱舞と異なるのが「舞台の登場人物の中で、原作キャラは主人公1人のみ」という点だ。あとの登場人物は全員舞台オリジナルのキャラクターである。
字面だけ追うと、①からまた一歩、「原作に忠実」の枠から離れたように思える。しかし実際はまったく違った。作品独特の世界観を丁寧に再現すれば、大部分のキャラクターや物語は新規でも原作の世界がありありと広がるのだ、ということを見せてくれた舞台であったのだ。
オリジナルストーリーでも良い。オリジナルキャラクターがいても良い。「原作に忠実」の定義がまた少し広がったようにみえた。

私自身は観劇できていないのだが、同じく特撮原作の「牙狼」の舞台化作品も、登場人物の大半をオリジナルキャラクターとしてオリジナルストーリーを上演したと聞いている。少しずつ少しずつ、2.5次元作品の枠は広がってきたように思う。

③舞台「サイコパス Virtue and Vice」

そして舞台斬月の閉幕からほどなくして始まったのが、アニメを原作とする「サイコパス」。ここでは、②からさらにもう一歩踏み込んだ試みがなされた。
物語は舞台斬月と同様にスピンオフという位置づけのオリジナルストーリーだが、さらに登場人物は「全員」オリジナルキャラクター。原作アニメの登場人物は一部の声の出演のみなのだ。
原作と同じ世界で、オリジナルキャラクターたちが繰り広げるオリジナルストーリー。当然、キャラクターの再現も、アニメのコマの再現もない。限りなく一般のストリートプレイに近い。それでも、観たひとならばわかると思うが、この舞台はサイコパスそのものであったし、確かに2.5次元舞台の系譜の上にあった。「世界観の共有」がこんなにも大きな力をもつのだと、思い知らされた気がした。


そう、この3つの作品に共通するのは、「世界観の共有」というキーワードであると思う。
「"原作"を忠実に再現した舞台」。ここでいう"原作"とは、これまではキャラのことであり、ストーリーのことであった。それが、近年のこれらの作品では舞台設定や世界観のことに変わってきている。①②③と観劇を重ねて、”原作”の枠が顕著に広がってきているように感じている。

これまで2.5次元の広がりといえば、より広いジャンルの作品の舞台化という方向に向かっているようにみえていた中で、こういった流れは新しい道であるように思う。少なくとも私は、2.5次元に新しい可能性をみた気がしてとても高揚したのだ。
こうして演目がますます多様化していくことによって、この大好きな世界がどんどん大きくなり、息の長いジャンルに成長していきますようにと、心から願う。



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好きなことの話ばっかりしていたい。
コメント (2)
オリジナルの刀剣男士が登場したのは舞台ではなく実写映画です。
まお様
コメントありがとうございます。「刀剣のオリジナルキャラクター」は、悲伝に登場する時鳥を意図して書いていました。"刀剣男士"ですと確かに映画版ですね。
ストーリーの核心に触れることを避けるため、わかりづらい表現になってしまい申し訳ありません。読んでくださりありがとうございました。
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