月のおわりは人が動くらしい。

6月30日、引っ越しをした。

昼頃に引越しの手続きをひとまず終えると、管理人は今日は退去立会いのアポイントで忙しいらしく、思ったよりもあっさりと私はそこの住民ではなくなった。管理人のスマホのスケジュールに、私の後に3人の住人の退去予定と翌日の月初めには新たな入居の予定が分刻みで書き込まれているのを見た。月末は人の動きが多い、そんなことを初めて知った私はまだ世の中ってものをあんまりわかっちゃいないのかもしれない。

この地を去る最後の日には、神社へ行くと決めていた。

ここで暮らした約1年間、私はとにかくその神社に足繁く通っていて、型にはまったら抜け出せない私の性格的にもその日にいかなくてはならなかったのだ。

さした傘がバラバラと音を立てるくらいの雨だったにも関わらず、神社には人が列を作るほどの賑わいだった。本殿は特別仕様になっており中に人が大勢いて、臨時に用意された木箱に私は10円を投げ入れた。

のちに知ったのだが、6月30日は夏越しの大祓という神事が行われる日らしい。1年も半分を終えた折り返し地点で、悪いものは全てサヨナラして後半も元気に暮らしましょうという行事。そんなことは知らなかったので、大祓のために並ぶ大勢の人を脇目に、私はこちとら週3通いの常連ですよ、といつものように10円ご奉納して帰った。

神社で見たお祓い風景を見て、月末はなんだか魂がうようよしている感じがして心がざわついた。

世の中知らないことが多すぎる。知らないからこそ心のざわざわがあっていいとも思う。

ぬるっと1年の後半が始まっていた。




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