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千葉県警に情報公開請求をしました⑤

 お疲れ様です。あいなです。
 今回も、引き続き第二回目の情報公開請求で得られた公文書の写しを読んでいこうと思います。

こちらは当時Twitterで呟いていたものをまとめたものです。


今回申請した内容をざっくり要約すると、下記になります
(1)2021年9月9日までに届いた、動画に関する意見。
(2)Vtuber事務所が警察と今まで結んだ契約書類。
(3)フ議連の質問状が出てから、削除の件で関係者と話をした記録

申請内容については、②~④の記事もご参照ください。


2022年8月12日、受領

交付された公文書の写しについて

今回の開示請求で交付された公文書の写しは、以下の通りです。

  1. 交通安全啓発動画の公開について 2枚

  2. 「交通安全啓発動画への協力に関する覚書」について 2枚

それでは、内容を詳しく見ていきます。


交通安全啓発動画の公開について

<起案用紙>
起案:令和03年7月8日
決裁:    7月8日
施行:    7月8日
件名:交通安全啓発動画の公開について
内容:
見出しのことについては、別添のとおり公開してよろしいか伺います。
(署長印まで押されています)
説明:
本件は、松戸警察署管内に所在するVtuber作成会社の協力により交通安全啓発動画を作成し、松戸警察署及び当署の連名の上公開したい旨の依頼を松戸警察署から受けたことから、連名の上公開してよろしいかの伺いとなります。
所属・職・氏名:松戸東警察署交通課係長(名前黒塗り)

<別紙>
 こちらの書類は、松戸東警察署の交通課で作成された『令和3年交通安全啓発動画の公開について』という、例の動画に関する企画書の決裁書類のようです。

 note記事④で確認した松戸警察署交通課作成の『令和3年交通安全運動に伴う交通安全啓発動画の作成について』(2021年1月中頃起案書作成)と同様のものかと思いきや、内容がかっちりと今回の仕様に変わっているので、変更された箇所を確認しながら読んでいきたいと思います。

 『実施目的』には『非接触型の広報活動により道路利用者に対し安全意識を広く普及させ、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践について意識付けを行い、交通事故防止の徹底を図ることを目的とする。』とあります。

 『公開内容』は、『松戸市ご当地Vtuberによる交通安全の呼びかけ』とあります。

 『出演者』の欄からは県警マスコットキャラクターの名前が消えています。

 『広報媒体』は全て変更されていて、『(1)県警公式Youtube、(2)県警公式Twitter(3)管内協力会社設置のデジタルサイネージ』となっています。

 『広報期間』がなぜか2種類書かれています
 一つ目が『(1)令和3年夏の交通安全運動期間中(安全運動期ver)/令和3年7月10日から同年7月19日』。
 二つ目が『(2)令和3年交通安全運動期間外(安全運動期間外ver)/令和3年7月20日から同年9月20日』です。
 広報期間から察するに、例の削除された動画は(2)のバージョンとして作成されたということですよね…?

 『映像媒体の依頼状況』ということで、複数の関係各所に協力依頼を取ったりしていることが分かります。

 県警公式YoutubeとTwitterへの公開に関しては、『交通部交通総務課の映像点検・承認済み』で、『署長決裁後、広報県民課に掲載依頼』をする段階のようです。
 掲載依頼というのはYouTubeとTwitterへの、という認識で合ってますかね…?

 7月8日に起案用紙を作成し、その一週間後の16日にネット公開をするというスケジュールは、比較的順調なほうなのでは?という印象です。

 『(2)管内協力会社への放送依頼済み』とあるのですが、ここに書かれている依頼先の会社はアミューズメント施設経営の企業で、設置場所は『パールショップともえ』というパチンコ店のようです。グーグルマップの口コミを見るとあまり人気ではない店舗のようです。
 いろいろな意味で、なぜここに…?

 『(3)依頼中の協力会社(回答待ち)』とあるのですが、会社名には『京成バス株式会社』、『新京成バス』とあります。いずれも6月に『依頼済み』ではあるようですが、『回答待ち』なのですね…うーん…?
 結局どうなったんでしょうか…?(ナシになったのかな…)

 『(4)その他随時依頼とする』とあるので、動画公開期間中に設置してもよいという協力者が居れば追加で依頼をするという事をざっくりと決めていたようです。

≪考察≫
 前回④の時に確認した書類と今回の書類を比較すると、かなり変化しているという印象を抱きます。

 まず『実施目的』ですが、啓発する対象が、『市民』から『道路利用者』に変わっています。本来の趣旨である『交通安全啓発』は変わらない印象ですが、その呼びかけ対象を『松戸市民・千葉県民に限定していない』という表現に変えたのは、どういう風に捉えたらいいのでしょうか…?
 まずこの6か月で何があった…?

 県警公式マスコットであるシーポックの参加が無かったのは、動画に使えそうな画像が無かったり、実写の着ぐるみでの登場が出来なかったりと色々な事情によるのでしょう。実際に、千葉県警のYoutubeチャンネルを見てみると、シーポックは必ず登場させなければいけないというルールは無いようです。
 というか千葉県警の人たちが頑張っていろんな動画を作っているのでぜひとも一度は見ていただきたいのですが、作成に関して明確にテンプレートが存在するわけでは無いようです。
 そのおかげで、大変ユニークで面白い動画になっていたり、一方で演技指導は無理すんな…と反省と対策が必要そうな動画もあります。
 基本的に自分たちで企画・脚本・準備・撮影・編集を行うようです。予算はあまり無さそうな印象ではあります。予算ないよねこれ…?

 千葉県警公式チャンネルを2022年8月16日現在確認しますと、2021年7月23日以降、同年9月20日(企画書で交通安全運動期間外と設定されている期間)までに13件(計14件)の交通安全関係の動画を公開しています。

 『映像媒体の依頼状況』ですが、これは感染防止対策としてかなり方針を変更した様子が見えます。

 作成した動画の活用場所はYouTubeやTwitter上が主であるような印象は強いです。
 広報県民課が公式チャンネルの担当のようですが特に部署による厳正な審査があるわけではなさそうで、『署長の決裁が下りればいいですよ』という流れのようですね。

 他の動画でもそうですが、署長決裁まで下りた動画の内容に色々とケチをつけて作成し直してくれと言うのは全方面に角が立つし、撮影の修正が発生するなら物理的にも余計に無理だと思うんですよね…

 そもそもこういう公式チャンネルで、審査をちゃんとしてるのか?という問題があるような…(言っといてアレですが、たとえ広報側で審査基準を設けたとしても、今公開されている動画はほぼOKだと思うんですが。)

 前回の企画書には『松戸市役所市民安全課窓口への仮依頼は実施済み』と記載がありましたが、やはり今回の企画としては、市役所などの人の集まるところにモニターを設置するという手段は使わないようです。
 かといってネットだけでも寂しいという理由なのでしょうか?
 リアルでは施設や交通機関を利用した市民がサービスを利用している間に動画を視認してもらおうというような想定をしているようです。

 協力会社の名前に『京成バス』や『新京成バス』の名前があるのは、ラッピングバスの事を考えると、何か意識的な連続性を感じますね。
 特に交通安全啓発動画の関係では間接的なコラボは出来なかったようですが、この頃からもうすでに、Vtuber側は、Vtuberと市内を走るバスの融合を想定していたのかもしれません。

 一番の疑問なのは、この交通安全啓発動画がパチンコ店のデジタルサイネージで公開していたらしいという事です。
 地図ではよく見えないのですが、駐輪場もあるにはあるようなのです。
 しかしこのお店、車で来店する人が多いと見越しての駐車場685台収容だと思うんですよね…
 今後どんなニュースが後から出てきても、なんで自転車の交通ルールを紹介する動画をこのパチンコ店でやろうと思った…?という疑問は多分ずっと持ってると思います…。

<疑問点>
★本当にパチンコ店で動画を放送していたのだろうか?
★なんで松戸警察署で保管している書類じゃなくて確認用の松戸東警察署保管の起案用紙を開示したのだろうか?

「交通安全啓発動画への協力に関する覚書」について

(PDFは省略します)

起案:令和3年7月20日
決裁:令和3年7月20日
施行:令和3年7月20日
件名:「交通安全啓発動画への協力に関する覚書」について
内容:見出しのことについては、覚書を交わしたので報告します。
(署長印まで押されています)
格納簿冊:協定書・覚書関係
所属・職・氏名:松戸東警察署交通課係長(名前黒塗り)

<別紙>
 捺印済みの覚書が添付されています。
 内容については、note記事④に添付した覚書案文と同じものです。

≪考察≫
 調印式でサインした覚書のうちの、松戸東警察署で保管する一枚のようです。

<疑問点>
★開示されたのが松戸警察署で保管している覚書じゃないのはなんでだろうか?


結論

 フ議連側の認識で大きく間違っていることが一個あるなぁと思ったのですが、2022年4月26日付某松戸市議の活動報告チラシの中では、例の動画の事を『子ども向けの「交通安全キャンペーン」の動画』『こどもたちに見せるのには教育上問題がある』と記述しているんですよね。

 まずフ議連側は『なんで子ども向けと思ったのか』を確認した方がいいような気がしてきました。

 そして、Vtuber支持側も、『この動画はネットやSNS以外のリアルな場所でも同時期に放送する事になっていたらしい。場所はパチンコ店』というのはちょっと覚えておいた方がいい情報のような気がします。

 もう一つ。
 今回のフ議連からの公開質問状は、警察にとってはどういう認識だったんでしょうか?
 覚書には「映像を無償で自由に使用できる」とも「問題があったらそのつど3者で相談しようね」とも書かれています。

 公開質問状への対応と、この覚書への対応はセットだと思います。
 千葉県警の考える『誠意ある対応』というのは一体何だったのか。
 警察側はそれを『検討の結果、本来と異なる意図で伝わることが懸念され』、『削除』という形で表明したという事実だけが、今はあります。

 そういったちょっとした認識のズレが解消されないまま、フ議連は『千葉県警が動画を削除しただけで反省も謝罪もしていない』と砂漠に水を注ぎ、Vtuber側も『千葉県警に削除をさせたのはフ議連』という認識を決して崩さずに貫き通しているところを見ていると、抗議活動が/キャンセルカルチャーが、何も解決しないまま、某Vtuberの姿かたちでミーム化してしまう恐ろしさを感じています。

<疑問点>
★動画は『子ども向け』なのか?
★提携先から契約違反で訴えられると思うんだけど、警察には法務部に準ずる部署が無いの?

 次回は、千葉県警に届いた動画関連の意見やクレームについての書類を調べていく予定です。
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 それでは、また。

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