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セブンルール

誰もが自分自身に課しているルールがある - ”7ルール”

今回は、日本各地を点々と旅するツアーガイドを仕事としている自分の仕事内容をシェア。

この仕事の始める前までは、もちろんガイドとしての知識や経験はゼロ。もっといえば、高校も大学も日本で通わなかった僕の日本についての知識は、普通の日本人と比べても格段に劣っていた。

それなのに、ひょんなことからガイド業界へ足を踏み入れた仕事に対する僕が決めているセブンルールがこちら。

Rule1:毎朝同じ時間に起床

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朝6時、Apple Watchの目覚ましで起きる。
(これは音よりも振動の方が効果があるのであえて使っている。)
ツアー中、お客さんとの集合時間が遅い9時や10時でも、毎日決まってこの時間に起床する。もちろん前日に遅くまで起きていたりすると眠い時もあるが。
実際に今まで一度もしたことはないのだが、ガイドとして寝坊は絶対に許されない。ツアー中は、早朝から公共交通機関で移動をする日も少なくない。新幹線など出発時間が決められた時刻に乗らなければいけない場合、ゲストにも時間厳守についてはツアーはじめに多少脅す勢いで伝える。後で自分の首を絞める可能性を少しでも減らしておくために。ゲストにとっては日本での旅行は休暇(ホリデー)。お酒を普段より多めに飲んだり、夜少し羽目を外すこともあって当然で、翌朝起きてこない時には起こしに行くのも自分の仕事のうちなのである。
というわけで、自分が朝寝坊して「電車に乗り遅れました」などということは、あってはならない話なのだ。
そういう理由もあって、あえてツアー中は仕事をしているという緊張感を常に持っておくためにもそうしている部分も自分の中であるのかもしれない。
またツアー中の朝はルーティーンとしてやっていることもいくつかある。例えば、その日の天気を調べたり、乗る予定の交通機関に遅延などはないか調べたり、その日のスケジュールを再度確認したり。
これらをしながら過ごす朝の時間は、ツアー中の数少ないひとりで過ごす貴重な時間だったりする。

Rule2:ツアー前にあえて緊張する

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ツアーを数多くこなしていくと必ずでてくるのが仕事への慣れ。特に同じ行程のツアーを何度も繰り返しやっているとどうしても慣れてくる。それ自体は悪いことでなく、むしろ小馴れた感じを出すことはゲストの前では大事なことで、お客さんは安心感として受け取ってくれることもある。
ただ、気をつけなくてはいけないのが仕事への慣れで準備を怠ること。実際、ツアーが始まる前やツアー中の当日の朝に色んな準備をしておくことでツアー中の負担はぐっと減る。とはいえ、準備をし過ぎていざ想定外のことが起きて対応できないのは問題なので、そのバランスを取ることは大切だ。
なので、僕はあえてツアー前にあえて緊張感を持つようにしている。ツアー中の予期せぬ自体への対策を考えたり、ちょーめんどくさいゲストが参加してきたりしたことを想定して、一旦次のツアーは”ヤバイ感”を自分の中に作る。そうすることで、ツアー準備段階で抜けがないかなどを確認してから毎回ツアーに臨むようにしている。

Rule3:酒は一切飲まない

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ツアー中、僕はお酒は一切口にしない。(というか、個人的にアルコールが肌に合わないのもあるのでプライベートでも全く飲まないのだが)
そうなると、あくまでも仕事をしているプロフェッショナルとしてのアプローチ論。
お酒が弱いので飲んだら翌日などの仕事に影響する(可能性がある)。」
「お酒がなくても話を弾ませられる。」
という理由から(僕は)飲まない。
だからといっても「お酒は飲むべきではない!」とは全く思わない。
お酒を飲むことでゲストとのコミュニーケーションが円滑になったり、親睦が深まったりするなどプラスに働くというのであれば、むしろ飲んだほうが良い。
ガイドという仕事の共通ゴールは、”ゲストが満足すること”。これに尽きる。極論を言えば、ゲストが喜ぶのであればどんなやり方でも良いと思っている。あくまでも、僕なりアプローチというだけのこと。

Rule4:”はたらく” < ”あそぶ”感覚

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観光のハイシーズンになると長い時で、1ヶ月間以上ツアーに出っぱなしになることだってある。そういう畑からかけ離れた場所で仕事をしている人からみれば、それはすっごく大変そうだと思うかもしれない。
でも、それは仕事をどのように捉えるかによってラクにもあるししんどくもなる。
極端な話、僕にとってこのガイドという仕事は、

約一ヶ月間、宿と交通費を払ってもらい、さらにお金をもらいながら、日本各地を旅行している。

とだって言えなくもない。
もちろん細かなことを挙げていったらそれだけでは済まないが、僕はそんなような気持ちで仕事をしている。
というより、そうでも思えないと心も体も持つ気がしない…というのがより本音になる。
でも、事実一年半以上そういう生活を続けているので、実際そう思えているのだろう。

Rule5:知識ゼロ前提で話をする

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僕がガイドになって以来、常に心掛けていることの一つ。
新たなツアーに添乗する度に、そのツアーに参加するゲストは日本についての知識が全くのゼロという前提でお客さんの前では説明するようにしている。
ツアーが続いてしまうとどうしてもひとつ前のツアーで話した内容を前提に次のツアーで話をしてしまうことがある。
ツアーに参加するゲストの中でも日本に対する知識はばらばらなので、話す内容の理解度を合わせるのはあくまでも知識が全くない人。
例えば、日本の宗教には「仏教」と「神道」があるんだということや、「神社」と「寺」はどう違うなど。
また、自動販売機には冷たい飲み物と温かい飲み物があって、それぞれ青と赤の印へ区別されている。
日本人である自分やすでに知っている人にとっては、当たり前のことも彼らにとっては知らないことなのだ。
知識があるという前提をすべて取っ払って、何も知らない前提で話すことは簡単そうで意外と難しい。

Rule6:友達以上、お客様未満

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ツアー中は、基本的にゲストと四六時中一緒にいることになる。それが良いか悪いかは別として、僕はその際、彼らと自分の距離感を大切にしている。
一緒にいることが多くなると自然とお互いの距離間は近づくので、当然仲良くなりやすい。僕が添乗するツアーは、20代の若者たちだけのツアーもあれば、年配者の多いツアーなど年齢層はばらばら。仲が良くなっても、ある一定の距離感を保つことは仕事としてツアーをまわすものとして大切なことだとおもっている。
その一方で、ゲストだからといって丁寧すぎる扱いも逆に良くない。外国人にとって日本の滞在は経験したことがないことの連続。中には理解しづらい文化や食べもの、ルールなどがたくさんある。そうしたことは”郷に入っては郷に従う”という精神で楽しんでくれる人も多いが、それができず不満を多くもってしまう人も中にはいる。彼らの無理難題を丁寧に聞いて対応してあげることも時として大事だが、よりできるだけ理解してもらうように心掛けている。お客さんの機嫌をとることだけがツアーガイドとしての役割だとはおもえない。
日本人の”おもてなし”精神が堅苦しく受け取られないようなカジュアルさも忘れないようにしている。

なので、友達ほど距離感を縮めず、且つお客様のように堅苦しくなりすぎないような程よい距離感を僕は大切にしている。

Rule7:旗は掲げない

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ツアーガイドと聞くと、多くの人が思い浮かべるのがバスガイドの制服を着て旗を持つおねえさんではないだろうか。
ツアー名が書かれた旗を持ってグループを先導するイメージ。
でも、僕はガイドする際、旗は一切使わない。
これはツアーブランドを保有する会社の意向も多少は含まれてはいるが、個人的にも、旗を持ってグループを先導するようないわゆるザ・添乗員にはなりたくない。
理由はいくつかあるが、その一つがツアーに参加するゲストの立場になった時、単純に自分が旗を目印に街を歩くのが恥ずかしいとおもったから。修学旅行中の学生の団体なら理解はできる。お客さんは子供で、しかも大人数。はぐれたら大変だ。
しかし、僕が連れているゲストは基本全員大人(18歳以上。外国では成人扱い)。行き先は、事前にシェアしているし、はぐれないに多少目を配ったりはするが、それ以上のことは基本的に各々を信用するようにしている。
でも、まだまだ街では旗を持って先導する訪日ガイドさんを見かけることも少なくないが、僕は「ザ・ツアーガイド」というよりも、「一緒に旅行に行っているが、その国のことをよく知っているグループのリーダー」という立ち位置でいたい。

あるテレビ番組のパロディ

今回は、最近動画配信サービスでよく観ている「セブンルール」という関西テレビの番組をパロディにしたものです。
出られないので、自分で作りました(笑)


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