「春を歌にしたような声で」いまさら呼ばれても


元カレから連絡が来た。
正しくはわたしが元カレのストーリーにいいねを押して、そこからDMが続いた。

度々、「忘れられない人なんていない」と言ってたのは同期を好きになる前にこの元カレとあともう1人がかつての「忘れられない人」だったからである。

最初の人は、小学生の時に好きだった子だ。
とっても優しくて、ノリのいい同級生。しかもライバルが多かった。
でも海外に引っ越してからも好きだったのは多分わたしだけで、流行に乗って始めたFacebookで再会し、一年くらいはやりとりしていたと思う。
間に色々あったりしたけど、5年くらいはずっと好きで、3回告白して振られて、3回目で「本当にこの人は恋愛に無縁の人なんだ」と感じて、無事に吹っ切れた。

2人目のいわゆる元カレは、一目惚れだった。
高校に入っておんなじクラスの席が近くて、同じ陸上部でイケメンだなぁとただ思っていた。
だけど女癖が悪いと噂になり、陸上部に6人いたマネージャーが4人やめ、そのやめた4人中3人と噂が立ったこともあり、「こんなやつと付き合ってたまるか!」と思っていた。
でも2年の後半に急に仲良くなり、修学旅行のスキーのフリーナイトに誘われ、勉強を一緒にするようになり、そのままテスト明けに遊びに行くことになった。
一日中遊んで告白されて、陸上に専念したかったからしばらく悩んだけど付き合った。
わたしのついでに一緒に朝練に来るようになった元カレは3年になるとみるみる記録を伸ばして、わたしも自己記録をなんども更新した。
部活動を最後まで楽しみ、元カレは夏には引退して受験生になり、わたしは秋の駅伝まで残ることにした。
元カレはそのギャップに耐えられなかったみたいで、あまり連絡の取れない夏休みが終わり、秋の駅伝の2週間前に振られた。振られる日、いつも通り待ち合わせに向かう途中、嫌な予感がしたわたしはfallmanが頭から離れなかった。いまでもおぼえている。

何が悪かったって、「今でも好きだけどしんどいから別れたい」って言われたのである。
わたしはそれを信じ続けて、「お互いの夢を叶えたらまた付き合おう」と約束した。つもりだった。
そんなこんなで、わたしは11月まで後輩や友達に支えられながら部活を続けて受験生をやり、わたしの足首にも、元カレの足首にもお互いが作ったミサンガがついていることを確認しながら、微かな希望を信じ続けていた。

そして卒業式。
話したいとか書いた紙を勇気を出して靴箱に置いたのに、なにも話さず元カレは帰っていった。
それをみたわたしはそれまでひとつも泣かなかったのに、後輩の前で泣いてしまった。

その後大学生になりしばらくの間は好きだったが、そのうちそれどころじゃなくなり、そして同期と一緒に住むようになったころには忘れていた。


そうやってわたしは忘れない人を忘れたというか思い出に変えていっていた。


冒頭に戻る。
わたしは元カレと付き合っていた頃、お互い映画好きなのは知っていて半年しか付き合ってないのに、4回も観に行った。
でも好きなアニメまで一緒なんて知らなかった。
きっと取り繕っていたからある意味本当の自分なんて出せてなかったのかもしれない。
そんなことを元カレとDMをしながら話して、その流れで今近くに住んでいることがわかった。

そして飲みに誘われた。わかりやす過ぎる。
初めてその元カレを手の内で転がしたし、ご飯じゃなくて飲みだったのがなんとなく悲しかった。

本当に別れてからまともに話していないから、行こうかなという気持ちにはなるが、大人のような子どものような、あんなことやこんなことを想像する。
たしかに同期にあまりにも好いてもらえなくて落ち込んでいた時、飲んだ勢いでTinderを入れたりしたが結局誰にも会わなかったしなんならもう使ってないからこのタイミングで消した。
付き合ってないにしても、わたしは他の人の方へ行かれたくない。そしたらわたしもそんなことをしてはいけないという自論のもと理性を保ち続けてる(もちろんそんなタイミングもなかった)
かまいたちのネタの「トトロを一度も見たことがない」のように、0と1の差は大きい。

昨日飲んだ先輩は、同期のことをよく知っているので、一番わたしたちがこれから将来も一緒にいるんじゃないかと、現実的に考えてくれている。
そんな先輩の話を聞いた後だから余計に、付き合ってないけど、裏切ってはいけないという気持ちになる。

最近のnoteの題名は、なにか歌にするようにしている。
「春を歌にして」は、別れた後よく聴いていた。
でもそんな素敵に思えた声でも今更なんだよ。想い出は連れていっているよ。

今度こそ春が来てほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?