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「花束みたいな恋をした」について語らないという語り

Twitterを開いても、clubhouseを開いても、インスタを開いても、目に止まる『花束みたいな恋をした』の文字。

見たよ。そりゃぁ。
『カルテット』も『最高の離婚』も『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』も、『東京ラブストーリー』も3回は繰り返して見たし、舞台『またここか。』で坂元さんにサインをもらうとき震えてお金落としたくらいは坂元裕二が好きだから、見るよ。

まだ1人で座ってもいられない5ヶ月の娘の夫に押しつけて、朝8時の回に駆け込むくらい見たかったよ。

好きか嫌いかしか答えがない世界だったら好きと答えるけど、たぶん私は「好きな映画は?」って聞かれても、この映画の名前は挙げない。

なんなら「ほぼ私じゃん」って思ったけど、私はこの映画については語らないことにした。

ユリイカも隅々まで読んだし、『脚本家 坂元裕二』も読み返したし、テレビ、ラジオで目についた番宣や解説番組はチェックしたし、映画鑑賞直前後はclubhouse、note、Twitterで目につくものは読んだり聞いたけど、語ったりはしない。

「好きなら好きでいいじゃん」「めんどくさっ…」って『最高の離婚』の結夏と灯里に言われたとしても。
「素直じゃないなぁ」ってスズメちゃんにニタニタ言われ、巻真紀さんに「語りたいくせに」って小声で言われても。
ナマケモノさんに「語ろうよぉ」と言われても、烏森さんがとっておきのワイン開けてくれると言っても語らないことにしたのです。
『花束みたいな恋をした』については語らないっていう教習所卒業したんで。

わざわざ友だちに連絡して「語らないから」ってLINEして、「こぼれてますね。自粛解禁になったら飲みに行きましょう」ってお誘い来たけど、語らないよ。我慢我慢。

映画館出てすぐファミレスでハンバーグ食べて、ノベライズポチって、帰ってすぐ今村夏子さんの『こちらあみ子』を本棚から引っ張り出して『ピクニック』読んで、攻殻機動隊とストレンジャーシングス見て、『mother』と『woman』のためにHulu入ったりもしたけど、心の中に留めて、留めて。ニタニタして。

この映画の話が出たとき、同じように居心地悪そうにしてる人を見つけて、目配せをして、(わかります)と心の中でつぶやいて、
帰りの靴箱でジャックパーセルを履く瞬間に再び視線で「はい。」と言って、
2人でみんなの輪を抜け出して缶ビール飲みながら甲州街道歩くくらいのシチュエーションにならない限り、語らないって決めたんです。


たぶん、麦くんと絹ちゃんがこの映画を観たら、今のこの盛り上がりの中ではきっと語らないんじゃないかなとわかってしまうくらいには、この映画好きだったりします。

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