「貞子DX」を見てしまったわけですが…(ネタバレあり)
一人だったら見ていなかった
明らかに見えている地雷なこの映画だったんですが、とあるVtuberがオフコラボで同時視聴会をやるということだったので、それ目当てで見てしまいました。もちろん、399円(レンタル料金)も払ってます。一人だったら、こんなん観ていねえよ。
そうはならんやろ
本作は、野球の試合の始球式をやったり、YouTuberになったり、怨霊つながりということで無理やり伽椰子と対決までさせられた貞子の謎に、天才女子大学生一条文華(真ん中)、人気自称占い師前田王司(左)、謎の人物感電ロイド(右)らが挑むというストーリーラインなのですが、特に王司が意味不明尚且つ不快でした。
文華がズバズバと(わりかし)冷静に対応をしているのに対し、王司はナルシストで、ビビリで、ともかく足を引っ張りまくっています。白い装束の人物を見かけると「ヒィィィィィ!」とお笑いウルトラクイズにおける出川くらい震え上がります。
演じているのはGENERATIONSの方なのですが、ハイローにおけるアクションが完全に封じられているので、王司くんがやっていることは、オーバーに足を引っ張るか、オーバーに寒いギャグを言うか、オーバーに文華にボディタッチをしようとして拒絶されるくらいか、それくらいしかやっていません。
元カノが貞子により呪い殺されていたり、人気霊媒師・Kenshin(池内博之)との因縁が話に絡んでくるのか?と思いきや、上の要素が足をひっぱりまくっているので、説得力が無い。
王司が、元カノとのペアルックタトゥーを文華に見せるシーンもある意味伏線になっていたんですが、唐突すぎたというか、「え、これは気がついた文華が頭脳というよりは、終わりも近いし、そういうことにしておこうと取ってつけただけじゃねえのか?」だったんですよね…
マジで一ミリも共感できねえ
Kenshinが、今回の貞子事件(全国連続不審死事件)の真犯人だったのですが、彼がその犯行に至る経緯というのが本当に軽すぎて、尺の都合だったのかもしれないですが、これほど共感できないのもな…。
共感できないといえば、文華の家族もそうだったりします。Kenshinに呪いのビデオをもらったその日に、文華の妹が亡くなった父の遺品であるビデオデッキを使って、呪いのビデオを見てしまうわけですが
(なお、そのデッキの近くには大映制作の「ガメラ2」のビデオがあるんですが、これは大映が現在は角川に吸収されたことからあった内輪ネタみたいなものですね)、これも軽率というか、チャリで来た、じゃないですけど、ノリで見た、みたいな感じでね…。
24時間後に死ぬっていうのに、普通に学校行っているし、学校の教師がなぜか杉山清貴(っぽい別人)だし、しかもそいつが貞子になるっていうな…。
で、母親は母親で、「大丈夫じゃないの~」という危機感の無さ。中盤までマジで危機感無かったぞ。西田尚美さんはいい役者だけども、さすがにこの映画を救えるほどは残念ながら…。
Kenshinの部下らしき、ある意味貞子より怖かった謎の女性も、Kenshin変死後はとくにストーリーに絡んでくることもなく、そのまんま退場していたし、すべてがすべてこんな感じでした。
伏線回収がありそうで、そうでもなかった
王司に関しては、Kenshinが変死した後に現場にいた文華とともに警察で事情聴取を受けた後に、「俺は警察には不信感しかねえんだ」と言ったシーンがあります。
これは、理由がありそうだし、話に関わってきそうかと思いきや、全くそうではなかったところが良くなかったですね。
普通だったら、これが彼が貧乏だけども占いを目指すことになったきっかけになったとか、なにか彼の過去(元カノ以外で)にあったのかな、と膨らませていくのかと思ったら、そうではなく、単に「職質されやすい」というだけだった、もっというと、警察署内で貞子(幻覚)を見るだめだけの装置でしかなかった、というところがね…。
細かいディティールを気にさせないところが良い映画だと思うのですが、随所にそういう点が見られました。
本作のギャグはなぜ笑えないのか
本作は、ホラー映画を見まくっているものとしては物足りない内容だったのですが、じゃあギャグはどうなのか?結論から言うと、ダメな日本映画のテンプレートだったという感じです。
脚本の高橋悠也さんは、特撮作品も多く担当されていて「エグゼイド」とか「ゼロワン」はよく見ていたし、彼がやるなら、まあそこまで悪くはないだろう、と思っていました。結果、これは「エイトレンジャー」の方の高橋脚本だったよ…。
本作の問題点は、笑いの引き出しがあまりにも少なすぎるところと、結局どう着地させたいかが最後までわからないことにあります。
ギャグは王司のビビリというか、驚く姿が何回も繰り返されて「もうええっちゅうねん」となりますし、文華と王司のデコボココンビが生み出す笑いを描きたかったのかもしれないんですが、とにかく王司が挙動不審すぎる、迷惑すぎるという点で、「でもやる時はやる」感じが全く無かったですし、(サブプロットで出てくる)キボンヌおじさんも「そんなやつぁいねえよ」だったし、うん、なんかもうどうでもいいんですよね。
唯一笑ったのは、関暁夫的な人物をなだぎ武さんが演じきっていて、さすが「仮面ライダーW」でレギュラーやっていただけはのことはある!と思いました。
With貞子というオチ
もういいや、最後のオチまで書いてしまおうか。
結果的に言うと、「社会風刺なのかい!?パロディーなのかい!?どっちなんだい!」というものでした。
本作は、コロナ禍で公開されたもので、おそらく22年公開を目処に21年くらいに脚本が書かれていたと思われます。緊急事態宣言とかやっていたくらいですからね。まあ、5類になっただけで別にコロナは去ってはいないわけですが。
つまりは、「一度呪いのビデオを見たものは、毎日見続けることで呪いを回避できる」(しかし、一生見続けないといけない)ということです。
これから毎日貞子を見ようぜ!
つまり、呪いのビデオは感染源であるながら、抗体を持つ…というのが本作のオチです。
映画のストーリーの過程で、呪いのビデオ(の動画)が拡散されまくります。それがKenshinの目的でしたし、文華はそれに加担してしまいます。
それに関しては、「拡散すれば収まる」とウソのアドバイスをしたKenshinが一番悪いんですが、「呪いのビデオは消せない」(デジタルタトゥーだから)
「でも、毎日見れば抗体ができるから大丈夫!」(見ちゃったら貰い事故)と言うことで、広めちゃったこともオールオッケーになってしまっています。
いいのか…?
まあ、Twitter的なSNSで、人が死ぬ動画が問題なくアップされていて削除されていないという倫理観が終わっている世界線なのでそういうオチになったのかもしんないですが、それでいいのか?最後に貞子がダンスまでするしさ…
非常に既視感があった、それは…
この映画を見ていて、非常に既視感を感じたんですよ。それは、コブラチーム版の「ジョジョの奇妙な冒険」です。
原作要素の再現がかなり中途半端で変、キャラクターがあまりにも唐突で意味不明(DIOが承太郎の住処の近くにいて、ガイド役としてちょくちょく出てきたり、ポルナレフが本屋をやっていたり…)、ボリュームが薄い、バランスがムチャクチャ、説明不足、それなりにメインキャラクターが生き残る…。
つまり、「リング」の関連作だと思ってみるから駄作だと思うだけで、コブラジョジョだと思って見るとあんまり腹がたたないかもしれません。
まとめると
「貞子」「貞子3D」よりはマシ!だが、「貞子VS伽倻子」の足元にも及ばない!というか初期作だけ観よう!以上!
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