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《本》 現実脱出論 増補版 を読んで

本/現実脱出論 増補版/坂口恭平/2020


この本はいつだったかな、前に購入して途中まで読んでいたのだけれど、そのまま積ん読になっていた。
たぶんその時では理解ができなかったのだろうね。


題名の通り“現実を脱出する論”
現実とは人々が他社と交流をするために生まれたものであるのに、その現実が肥大化し一人歩きをはじめ、現実以外のものには蓋をしなくてはいけないようになってしまった。
その結果、現実に適応しなければいけないと窮屈な思いをする人が増えているのではないかと。


“「思考という巣」があるというたった一つの事実を伝達し合うことが、現実とは別の空間が存在しているという確認につながっていく。
しかも、その伝達を受け取った人は、自身も独自の巣を持っていたことを思い出し、制限していた知覚を拡張させることができるのだ。”

これが坂口さんがいつもやっていることだなと。
坂口さんの文章を読んで、作品を見て、何かを作り始めた人がたくさんいると思う。

誰しもが持っていた、子供の頃になぜか好きで夢中になっていたもの、自分だけの世界を思い出させてくれる。
今とは全く違う価値観があったことを。


大人になるということは、社会に馴染むということで、それは現実の世界を生きるということ。
でもこうやってゆっくりしつつ広い視野で見ていると、どうして囚われていたのだろう、もっと自分が楽しくいられることがしたい、と思えてくる。

仕事をしなくてはお金を稼がなくては生きてはいけないし、でも楽しく生きることは忘れたくない。
そこをうまくバランスをとっていけたらいいなと思う。


第7章の文庫本のための書き下ろし も面白かったな。
見事に、小学生頃に好きだったことが今に反映されている。

私のその頃に夢中になっていたものってなんだっただろう。
昔は絵を描くのが好きだったし、音楽も好きだったからCDをレンタルしてひたすら聴いて歌っていたな。
服も好きで、雑誌を読むのをすごく楽しみにしていた。小学生の頃から自分でコーディネートをして、欲しい服を買ってもらったりしていた。
物にも自分だけのこだわりがあって、これがいいというものがはっきりとあった。
自分の部屋が好きだったから、よく“今の時期はディズニーの部屋”“今の時期はキティちゃんの部屋”などテーマを決めて模様替えをしていたな。
部屋ではラジオを聴いたり、漫画を読んだりしていた。

うーん、今と好きなものは何にも変わっていないように思える。
面白いね。みんなそうなのかな。


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