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【Works】 あくびさん主催のイベント「ヨコガオカフェ」 のデザインをした話

本当は去年のアドカレで公開しようと思っていたこの記事、結局出していなかったので今年でリベンジします。イベントのブランディングデザインに携わった経験を残しておこうとダラダラ書いたものです。


はじめに

こんにちは。えびすけです。今回は私がデザイナーを担当させていただいた期間限定カフェ「ヨコガオカフェ」のデザイン制作フローをまとめてみようと思います。デザインができていく過程を一例としてお楽しみいただけたらと思います。


ヨコガオカフェとは

ポップアップ・展示を並列するカフェ。
「それぞれの夢や好きなものを見つけ、挑戦するきっかけを与えたい」という思いから、好きなものを追いかけ続ける5組の展示の開催し、新たな一歩を踏み出す5人のキャラクターを表現したメニューを提供した。
来店者自身の「ヨコガオ」に想いを馳せる時間や、挑戦のきっかけを届ける。

開催日程:2022年9月9日~11日
開催場所:代官山

※ ヨコガオ:ここでは、その人の新たな一面、可能性と定義。


制作したデザイン

主にロゴやトンマナ(つまりVI)を担当させていただきました。

ヨコガオカフェ VI(ビジュアルアイデンティティ)

ロゴマークについて

ブランドイメージを伝える上で一番重要と言われるロゴ。コンセプトや思いを込めて丁寧に作る必要があるため、ヒアリングも重要になってきます。主催者のあくびさんからいただいた要件は以下の通りです。

▼伝えたい内容
・ヨコガオを印象づけたい
・シンプルかつ遊び心のある雰囲気

▼概要
ヨコガオのシルエットと「ヨコガオ」の文字
・グレーと白メイン
・アクセントカラーに一色明るい色がほしい
・フォントは細めでおしゃれな感じ
・「ヨコガオ」の文字は半角のイメージ
・シンプルでキャラクターを表現できるのがいい
・イラストも可愛いけどちょっと雰囲気壊れちゃうかな
・頭の中にいろいろ入れて表現するのかわいいかも

これをもとに頭の中で構想を練っていきます。一般的にはとにかくたくさんスケッチして見比べ、方向性を定めていくといった方法をとることが多いのですが、今回はタイトめなスケジュールだったのもあり頭の中でイメージが固まってきてから紙に書きおこしました。

「モチーフのヨコガオをどれくらいの情報量で描画するのか」
「ヨコガオはどこまでなら抽象化しても認識できるだろうか」

など考えながらスケッチを通してイメージを固めていきました。できるだけ単純なシェイプでヨコガオを表現したかったので「ヨコガオとして認識できる最低ライン」を模索していました。

実際のラフスケッチ

四角で囲まれている右側のものが1つめの案。要件をもとに「ヨコガオ」と「コーヒー」のモチーフ掛け合わせたデザインとなっています。「シンプルかつ遊び心がある」「縦に長い文字のシルエット」といったポイントを意識して考えました。
この案の問題としては、単純で直接的な表現になってしまっているということ。「ヨコガオカフェ」という名前からそのままイメージに変換しているだけの状態と言えます。
このような説明的デザインはいいデザインとは言えません。かといって抽象的すぎてわからないといったことも避けるべきで、これがなかなか難しいですね。

2つめの案は四角で囲われている左側のもので、完成デザインのベースとなったものです。シンプルなアウトラインだけでヨコガオを表現しようと考えたものです。その理由としては、「ヨコガオ」は人によって違うため、抽象的なものにしたいという思いがあったからです。「人によって違うってどういうこと?」と思った方もいるかと思いますが、「ヨコガオ」にはこんな意味もあります。

・人物の、表向きは現れないようなある一面
・ある人物の、一般にはあまり知られていない一面
・ある人物の日常的な、あるいは、あまり人に知られていないような一面

そして「ヨコガオカフェ」で定義している「ヨコガオ」は以下の通りです。

・隣で挑戦を続ける人の表情
・「好き」を追いかけている顔

つまり、「ヨコガオ」は人それぞれ違うということ。そこを大切にしたいと考えました。そのためシンプルな一本線でヨコガオを描いてます。

こうして、今回のコンセプトに沿った2つめの案をベースに決めました。ここからさらに展開していきます。
人それぞれ違う「ヨコガオ」そのそれぞれ違うみんなの「ヨコガオ」を可視化して残せたらいいのではと思いつきました。
今回のイベントの趣旨は「夢や好きなものを見つけ、挑戦するきっかけを与える」というもの。しかし、展示やコンセプトメニューなど、コンテンツが受動的なものに偏っているのではという思いが片隅にありました。
誰かの「ヨコガオ」を見て勇気をもらう。インスピレーションをもらう場という点で素敵な企画なのですが、そこから「自分に目を向ける機会や時間」があればより意義のある体験を届けられるのではないか、と考えました。
そこで考えたのが「書き込めるロゴ」。ヨコガオをカフェでの時間を通して感じたこと、そこから自分に目を向けて「自分のヨコガオ」として書き留めてもらうというもの。
アウトラインで表現されたヨコガオのシンボルマークの中に自由に書きこんでもらうことを想定して制作しました。

カラーについて

展示などの個性を邪魔しないように、一人一人の「ヨコガオ」が主役の場にしたい、ゆったりした時間を過ごしてほしいという思いで、シンプルかつ落ち着きのあるカラーを選択しました。
メインカラーについては「希望」や「可能性」を感じるイエローを。比較的はっきりとした色合いで芯のある姿をイメージしました。

ショップカードへの展開

お客様に書いていただいた「ヨコガオ」


最後に

今回まとめたものはあくまで私なりの考え方、制作フローの一例なので悪しからず。参考程度としてお楽しみください。ロゴデザインやVIといった分野について、ひいては「デザイン」というものについてまだまだ未熟な部分が多いのでこれからも学ぶことがたくさんありそうです。たくさんのものに触れ、経験を積んで色々な可能性を模索していきたいですね。

「ヨコガオカフェ」というイベントはフリーで活動するクリエイター・プロデューサーのあくびさんが主催しています。他にもたくさんの面白い取り組みをしており、これからも素敵な何かを生み出してくれるはずなのでぜひチェックしてみてください。
(あくび Instagram:https://www.instagram.com/akubi_12ss/

このような素敵なイベントにデザインの分野で関われたこと、大変嬉しく思っています。この企画を悩みながらたくさん考えて形にしてくれたあくびさん、ほんとうにお疲れ様でした。たくさんの人を笑顔にして、前を向く勇気を与えてくれる夢のような時間をつくるお手伝いができていれば幸いです。


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