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愛(アイ)って名前は海外でも覚えてもらいやすくて便利、ではあるんだけど…

愛、は私の本名です。
ハンドルの prami (ぷらみ) は、ロジバンという人工言語で「愛」を意味する単語。

このハンドルを除き、生まれてこの方、あだ名や別称を持っていた記憶がありません。
もとの名前が十分短く呼びやすいせいか、子供の頃もずーっと「愛ちゃん」でした。

そして今、海外暮らし。

現地の方にも、ボランティアや仕事でここに来ている様々な国の人達にも、一発で名前は覚えてもらえました。
どの言語にもまず間違いなくある母音の、ごくシンプルな組み合わせ(というかほとんどの言語では『二重母音1つ』と認識されていると思う)。
「愛」の概念も大半の文化にあるから、由来の説明も一瞬、かつインパクト大。「へー、素敵な名前!」「かわいい!」、そういったリアクションは素直に嬉しいと思いつつも…
例えばヤスコさんが日本人からはヤッちゃん、カンボジア人からはスーコ、英語圏の人からはスー、そのように自然に愛称をもらっていること、心の底では羨ましいと感じていたみたいです。
みたいです、なんて今更そんな発見をしたのは、先日

人生で初めてあだ名付けられて超嬉しかった

からです。
その名も "Skipper (スキッパー)"。英語(*1)で船長とか指揮官といった意味で、たまにおどけて Captain と呼ばれることもあります。
由来は音から。軍隊で指揮官に対し Yes として使われる「アイ、アイ (Eye, eye)」から、オーストラリア人の友人が付けてくれました。洋画をよく観る方は、「アイアイサー! (Eye eye, sir.)」と言って敬礼するシーンなどに覚えがあるかもしれませんね。

*1: もしかしたらオーストラリア英語かもしれません。軍隊以外にも「サッカーチームのキャプテン、みたいな時にも使うよ」と説明されたのですが、カナダの人からは最初「Skipper?ってどういう意味?」と聞かれました。でもイギリス人のおじいちゃんは普通に知ってたな… どうなんだろ。

そして。わざわざ音節数を増やしてまでこんなあだ名がついた理由。

覚えやすいけどややこしい、"Ai"

発音がシンプルなだけに、しょっちゅう「色々な言語の基本語彙とカブる」んです、Ai って。

・韓国語 아이 - 「子供」。私は背が低いので、韓国の人に名乗った際「なるほど、아이w」みたいな反応もしばしば。

・簡体中文 爱 - 日本語と同じく「愛」。たまにメールなどで「愛」だけ日本の漢字にすることがあります。「ここだけ中国語じゃないよ?」と言われた後、「だって、愛には心がなきゃ」と返すとちょっとウケる。(人によっては母語を馬鹿にされたと感じるかもしれないので、相手は選びますが。)

このあたりはまだ良いとして、

・クメール語(カンボジア語)អី - 疑問詞「何 (what)」。クメール語は平叙文と疑問文で語順が変わらないので、「私の名前はアイです」は、もうそのまま「私の名前は何?」。
 街の生活用品店の息子さん (幼稚園児くらい) と仲良くなり、名前を聞かれて答えた時の「このおばちゃん大丈夫か…?」みたいな表情、今でも忘れない (*2)。

そして、勘の良い方はもうお気づきだと思いますが、

・英語 I - 一人称「私」

これが今のところ最も厄介。友達と会うのは夕食の席が多く、話題はもっぱら今日あったこと (過去形)、次の休みの旅行先 (未来形)… 三単現で区別できる場面などほとんどない。
昔は「呼ばれた気がして振り返ったら I でした」程度だったのですが、今は「基本的に I だと思っているので、本当に呼ばれていてもスルーしてしまう」という、より不便な事態に陥っており。
私のいない所で私の話が出た時にもしょっちゅう混乱を招いていたらしく、いよいよこれはニックネームが必要だぞ、と、前述の友人が一生懸命考えてくれたのでした。

*2: 幸いクメール語では、人名の、いわゆるアクセントは後ろに来ます(フランスの統治下にあった時代の名残だと思う)。だいぶ大げさに「ア、イー↑」と発音する&してもらうことで、とりあえず混乱を回避しております。

日本語ネイティブ以外の人と交流が増えそうなときは、名前を覚えてもらうための「小ネタ」を考えておくと便利

人生初のあだ名に自分でも予想外なほど気分が弾んでしまい、正直なところそのテンションだけでこのノートを書いているわけですが。
Web で公開するからにはパブリックな口実も欲しい気がするので、最後にこんな節を設けてみました。
なのでちょっと話が飛びます。

日本語を母語としない人が多いコミュニティにおいて名前をすんなり覚えてもらえるかどうかは、最初に名乗った時にほとんど決まる気がします。
もちろん名前自体が短くて発音しやすいのは有利なのですが、必要とあらば韓国や香港・台湾の人みたいに、しっくりくる別名を自分で考えてしまえば良いわけで。

そこにちょっとしたエピソードや小ネタを一言加えて、相手の印象にさっと残るようにする。

鉄板なのは
「名前は○○です。(相手の母語)では□□という意味です」
ですね。
必要に応じて「(長いので) xxと呼んでください」を加える。
□□は何も厳密な翻訳である必要はなく、むしろポジティブな印象付けを優先してアレンジした方が良いと思います。
今までに見た例 (英語) だと、ダンスの得意な「遊 (ゆう)」ちゃんは "Playful and Cheerful" と説明して「ピッタリ!」と言われていましたし、「優 (まさる)」さんの自己紹介は「"Gentleman" って意味です、その通りに育ちました」「(聴き手笑う)」がいつもの流れ。
「総一郎」くんは、「『ソウイチロー』こと『野球したことないイチロー』」。

漢字 (一部だけでも) の意味、似た名前の有名人、由来… 種は何であれさくっと言える短い文に落とし込んでおくと、思った以上に活躍してくれるはずです。

私はとりあえず Ai で名乗っておいて、しばらくして英語圏の人などから「ちょっとややこしいね」と言われた時に Skipper の話をするようになりました。由来を聞かれた時は、本当の説明の前に「学生のころサボり魔 (class-skipper) だったから…」と入れたりもします。
初対面の人に名乗るのって一瞬かつ基本的に一回きりですが、だからこそ大事。定番のフレーズ探し、やってみると結構楽しいですよ。

余談

軍曹だった時もありました。


よい一日を、お過ごしください(*^▽^*)