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ミュージカル『ミス・サイゴン』2022⑤

キムの選択について…(過去記事)


さてさて、私が初めてこの作品を観た時(25thロンドン版)から、約5年間、この作品に触れるたびに、何故キムは最後のあの選択をしたのだろう?とずっと心に引っかかってた🧐
 
 
当時と今とでは、置かれている状況が違い過ぎて、平時に生きている私がキムの思い全てを想像できるわけはないんだけど…でも、私なりのある1つの解釈を、とりあえず、書いてみる🖊
 
ネタバレしてますし、めっちゃ長いです⚠️
でも、一文でも削ると、真意が伝わらなくなりそうなので、書きたいように書きました😉

 
 
 
 
まず、最初に観た時、キムのあの行動に何を思ったか…嘘でしょ🤭あんな小さい子、残して死ぬの?😨クリスと話もしてないのに…エレンがちゃんと面倒見てくれるかどうかの保証もないのに信じられない😓と…
 
で、娘に最初に25thロンドン版を観せた時、どうしてキムはああしたんだと思う?って聞いてみたら…
タムにちゃんとした生活をさせてあげたくて、自分が死ねば、クリスが引き取ってくれると思ったからじゃない?だって、♪命をあげようの中で、"あげよう私にないもの大人になって掴む世界を"とか"掴まえなさいチャンス"とか"お前のためなら、命もあげるよー"って歌ってるわけだから…という返答 ※今現在は、それだけではないという解釈に至っているようです!
 
うーむそれはたしかにそうなんだけど…🤔
 
どうも、今ひとつ腑に落ちないなぁ…と
 
もし、本当にタムのことを思うなら、まず、クリスと話し合うと思うんだよな🙄だってさ、タムが大事にしてもらえる保証なんてないんだからさ、ちゃんと話し合って、タムを認めてもらって、アメリカに連れて行ってもらうならそうして、時々、幸せにしているか、遠くからでも確認しながら我が子の成長を見届けたいと思うんじゃないかな…ってだって、3歳よ…母親なら、どうやっても自分が盾になって、守りたいっていう気持ちがあるのが普通なんじゃないかな…と思っちゃう😥
 
まぁ、クリスは優しいから、絶対大丈夫って思ったのかもしれないけど…
 
そう考えると、幼い子を1人残してまでも…で、考えられるもう1つは………
 
キムにとってタムは、愛する息子であると同時にクリスそのものでもあったのかな…と😶
♪今も信じてる で歌ってるように、過酷な戦後のベトナム暮らしの中で、ともすれば、夢幻だったのか…とも思えてしまう2人の出会い、それが現実であったと思える唯一の証がタムで、タムを守り育てることで、いつか必ずクリスが迎えに来てくれて幸せになれる("信じてるからこそ生きている"と歌い上げてる)…と信じていて、それが生きる力になった…とトゥイにも言っている🤔

さらには、周りにたくさんいるブイドイ、でも我が子は違う…ちゃんと愛し合った父親がいて、必ず迎えに来てくれて3人で暮らせる日がくる…というのが、キムの誇りであったと思うし、辛い生活の支えでもあったと思う🙁
 
クリスと離れ離れの3年間、キムにとっては、物理的な距離はあっても、気持ち的にはすぐそばにいたクリス…
ベトナムを脱出し、バンコクに移ってから、エンジニアの届け出をアメリカが認識し、クリスとジョンがやってきて、図らずもクリスに会うより先にエレンの存在を知ってしまった、あの日…
物理的距離は近づいたのに、キムの心の中にいた、自分だけを見ていてくれたはずのクリスは一瞬で遠くなって…いやむしろ消えてしまったひたすら思っていたのは自分だけだった…と🥺
 
 
【クリスを信じること=生きていく意味】だったキムには、クリスが自分以外の人と人生を歩き初めていたという、その事実を知った時点で、生きる意味を失ってしまったのではないかと…
 
そうじゃないんだけどね😥…クリスも、キムのこと思ってるんだけどね😢…でも、もうキムにはそんなこと冷静に考える気力さえ、湧いてこなかったのかな…と
 
クリスを永遠に失ってしまった(エレンとどちらを取るかとか、援助してもらうとか、そんなことはキムにとっては意味がなくて、自分と同じように、自分だけを思ってくれていて、3人で家族として幸せになるはずのクリスはいなかった)キムにとっては、何のために苦労してタムを育ててきたのかも、わからなくなってしまっただろうし【タム=クリスとの希望】だったわけだから………ね🥺
身も蓋もない言い方すると、もうタムと一緒にいる意味もない…と思っちゃっても仕方ない😓
 
もちろん、育ててる時は、母としての愛情はあったと思うし、一幕終わりの♪命をあげよう を歌ってたあの時は、愛する息子のためなら自分の命も惜しくないって思ってたんだと思うけど、それはクリスと3人で暮らせるという希望があったればこそで……いざ、クリスを失ってみたら、何もかもが無になっちゃったみたいな…😢
 
 
そんなキムに残された想いは、たった1つ、タムをブイドイにしないこと…ここはキムの最後のプライド😐
悲しみと憤りと悔しさがごちゃ混ぜになった絶望…キム自身は……女としても、"愛するクリスの子であるタム"の母としても、生きる意味を失ってしまった、その先で…
 
「あなたが一緒に生きようって言ってくれたから、私はタムを必死に守って育ててきたわ…今度はあなたの番よ…引き取ってあなたが育てて…タムはあなたの子供なんだから」
 
キムの静かなる抗議…
 
あなたへの愛は私の命そのものでした…という意味も含めて……
 
 
ラスト、クリスの腕の中で、キムが消え入るように歌う"ひと夜で遠くなる"……は
 
サイゴン陥落の日に離れ離れになってしまったことと
 
やっと会えると思った矢先にエレンの存在を知って、キムの中にいた"自分だけを愛してくれているはずのクリス"が消えてしまったこと
 
の両方の意味があるのかな…って🥺
 
 
こう書いてくると、やっぱりクリスクズじゃねになっちゃいそうだけど…
 
クリスはクリスで、真剣にキムとのことを考えていたわけで、心をキムの元へ置いてきてしまったから、一年間、なんとしてもベトナムに戻りキムを救いたいと悶々として、周囲に心を閉ざし、喋らなくなってしまったんだろうし…
キムを救い出せなかったという自虐の念に苛まれ続けていたんだろう
 
でも、当時の状況では、ベトナムの混乱の中にいるキムを探し出すことは容易ではなかったはずで、クリスの家族や友人たちは、なんとかクリスの心を解きほぐそうと手を尽くしたのではないかと…
ベトナムを忘れることでしか、前を向いて生きて行く道はない…という選択を余儀なくされて…でも、新たな生活の中、忘れようと努めていただけで、忘れられないから悪夢にうなされる😣
 
キムのこと、真剣に愛していたのは間違いないんだけどね………😢 
 
クリスとタムとエレン、その後、どうなったのか、気になります🥺
 
 
これから、まだまだ、未見の充希ちゃんキムも含めて、私のサイゴンは続くので、そしたら、また何か受け取るものが変わるかもしれませんが、とりあえず、今の私の解釈でした💁🏻‍♀️

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