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カルチャーつまみ食い

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本、映画、ドラマ、漫画、音楽など、つまみ食いしたカルチャーの記録です。
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2019年2月の記事一覧

でくの坊だから見えるもの『イーハトーボの劇列車』

 わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃ももいろのうつくしい朝の日光をのむことができます。(『注文の多い料理店』序文より) 劇団こまつ座の『イーハトーボの劇列車』を観ました。 宮沢賢治。彼が夢見た世界の一部を垣間見ることで、気づいたいくつかのこと。 *** 今、私の気持ちは研ぎ澄まされたものに向かっているようです。 ピュアで、まっすぐで、切実で。 足元にあり、自分の周りにまとわりつき、そして、骨肉になっているものに気持ちが

「役に立つかどうか」よりも惹き寄せられるもの。『哲学的な何か、あと数学とか』を読んで

SF冒険活劇のような科学に対して、数学はハードボイルドなヤンキースポ根ドラマのよう。 数学という役に立たないもの時間を費やす、なんとも救いがたく愛おしい情熱といったら! 中学、高校と私は数学が好きでした。 答えが必ず出るから。答えがあるとわかっていたから。 どんなに悩んでも、答えは必ず出るから難しい問題ほどうれしかったのを覚えている。 だけど、それは先人たちの答えがあるかどうかを探す壮絶な戦いがあった上に成り立っていたということか。 しかも、その答えのあるかな

めんどくさくて愛おしい世界。『哲学的な何か、あと科学とか』を読んで思ったこと

科学って、ちょっぴりめんどくさくて、まっすぐで、複雑なのに単純で、なんか愛おしい。 小さな世界を表現する言葉を宇宙の解明にも用いる、唯一無二の答えを探す科学。 そして、その説明はシンプルで美しく。 目に見えないものを見ようと追究するの世界は、ストイックで厳かな世界だと思っていた。 だけど、そこにはツッコミどころ満載なツジツマ合わせがあり、うっかりがあり、迷走や冒険があり、ひらめきがあり、まっいっかというかわいらしい一面があるようだ。 なんと愛おしい世界!