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デジタルミニマリズム- スマホに依存せず主体的に生きていく戦略

私たちにとって最も価値のある資産は「自分の時間」です。

どんな人にも限り(終わり)があるのが「時間」だからです。

お金や物は相続することができるかもしれません。困っている社会に寄付することもできるでしょう。けれど自分の時間だけは誰にも残すことはできません。

限られた時間だと頭でわかっていても、私たちは自分の時間を「行き当たりばったり」に使っています。

友人やインフルエンサーのSNS、YouTube、Netflixなど、インターネット上の情報を消費することに私たちは多くの時間を費やしているのです。

「気がついたらスマホの前で毎日の大半を時間を使っている」

「本当にやりたいことに集中できない」

「やりたいことをする時間がない」

この記事は、自分の時間をスマホにコントロールされている人、1日中PC画面の前に座って過ごしているあなた、そして過去と未来の自分に向けての戒めと備忘録です。

デジタルミニマリズムを実践することで、自分の最も価値のある資産「時間」を質の高い活動に「主体的」に使えるようにするのがこの記事の目的です。


デジタルミニマリズムとは情報の取捨選択の主体性を取り戻すこと

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」(カル・ニューポート著)によるとデジタル・ミニマリズムは以下のように定義されています。

「自分が重きをおいていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選したひとにぎりのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中してほかのものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学」

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」

「スマートフォンとSNSから可処分時間/可処分精神を守り、情報の見逃しを恐れず、大切なことを大切にできる思考法=実戦法」

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」

コンピューター科学者であるカル・ニューポートは、オンラインで費やす時間を減らし、人生を充実させると確実にわかっている質の高い余暇活動(できればアナログな形式の活動)に置き換えることを勧めています。

「デジタルツールによってうえつけられた依存のサイクルから抜け出し、より充実感をもたらすアナログな活動を再発見する」

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」

散歩や、友人とのボードゲーム、地域ボランティアや読書など、自分の真の望みや価値観に従って主体的に行動することがデジタルミニマリズムです。

デジタルミニマリズムの必要性。自分の体験・経験こそが他者との差別化につながる

スマホを手放せない私たちは常に他者の思考のインプットにさらされています。ニーチェは「歩いて到達した思考にのみ価値がある」とし、長い散歩に出ることを勧めています。他者の思考のインプットから解放されて(スマホを置いて)一人で歩くことによってはじめて創造的な自分オリジナルの思考ができるのかもしれません。

AIによって私たちの周りの全ての商品・サービスはコモディティ化していくと考えられます。(コモディティ化とは、製品やサービスが他の競争相手の商品とほとんど違いがなくなり、価格だけが購入の決め手となる状態のことを指します。)どんなに素晴らしい情報や製品であっても、かならず類似品が現れて「もの自体の価値」は下がっていきます。

コモディティ化した市場においては、商品やサービス以外の付加価値で差別化を図ることが必要となります。人と違う「考え方やコンセプト」「ストーリー」といった独自性がより重視されます。

他人の思考を受動的に消費し続けるだけでは「自分の体験や経験」には繋がりません。自分にとって本当に価値のある情報だけを厳選し、デジタル情報に費やす時間をリアルな行動や体験に費やすこと。それこそが自分独自のストーリーを作り出し、人生を充実させてくれる源泉になるのです。

デジタルミニマリズムの効果

デジタルミニマリズムを実践することで得られる効果は3つあります。

  1. 【時間の節約】自分の可処分時間を取り戻すこと

  2. 【一人で過ごす時間】他人の思考やインプットから解放され一人で過ごす時間をつくること

  3. 【時間の有効活用】自分にとって価値のある質の高い余暇活動・趣味に時間を使えること

ネットサービスが私たちの生活に占めるコスト(時間)は膨大です。けれど、私たちが時間と注意を費やすネット情報にはいったいどれだけの価値(利益)があるのでしょうか?私たちのもっとも価値ある資産である「時間」をかける意味が本当にあるのでしょうか?

  • SNSを頻繁に更新しつつ、「いいね」がつくのを待っている時間

  • 友人や知り合いの投稿に「いいね」をする時間

  • 最新のアプリやサービス、新しい情報を追いかける時間

  • おすすめ動画をなんとなく視聴してしまう時間

デジタルミニマリズムの実践を通じて、私たちはどれだけの時間をネットサービスに奪われているかに気づくことになります。そして「デジタル片付け」を実践することで、本当に必要な情報とそうでない情報を自分の価値観に従って最適化できるようになります。

デジタルミニマリズムのデメリットとその対策

デジタルミニマリズムのデメリットは以下の2つです。

  1. オンラインでのプレゼンス(存在感)が低下すること

  2. オンライン上での最新情報・新しいアイディアや発想との出会いが低下すること

デジタルツールを最小限に制限することで、オンラインでのプレゼンスが低下します。友達の投稿にリアルタイムで「いいね」をつけられなくなり、オンラインでのメッセージに即答できなくなります。「いいね」をつけること、「SNS投稿にコメントすること」をやめることは、最初は不安があるかもしれません。けれど、この自己承認欲を満たすための依存ループから抜け出すためには「いいね」の偽善コミュニケーションから抜け出し「本物の会話」にシフトしていく必要があります。自分の「オンライン・営業時間」を設定し、必要な相手には直接電話したり、会いに行くなど、リアルなコミュニケーションを増やしていく。質の高いコミュニケーションは、リアルな会話からしか生まれません。

もう一つのデメリットは、デジタルツールを制限することで、必要な情報が入手しにくくなることです。対策は以下の2つ。

  • 情報入手のソースを置き換えられないか検討すること

  • 事前にネット・SNSに費やす時間をあらかじめブロックしスケジュールに組み込むこと

YouTubeでニュースチャンネルをフォローしているような場合、音声メディア(Podcast)や新聞、書籍など他の媒体に置き換えられないか再検討する余地があります。
さらに、ネット・SNSに使う時間を事前にブロックすることで、制限時間内で必要な情報取得をするようになるので、だらだらと立て続けにネットサーフィンや動画視聴することを防げるようになります。

デジタルミニマリズム「デジタル片付け」の実践例(書籍「デジタル・ミニマリスト」参考)

まずは、自分が使っているすべてのデジタルツール、テクノロジーをリストアップします。テレビやオンラインゲームなども対象とします。その上で、必ずしも必要ではないアプリやサービスを30日間停止します。(完全に利用停止が難しい場合でも、スマホアプリだけ削除し利用時間を最低限にする)

デジタル片付けのプロセス:
▶︎ 30日のリセット期間を定め、必ずしも必要ではないテクノロジーの利用を停止する
▶︎ 30日間の間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見する
▶︎ リセット期間が終わったら、休止していたテクノロジーを選考基準にしたがって再導入する

ミニマリストのテクノロジー選考基準:
▶︎ 大事なことがらを後押しする(何らかのメリットがある程度では不十分)
▶︎ 大事なことがらを支援する最前の方法である(最前でない場合、代わりに別の方法を検討)
▶︎ いつ、どのようにそのテクノロジーを利用するかを具体的に定めた標準運用規定に沿った形で生活に貢献できる

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」より一部抜粋

実際に30日間デジタルツールの利用を止めてみると、膨大な時間ができることに驚くはずです。この時間を使って以下のような質の高い活動(できるだけアナログ・リアルな活動)に時間を使うようにします。ネットからでは得られなかった新しい発見や出会い、心の変化に気づきを得られるでしょう。

アクションプラン:

一人で過ごす時間を持つ

  • スマートフォンをおいて外に出る

  • 長い散歩に出る

  • 自分に手紙を書く

新しい趣味を取り戻す

  • 受け身の消費よりも体を動かす活動を優先

  • スキルを活かし、物質的な世界で価値のあるものを作り出す

  • リアルな世界での交流が必要な活動

  • 週に何かひとつ、修理するか作ってみる

  • 何かに参加する

  • 余暇の活動計画をたてる

まとめ・デジタルミニマリズムの重要性

本当に大切なことに集中するためにデジタルミニマリズムは欠かせません。受動的に、行き当たりばったりにおすすめされるコンテンツを消費し続けることは、テック企業の戦略にコントールされていることに他なりません。テック企業は、私たちの注意と時間を戦略的に奪うことをビジネスとしています。

SNSを投稿してはチェックするという依存ループから抜け出しましょう。主体的に価値あるデジタルツールを選択することで、私たちのもっとも大切な資産である「時間」を取り戻し、自分にとって価値ある質の高い活動に集中できるのです。


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