陽光(ひかり)

べつに、待っていたところで、爆発的ななにかが起こるわけではないことを知った。いろいろ試してきたけれど、それは浮き沈みを繰り返して、波のたゆたうように、結局はどこへも引き連れないことを知った。この船はとても重くここに定住したがっているかのようだ。船を降りて、じぶんで泳ぎだそうか。多分、船が動くのを待ってはいられない。ただ内なるものと静けさを、海の中に潜って、無重力とともに感じるのだ。アクアの世界。地上から、降り立つ。こころの中やからだの内はきっとプラネタリウムやアクアリウムだ。もといた場所に帰るように、わたしは舵を捨てて、船の底から抜け出そう。

それでもいろんなことに挑戦するのは性分だからやめられないのだろうけれど、ここでコンフリクトが起こるね。やっぱりわたしは、衝突しあったあとに生まれるミゾや海の台風にのまれる方がはやいのかもしれない。

だいじょうぶ、ひとつに繋がるときが、きっと君にもくるよ。とりあえずなんで生きているのか自身にはまったく分からないけれど、みぞおち辺りにある黒いコアを愛でることにした。人はこういう時に後悔するのかもしれない「もっとああしておけばよかった」だとか「もっとありのままに」「自分の人生を生きれば」ext...などというのだ。だからといって見切り発車はできない。大きな選択を先延ばしにする、ごまかすために、わたしはきっと小さなことで行ったり来たりを繰り返しているのだ。でも良い予行練習にはなってるかもしれない。そもそも旅を目的にしてしまえば、そんな過ちも迷いも、砂の上の城になる。そういうものだから、と...。目と鼻の先に新しい場所があるから、人は今いる場所をバイバイできるのだろう、貝のように生きる。いつかじぶんにとっておきの貝殻をつくったら、それは音楽に満ち溢れていてどこまでもどこまでも、届くのだろう。わたしの代わりに、旅ができるように...。

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