CCA PLA13雑語りレビュー[KZ/CCA初の平面駆動だってさ]
世はまさに、大平面駆動時代。
汎用的に仕入れられる廉価なイヤホン用平面駆動ドライバが市場に出回るようになり、幾多の中華イヤホンブランドが唐突に示し合わせたかのように15kから20k辺りの価格帯に平面駆動イヤホンを大量投入しているここ数ヶ月。
あの価格破壊の雄KZがこの流れを見逃す筈もなく、少し出遅れつつもブームに乗っかってやってきた。やってきたのだ。
それも独自開発を謳うドライバを搭載し、なんなら独自性の面で他ブランドに差をつけてくるとなれば話題性十分……
とはならなかった。
2022年、KZの勢いと存在感は信じられないほどに弱りきっていた。
なんやかんや炎上したり競争の中で価格的優位性を失ったりで実際、KZは既に歴史的経緯を度外視すれば唯一無二の存在では無くなっていた。
しかしそれでも、それでもKZが新ドライバに手を付けるというのは、中華低価格イヤホン界隈にとっては絶大な意味を持つのであった。なんやかんやで我々はKZが好きなのである。幾度となく夢を見せてくれた、愛すべき馬鹿野郎共が。
そして今回は競合、特に代表格のTRNが17k辺りの価格帯に居る中でKZ/CCAは9kと圧倒的に価格的にも有利。かつての価格破壊の王者の貫禄が老いて弛んだ瞼の裏から覗くようである。
なんてしょうもない前置きはこれくらいにして、要するにこれまで中華低価格イヤホン界隈を牽引してきたKZが初めて平面駆動機に手を付けたのにまだレビューがあんまり出回っていないのが気に食わないので書くぞって話です。
睡眠不足状態で雑に書くのであしからず。とか言ったら書いてる途中でしっかり寝落ちたので途中から目の覚めている文章が混ざる。もっと上手いのが読みたかったらばい○にか先生かふ○みかん先生辺りが書くのを待った方がよい。あとついでに画像も撮るのめんどくて乗っけないから商品ページでも開いて複窓で見るとかしてほしい。だるい。
商品ページはAmazonはこっち、Aliexpressはこっち。Amazonも今のところ中国発送なので安いAliexpressの方をおすすめしたい。
音質以外の諸々
パッケージは最近のKZのちっせぇ奴。こんな歴史的意義さえ感じられるモデルでありながらZSX辺りの頃の調子に乗った金属プレートはもう何処にも居ないのが少し寂しく感じる。
付属ケーブルはいつもの銀メッキ。今回はあんまり推奨できない。多分もうちょっと太めだったり、芯数が多かったりする銀メッキが合うと思う。私は取り敢えずNiceHCK Bluedayを付けておいた。
付属イヤピはいつものフジツボみたいな形のやつ。素材が柔らかく肉厚なせいか低域以外が全体に角を失って丸くなるので今回は案の定相性が良くない。暫定で癖がなく扱いやすいSednaEarfit Lightを付けて語ることにする。
ハウジング形状はごく普通のいつものKZっぽい。イヤピが合えば装着難の発生しやすい私でもしっかり使える、オーソドックスサイコー。
背面や上部に半開放な雰囲気のメッシュが見えるが、ステムを指で塞いだ時に漏れ聞こえる音量とステムとここを同時に指で塞いだ時の音量の違いがあまり無く感じたので、実際これが本当に見た目通りに開通してるのかは正直私には判断しかねる。
全体的なデザインはG-Shockみたいでなんか中学生が喜びそうだが、中学生がこれを活かせる環境や楽曲の趣味を持っているかは若干不安だ。
音質周り
まず一言で大雑把に言ってしまうなら、KZの良くも悪くも不器用な所とサブベース至上主義を感じて安心する音色。思い出せ、こいつらは高級オーディオブランドではない。インテリ脳筋バカの群れだ。
ZAXのような超マルチドライバに挑戦してきた機種の系譜を継ぐようなラインナップ上の位置づけを感じさせるが、サウンドバランスはEDXの系譜の方が近いような印象を受ける。のでもしかしたらそのうち上にBAかMSTの乗った完成版が出るかもしれない。そう、この子はちょっと不完全だ。
付属ケーブルだと曇り感があるのでさっさとケーブルは変えよう。イヤーピース、お前もだ。
音量はいつものKZよりかなり取りづらい。倍くらいまでボリュームをぐいーーーーっと引っ張ってやってもいいまである。
音場感が特に横に広く、低域を中心とした沈み込みが点ではなく面で沈むような印象がある。これが平面駆動の特性なのだろうか?(注記:投稿者は平面駆動に今回初めて触れる)
全体にいつものKZハイブリッドのようなハイレゾ主義、解像感を優先した傾向ではなく、音数の多く高分離な音色で鳴らす前提のいつものKZが得意とするタイプの電子音楽の音数では置いていかれてしまっている印象が強い。
というか、KZホンでは珍しいほどに分離しない。
恐らく現状ではまだ鳴らし込みが足りていないので、この後何百時間と使っていくうちに印象が変わる可能性が高い事には留意していただきたい。
低域が七割くらいなんじゃないか?という程に音量が偏っているが、振幅感はいつものKZより丁寧な印象を受ける。音量としてはいつもの狂気的バスヘッドのそれのはずだが、いつものKZの何処か叩きつけるような乱暴さを感じる(良い意味で)低域とは異なり、よりその広がりを楽しもうというニュアンスが強まったようなイメージだ。アタックがいつもより柔らかく、その分音場表現が秀逸になっている。
しかし音量はいつも通り、ともすれば下手すればいつもより強烈に強調されているかもしれない位にはバカでかい。平然と他音域の前に出てきて鳴る。常に思考と印象の中心に居座ってくる。近くも遠くも低音で満たされている。
サブベースの振幅感はかなり強調された印象があり、新ドライバに手を出してもKZはKZなのだな……という安心感に満たされる。ただやはりいつもよりアタックが柔らかい。柔らかいアタック感の尋常じゃない振幅。
ただ、楽曲によっては他音域を平気で食う。その結果なんやかんやで全てが存在感を失うような節が割と多々ある。低域って高域が映えてないと映えられないんですね。
中域側は音量的に若干引っ込んでいて、ここがエージング前は拾いにくい印象を受けた。ある程度ホワイトノイズとピンクノイズを交互に大きめの音量で鳴らし続ける拷問(a.k.a.エージング)を加えたら多少前面に出てくるようになったが、それでもやや主張が弱く、基本的には角の丸いサウンドという印象。
ただ中高域に少し妙なピークがあり、この音域が強い女声を鳴らすとボーカルの丁寧さがある程度損なわれたような印象を受ける。
高域は異例なほど控えめだ。EDX系といいKZの単発ドライバ機は高域を抑える傾向があるのだろうか?
分離や高精細なハイレゾ感を追求してきた過去ハイブリッド機の高域と異なり、あくまで低域を主体としたサウンドを引き立てる役という印象が強い。
少しくぐもったような暗色系の響き方をして、あまり伸びは無い。かと思いきやシャリついたスネアと歯擦音だけは強めに主張する。ピークの周波数がやや低めにあるのだろうか?
困った事にJIALAI JLY2のような高域側を強く引き立てるケーブルを付けると今度はすぐに飽和してしまうので、最初からこの傾向を受け入れた方が良さそうだ。
合わない楽曲は本当に合わない。相性が悪いと高域を中心にくぐもったような印象になり、まるで一万円近くの価値は感じられない、ともすれば10$クラスにも満たないTRN MT1や、福袋に雑に放り込まれていたKZ ZSRの方が楽しめるような曲も少なくない。
というか、これまでのKZが得意としてきた楽曲ではだいたいそんな調子だ。明らかに異質なイヤホンである。
しかしその分ハマった時の爆発力も随一で、その面で沈み込んで広がるような音場感と低域の質感が活きると呑まれそうな臨場感を発揮する。
あまり分離を要求する曲を鳴らしてはいけない。低域が強くなると困る曲を鳴らしてもいけない。
精緻な音作りより飲み込むような圧倒感と流れを趣旨とするような楽曲を聴く時にこそ、このイヤホンの本領は発揮されるように思う。
殆どの場合明確な寒色傾向が強かったKZではだいぶ珍しい音色だ。なんだかんだで使い易いドンシャリ傾向を提供するKZ、というイメージとはかなり乖離している。
イヤホンの音色というよりはスピーカーの音色に近い。その性質を御しきれていないチューニングになってしまっている、といったイメージだ。
まとめ
率直に言って、これは名機とは呼べない。決してこれまでのKZの名機達と比較して、総合得点で上回るとは口が裂けても言えない。
ZSTXの素晴らしく万人受けというものを突き詰めたサウンドや、CA16の異常な圧力を何故か一つの完成されたサウンドにまで昇華してしまった奇妙な音色や、そういった完成度というものは全く以て持ち合わせていない。
だが、KZの新たな挑戦としては満点だ。これまでのKZが使った事の無いパーツを取り入れ、これまでのKZが持たないタイプの表現力を手に入れた。
ハマった時の低域の圧倒感は中々他では手に入らないし、それはこれまでのKZが低域の質感を変えようと挑戦してきた様々な世代のダイナミックドライバや、XUNドライバなどの齎した変化よりも更に大きなものだ。
相場を大きく下回る破壊的な低価格で新しい事に挑戦して、時折失敗しながら手数と模索で新境地に辿り着く。そういった要素に「KZらしさ」を見出すKZファンであれば、今すぐに購入するべきモデルだ。
今後、KZが平面駆動ドライバを使いこなし、平面駆動の上にBAとMSTを乗っけたような珍妙なモデルを発売してきたら……どうだい燃えるだろう?そんな妄想に浸れるそこの君。買いなさい。
それ以外の層は……そうだな、完成度度外視でこの中華低価格イヤホンの「流れ」に触れたいだとか、このとんでもないじゃじゃ馬をなんとか乗りこなしたいという半ばマゾヒスティックでさえある欲求を抑えきれないのであれば、タイミングを見計らって購入するべきだ。
実際、合う楽曲に出会えた時の爆発力は本当に素晴らしく目を見張る物がある。このじゃじゃ馬を手懐ける労力に見合ったものは、確実にそこにあるだろう。
そういった奇妙な欲求を持たないのであれば……9000円あれば7Hz Salnotes ZeroとHZSound Heart Mirrorという中華低価格1DD二大傑作が買える。おつりでモロッコヨーグルでも買って、それでいい。ここで名前を挙げたZeroも埋もれ気味というか、検索妨害になる某レビュワーしか国内ではレビューを上げていないので、そのうちここで語りたい。一人で幾つも大体同じ内容の読みづらいブログを量産して検索結果を埋めるんじゃねえ邪魔だ。読みづらいって人の事言えた立場じゃ無いが。
最後に、個人的にこのイヤホンの魅力を引き出せたと感じた楽曲を幾つか列挙しようと思う。私の個人的な趣味でボーカロイドや電子音楽ばかりな点は……気にするな。
まず一番最初に鳴らした、そして一番魅力を引き出してくれたのは螟上?邨ゅo繧の「続・カサンカ」。
思い出の中で霞んでゆくあの夏の日のように、夏が私ごと霞んでしまう。破滅的なほどにポジティブで何処までも後ろ向きで決して足を止めないような楽曲。リメイク前のバージョンもこちらも、螟上?邨ゅo繧屈指の超名曲だ。
元々分離が良くそれでいてローファイな音作りを持つ楽曲故か、或いは分析的な視点を放棄して全体的な圧倒感で聴く楽曲故か、PLA13の曇りやすく分離が甘めの性質が完全に抑えられている。
それでいて低域の広がりやサブベースの沈み込みによってこの楽曲の聴く者を圧倒するような世界観と広がり、存在しない記憶の中のノスタルジーを引き出すような空気感が自然と入ってきて、聴く側まで「夏」に持っていかれるような感覚だ。
界隈曲系のシンプルな音作りならばあまりこのイヤホンの曇りやすい傾向も気にならないようで、電≠鯨の「クーネル・エンゲイザー」も新しい一面を見せてくれるような気がした。
儚くか弱く死ぬまで生きなければならない琴葉姉妹の切ないボーカルが印象的な楽曲だが、低域側が帯域的に主役になると、案外なんとかなりそうな希望が見えてきてしまう。
Russian Village Boysの「Cyka」を始めとしたRussian Hard Bassとも相性が良いだろう。
出鱈目なサブベース、高域の弱めなバランス、押し出しの控えめなボーカル。このジャンルの特性とこのイヤホンの特性は何故か妙に合致する。
もうPLA13とは何も関係ないが、このCykaという楽曲は兎に角バカみたいに口が悪く、品がなく、ロシアの田舎もんの不良共の馬鹿騒ぎが脳裏に浮かび上がってくるようでとても元気が出る。大好きな一曲だ。
個人的にとても意外な好相性だったのが、ピノキオピーの「神っぽいな」。
なんか気がついたらピノキオピーの代表曲っぽいな。古参ファンとしてはもっとニナ辺りを推していきたいのだが、まあいい。
PLA13らしい強烈な低音があまり邪魔をせず、それでいて強烈な主張として楽しめる。
私の大好きな星のカービィシリーズから、「Crazy Rolling in Money」も中々に素敵だ。公式に無料公開されていないので商品ページで勘弁してほしい。サブスクサービスかなにかでロボボプラネットのサウンドトラックを聴いてほしい。
目まぐるしく荒れ狂うような狂気的な曲調、メロディラインにテンポに帯域バランスに全てが酷く不安定で、その不安定で常軌を逸した流れというものにこの低域の感触が聴く側を巻き込んでくる。で、なんでサントラに戦闘時のハルトマンのおっさんのボイスと効果音が入ってるんです?断末魔まで。なんですか「ぬっふぅ♡」って。
そして今回で一番の「大正解」なのはこれ、DOOM(2016)より「At doom's gate」だ。多分KZは元々こういう事をやりたかったんだと思DOOM。
バカみてぇなサブベース!うねる音の波!唸るなんかもうありとあらゆる圧!すっげぇPOWER!!!!うるせええええええええええええ!!!!!!!!!!DOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1!!!!!!!!!!111!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
音量を上げろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!容赦なくノブを右に回せ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
愛してるぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
RIP AND TEAR!!!!!!!!!!!!!!!!!RIP AND TEAR YOUR GUTS!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1111!!!!!!!!!!1!!!!!!!!!!!!!!!!!!
こっち来んじゃねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
お前が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!優勝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!今までこの曲鳴らしたどのイヤホンより合ってるからもう帰れ!”!!!!!!!!!!!!!111!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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