生きた壁をもつ学校〜マドリードのレッジョエミリア・スクール
現在、わが子が通う小学校が75年?80年?ぶりの改修工事を迎えようとしています。PTAの役割として、皆の要望を聞いて、できる範囲で市に届ける… という活動をしているのですが、今日、The Guardianである記事を見て、自分の力不足に愕然としました。
スペインのマドリードに、レッジョエミリアの学校ができたのだけれど、その建築がすごいのです。設計は、スペインの建築家アンドレス・ジャケ。
生徒たち(2歳から18歳までの500人!)と先生方の要望を聞きながら、2年にわたる共同作業(手すりの色について20時間に及ぶミーティングを含む!)を行い、資材についても熱心なリサーチを重ねた末にできた学校だそうです。
Rainforest? Turn left after the drawbridge! Inside Madrid’s eye-popping living school
建物内部の写真もぜひ、記事を見てみてください。
以下、 The Guardian の記事、概要だけババっと意訳しました。
「決して完成したと感じさせない建築」…! ガウディか。
さて、この学校が採用しているレッジョ・エミリアという教育法には、「子どもたちを学習で満たされる空っぽの器とみなすのではなく、自分たちの学びについて自分たちで決める積極的な参加者とみなすという原則」があります。
答えあるものを「教える」というより、生徒、教師、保護者が互いに発見の冒険を繰り広げながら、「好奇心を刺激すること」に軸を置いた学びの場。ここで大事なのは、物理的な環境も「第3の教師」として想定され、環境と人の相互作用、自由な探求、屋外とのつながりを促すようなスペースが構成されていること!
樹木の表面のように、命に満ちた、生きている壁!
なんて素敵な学び舎なんでしょう。
さらにすっごいのは、3階に小さな温帯雨林の植物園があり、研究室や工房に出入りできるようになっていること。授業から抜け出して、緑豊かな広場とそこにいる昆虫を目の前に遊ぶことができる空間…。植物博士や昆虫博士が産まれそう!
しかも、この温室部分は、冬は教室を温めて、夏は半透明の樽型吹き抜け屋根の換気ハッチで涼しくなるのですって。
もちろん、学校に無限にお金があるわけもなく、経費削減のためのあらゆる工夫もなされています。まず、構造がむき出しなのはデフォルト。でも単純な節約ではなく、ホイルに包まれたダクトやパイプ、陽気な色に塗られた壁、遊び心のある工業的なブリコラージュで組み立てられたパイプなど、なんとも芸術的に仕上がっているのが素敵です。
はああ、楽しい。写真を見ているだけでも楽しいこんな場所にいたら、毎日通うのがワクワクするだろうなー。
子どもたちの意見も踏まえてこれを実現した先生方の遊び心と勇気、そしてそこに低予算でも乗っかる建築家の心意気が素敵すぎて、ため息が出ます。みんなで学校の「普通」を問い直すプロセスそのものの中にも、きっとたくさんの学びがあっただろうなー。
羨ましがってばかりもいられません。
私の目の前にある公立小学校も改修工事を迎えようとしているわけで…
さて、自分たちにできることはなんだろう。
公立校だし、長寿命化工事で構造自体は変えられないし、設計者も気鋭のデザイナーではないかもしれないけれど、地元の仲間たちや先生方、子どもたちと、もっともっと話すところから始めてみようかな。
市の担当の方も、他にもたくさんの仕事を抱えながら、最善を尽くそうとしてくれているのだから、「市はどんな学校にするんだろう」とただお任せするのではなくて、「どんな学校をみんなで作ろうか」にできたら、まずは一歩前進。
対話と参加のプロセス自体に、きっと意味があるはずだもんね。
明日も、がんばろ。
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