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「なるべく母乳で育てたい」と思ったら。

妊娠中から、ママの体は母乳育児の準備をしています。母乳がどのように作られて、どのように調整されているのか?その仕組みを知ることで、「母乳分泌を促すには、どうしたら良いか」が分かります。そして、母乳育児を楽に続けるための行動をとることができるのです。

この記事では、どのように母乳が作られて赤ちゃんに飲みとられ、母乳育児が続いていくのか、その流れを解説します。

1.妊娠中

妊娠初期から、乳房では母乳育児の準備が始まります。
妊娠すると、乳腺組織が発達しておっぱいを作る準備をします。
母乳をつくるホルモン(プロラクチン)の濃度が高まりますが、母乳は「じわり」程度しか分泌されません。母乳分泌を抑えるホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、hPL)が胎盤から出ているためです。

乳輪は、赤ちゃんが見つけやすいように色が濃くなり、「モントゴメリー腺」という穴から、乳首の清潔を保つものが分泌されます。

2.産後2日目まで

出産して胎盤が母体の外に出ると、今まで母乳の分泌を抑えていたホルモンがゆっくり体からなくなっていきます。
この時期に分泌される母乳は「初乳」と呼ばれます。色が黄色や透明で、ねばねばとして、免疫物質を多く含みます。

この時期、母乳は「じわり」としか出ないことが多いものです。「おっぱいが出ていないのに、吸わせるなんて、赤ちゃんがかわいそう」と思う必要はありません。この時期の赤ちゃんの胃袋の容量は、さくらんぼ大だと言われています。1回の授乳で数滴~5mlくらい飲みとることが、赤ちゃんにとっても負担が少ないのです。

また「おっぱいがほとんど出ていないから、授乳をしても意味がない」と思うかもしれません。ですが、この時期に赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことは大きな意味があるのです。出産後すぐから、「プロラクチン」という母乳を作るホルモンが急速に分泌されます。その時、乳首・乳輪への刺激がないと、産後1週間ほどで分泌されなくなってしまいます。赤ちゃんにおっぱいを吸って貰う刺激が、「プロラクチン」の力を発揮して、「おっぱい工場」を稼働するためには必要なのです。

3.産後3日目~8日頃まで

「プロラクチン」の働きにより、母乳の生産が本格的に始まります。「母乳をたくさんつくるぞ~!」と、血液やリンパ液がたくさん乳房に集まるので、乳房が熱くなったり、つっぱる感じが出たりします。乳輪や乳首がむくんだ感じになることもあります。産後すぐから、赤ちゃんが欲しがるたびに頻回におっぱいを吸ってもらっていれば、痛くなるほど張ることはありません。

この時期の母乳分泌は「内分泌調節=エンドクリン・コントロール」と呼ばれる仕組みで調整されています。赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で、母乳をつくる「プロラクチン」と、母乳を押し出す「オキシトシン」という2つのホルモンが分泌され、母乳分泌を調整しているのです。
この、「プロラクチン」と「オキシトシン」という2つのホルモンがしっかり働くためには、1日に8回~12回は赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう刺激が必要です。もしも、赤ちゃんやお母さんに治療などが必要で一時的に離ればなれになっていたり、何らかの事情でおっぱいを吸ってもらえない時には、搾乳をする必要があります。

4.産後9日目以降

母乳の分泌が軌道にのってくる時期です。
それまでは、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によるホルモン分泌で母乳分泌が調整されていました。この時期から、母乳が乳房から外にでた量で調整されるようになります。
赤ちゃんが母乳を飲みとった量に応じて、母乳が新たに作られます。母乳が乳房の中にずっと溜まっていると、「こんなに沢山は、必要がない」と判断されて、母乳の生産量が抑えられます。
つまり、赤ちゃんが欲しいときに、欲しい量だけ、母乳がつくられるようになるのです。(この調整の仕組みを「局所的調節=オートクリン・コントロール」と呼びます)

「おっぱいが張ってこないから、もう出なくなってしまったのかな?」と不安になってご相談を受けることがあります。大丈夫、「乳房が張っていない=母乳が出ない」わけではありません

5.おっぱい卒業のころ

赤ちゃんが母乳を飲みとる量が少なくなったり、おっぱいを吸う刺激の回数が減ると、それに合わせて母乳をつくる量が減っていきます。ママの体が「もう、母乳は必要なくなってきたのかな」と判断するからです。

6.まとめ

母乳育児を続けるために、ママの体の「おっぱい工場」はとても巧みな仕組みで稼働しています。その素晴らしい体の仕組みを信頼すれば、「だいじょうぶかな」と不安にならずに母乳育児が続けられると思います。
「頑張らなきゃ」と思う必要はありません。ぜひ、リラックスして母乳育児にチャレンジしてみてください。

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助産師hana(心をハグして、あたためる)

「いつもの毎日」を癒やしにかえる
めんどうで愛おしい毎日が、わたしと家族をはぐぐむ

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