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10年くらい前に見た夢

10年くらい前の夢を思い出した。
寝ながら見る夢じゃなくて、眠らない夜に語り合う方の夢。

その夢は雑炊屋さん。正確には鍋のあとの雑炊屋さん。
 

***

友だちのひとりがクリスマス付近が誕生日で、毎年有馬記念を見ながら誕生日と忘年と有馬記念をした。
冬だから自然と鍋をやって、昼から飲んでるけど、最後の締めまでつい食べてしまって。

鍋って締めの雑炊が一番うまいよね。
雑炊のための鍋だよね。

ってなったってだけの話なんだけど。

そこからは、冬のうちに雑炊のための鍋とは?を探しにいろんな鍋を食べに行ったり、作ったりしては、雑炊って結局おいしいねって確信するというのを繰り返して。

一度、雑炊専門店というものを見つけて、研究に行ったけど、そこは「雑炊」専門店で、「鍋のあとの雑炊」ではなかった。

で、また誰かの家に集まって、その子の家にある適当な具材で適当な鍋を作って、そのあとに雑炊を食べるとやっぱりおいしい。これだって。

やっぱり「鍋のあと」であることが大事なんだね。
「鍋のあとの雑炊」って響きがいいよね。
お店やれないかなぁ。
鍋のあとの雑炊屋さん。すごくいいよね。
具材は毎回違くても確実においしいから「今日の鍋の雑炊」って日替わりにしちゃえばいいね。
食べて初めて「今日の鍋」がわかる感じも楽しいね。
「あれ?おかみさん、今日の鍋は魚介の出汁が効いてるね」「そうなの、ホタテが入ってるのよ」なんてね。
少し具材の残りが入ってるのが鍋のあと感出ない?
鱈のかけら入ってた!ラッキーって。
賄いで雑炊の前の鍋食べればいいんじゃん?
もしかしたら昼はランチやって、夜はそのあまり具材で「今日の鍋の雑炊」を出す二毛作もできるかも。
カウンターがいいよね。
飲んだ帰り、仕事帰りに1人でふらっと入って1人分の鍋の雑炊が出てくる感じだね。
オーダー入ってから卵割ってね。
お酒も少しは置きたいね。雑炊は締めだから用意する酒は、ジョッキの生ビールじゃないね。
熱燗か焼酎のお湯割かな。だし割とかも渋いね。
鍋のあとの雑炊って普段1人だと食べれないから贅沢だよね。
1人暮らしが羨ましくなるやつ。
食べられるようにローソンとかで出せないかな。
あー、そこはローソンだね。セブンじゃない気がする。
「鍋のあとの雑炊」って商品名いいよね。
どっかに商品化できる人いないかな?
ちょっと声大きめで話してたらさ、ローソンの商品開発の人とかパトロンのおじさんがさ、「そのアイデアくれませんか?」ってならないかな。

と、ちょっといつもより声を大きくして夢を語り合った。
たしか3年か4年くらいの間、冬になるたびにその夢は見てたなぁ。

ちょっと前から有馬記念は一緒に見なくなっちゃったし、みんな揃うこともなくなっちゃって。
誰かの家で昼から飲んで途中なんとなくa-nationとか見て、そろそろ雑炊のための鍋するかって鍋して雑炊食べて「やっぱり鍋のあとの雑炊だよ」って確認して、夢のディテール作りをすることもなくなっちゃったけど。

家で鍋を食べるたびに思い出して、鍋を食べるたび話して、雑炊を食べるたびに「やっぱり鍋のあとの雑炊が一番だよね。雑炊のための鍋だよ」って話してる。

鍋のあとの雑炊のおいしさは変わらないから、この話をするときは少しだけ声を大きくしてビジネスチャンスを狙ってる。

みんな「鍋のあとの雑炊」食べてるかなあって、たまに連絡したりしてさ。
この冬もちゃんと鍋のあとの雑炊はおいしかったよって。

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