ジム・シモンズ「億万長者の投資法」

クオンツファンドの現状

質問者：
あなたは高貴な72歳、世界で最も裕福な男性の一人として知られるジム・シモンズ氏ですね。
フォーブス誌によると、推定資産は106億ドルとあります。
世界の億万長者リストで74位にランクされていますが、元数学者として、1960年代に政府プロジェクトで暗号解読者として働いていたと聞きました。
1982年には複雑な数学的モデルを用いたヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーズを設立し、150億ドルの資産を運用されていますが、そのビジネスの現状はどうですか？

ジム・シモンズ：
私たちが構築したビジネスモデルは今も100％モデルベースです。
私は金融研究者の約半数が博士号を持つことから、博士号取得者の採用を重視しています。
しかし、有能なアメリカ人求職者を見つけるのは困難で、特に国の数学教育の現状に批判的です。
アメリカの数学と科学教育の質は世界経済フォーラムで48位にランクされています。
これは、高校の数学や科学の教師が不足していることに起因します。
40年前なら、数学の知識があればエンジニアや教師になれたのですが、今では数学を知っている人は物理学者や様々な専門職になり、多くの仕事があり、それらは高校教師よりもはるかに高給です。

質問者：
その問題にどう対処していますか？

数学への投資

ジム・シモンズ：
2004年、私は自分で問題を解決するために4000万ドルを投じて「Math for America」という非営利団体を設立しました。
この団体の目標は二つあります。
一つ目は、通常は教職に就かないような優秀な人材を採用すること、そして二つ目は、優秀な数学教師が民間企業での高給に誘われて教室を去らないようにすることです。
この問題に対処するため、私たちは教師の報酬を尊敬と金銭の両面で向上させています。
現在、420人のティーチング・フェローに5年間で10万ドルを支払い、給与を補っており、彼らの修士号取得費用も負担しています。
私はグーグルやゴールドマン・サックスと同様、またそれ以上に優秀な人材を求めていますが、私の目的は教育のためです。
彼らには子供たちと仕事をする楽しさや夏休み、自分の上司になることの良さを理解してもらいたいのです。
このプログラムは成功しており、約85％の研修生が5年後も教壇に立っています。

質問者：
しかし、これが全国規模で実施されることはありますか？

ジム・シモンズ：
現在の目標は、「アメリカのための数学」プログラムが全国の地区で実施されることです。
連邦政府や各地域がこのプログラムを採用し、公立学校の数学と科学の教師の中核を形成し、給料を20％アップさせ、任期を5年とすることを望んでいます。
しかし、現在の経済情勢下で教育予算を増やすのは容易ではありません。
私はこれを支出を増やす問題ではなく、優先順位を変える問題だと考えています。
教室にコンピューターを導入する必要はありません。
より良い、より知識豊かな教師を持つことが重要です。
教育費に膨大な額を投じても、見逃している事実に向き合わなければ何も解決しません。
それが私が熱くなる理由です。