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The Beatles 『 Yellow Submarine 』歌詞の訳

1. Yellow Submarine

  

あの町にね、ぼくがうまれた町だよ、
あの男がね、うみに漕ぎ出た男だよ、
住んでてね、ぼくらに一生の自分を、
海の底の土地での一生を話したよ。

「さて、
俺らは水の上を進んでいたわけさ、天道様を目印にな。
ところが、俺ら航海には未熟だったわけさ、酔って真青。
それでな、波間の下に暮らすことになったんだ。
腰抜けうみの底、疑い深いうみの底さ。

俺らはみな、黄色い海底に居るんだぜ、
波を透かして届く黄色の光の下、びくびくと。
俺らはみな、黄色の海底に居るんだぜ、
波を透かして届く黄色の光の下、ねたましく。

俺らの仲間は、みんな、出航したんだぜ。
その中のほとんどが、今、この海の下、隣りに住んでいる。
さて、楽団が演奏を始めたぞ!

だらしない生活をしてるたって、
俺らはみな、要るものはあるんだし、
そらは青いし、うみは緑。
黄色い海底ではそうなのさ。

俺らはみな、黄色い海底に居るんだぜ、
波を透かして届く黄色の光の下、びくびくと。
俺らはみな、黄色の海底に居るんだぜ、
波を透かして届く黄色の光の下、ねたましく。」   


2. Only a Northern Song

   

 
この歌を聴いてる途中で、
あなたは、和音が調性を逸脱しそうだと思うかもしれない、 
けれども、そうではないのです、私たちはこの様に書いたのですから。 
夜にこの歌を聴いているとしたら、 
あなたは、再生機は楽団の演奏を正しく再生してないと思うかもしれない、 
けれども、それでいいのです、楽団はこの通り演奏しているのですから。 
注目点ではないのです、私がどの和音を弾いているのかとかは。 
私が口にした歌詞は何だとかも、何時だかとも。 
北極圏の歌である限り、これでいいのです。 
気にすることではないのです、私が何を着ているかとは、 
私の暮らしぶりはどうだとか、髪が栗色だとどうだろうかとかは。 
北極圏の歌である限り、これでいいのです。 
あなたが、この和声は不可解だし 
調性を無効化していると思うこともあるだろうけれど、 
そう思ったなら、それでいいのです、北極圏には人はいないのですから。 
前に言いましたね、人のいるところではないのです。  



3. All Together Now 

  

 
いち、にい、さん、しい、 
もうちょっともらえる、 
ごお、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう、 
だいすき。 

えい、びい、しい、でぃ、 
おともだちをおちゃにさそっていい、 
いい、えふ、じい、えち、あい、じぇい、 
だいすき。 

とん、とん、とん、とんぱ、とん 
ふなながし! 
ぼうたおし! 
なわとび! 
ほら、みてよ。 

ほら、みんないっしょにやろうよ、 
さあ、みんないっしょにあそぼうよ、 

くろ、しろ、みどり、あか、 
おともだちをかだんにあんないしていい、 
もも、ちゃ、きい、だいだい、あお、 
だいすき。   



4. Hey Bulldog 

  

T.S. エリオット 「J・アルフレッド・ブルーフロックの恋歌」 
T.S. エリオット J・アルフレッド・ブルーフロックの恋歌

それじゃあ行こうか、アンタとワタシだけでね、 
頃合いも、夕闇が空に広がる頃だしね、 
その様子ったら、台の上でエーテル麻酔をされた患者の様だね。 
行こう、どっかの半分は荒れ果てた通りを抜けてね、 
一泊限りの安宿、牡蠣の殻とおがくずがばら撒かれている食堂が 
連なっている通りの中にあってね、夜の間中落ち着かなく 
何かゴロゴロ鳴り続けているけど、そこが隠れ家さ。 
通りは続いているね、似ているね、我知らず熱中していく 
長々の論争みたいだ、 
アンタにいくらでも質問させてしまう様な…
あああ、「あれは何?」と聞かないでくれよ、 
行こう、見物するんだ。 

部屋の中では、女たちが行ったり来たり、 
ミケランジェロについて話し続けている。 

窓ガラスに黄色い霧が背中を擦り付けてるだろ、 
窓ガラスに黄色い煙が鼻面を擦る付けてるだろ、 
夕べの隅に舌を突っ込んで舐めてるだろ、 
排水溝の水たまりにへばりついてるだろ、 
煙突から煤が背中に落ちるままにさせてるだろ、 
テラスまで滑って、パッと飛ぶ、 
それから、温かな十月の夜だなと見てとると、 
家を一回り取り巻いて、眠りに落ちるわけだ。 

実際、だから時間があるわけだ、 
黄色い煙が通りに沿って流れて、 
窓ガラスに背中を擦り付けるから、 
その間の時間がある、だから時間があるわけだ、 
アンタが出会う顔に合わせる顔を作るのに、 
掛かる時間、殺して生む、その間の時間がある、 
仕事の時間、時計の針が回る、その時間、 
質問がつままれ、アンタの皿に落とされる、その間の時間、 
アンタのための時間、ワタシのための時間、 
まだまだ躊躇するための時間、 
百回構想して、百回改正する時間、 
そんな時間が、朝のトーストとお茶の前にあるわけだ。 

部屋の中では、女たちが行ったり来たり、 
ミケランジェロについて話し続けている。   

実際、時間はあるはずだ、 
迷う時間、「する気か?」と言って、「する気か?」と、 
戻って階段を降りる間はある、 
ワタシの髪の分け目には禿げてるところがあるのだから、 
(「彼の髪はとっても細ったねえ」と人は言うだろう) 
ワタシのモーニングコート、顎にかっちり食い込んでるカラー、 
太くておとなしめのネクタイ、でも、質素なピンで目立ってる、 
(「でも、手足はひどく細いねえ」と人は言うだろう) 
する気か 
全世界を乱すつもりなのか? 
一分あれば間に合う、 
決定して修正する時間、一分あればひっくり返る。  

何てたって、ワタシは皆をもう知っている、みんな知っている。  
夜も、朝も、昼も知っているのだから、 
ワタシは、人生をコーヒースプーンで測ってきたのだ、 
向こうの部屋からの音楽はほとんど消えかけて届く、 
その下の消えかけの声を、ワタシは知っている。 
       どう取れば良かった? 

それに、ワタシはもうあの受け穴[目]を知ってた、よく知ってた ー 
アンタがキッチリとした句に嵌め込んだ受け穴、 
それで、ワタシがキッチリ注視され、留め具にぶらんとしてる時、 
壁にのされて、モジモジしてる時に、 
どうやって、その日一日の元口を 
吐き出せば良かった?
 どう取れば良かった? 

それに、ワタシはもうあの肘掛け[腕]を知ってた、よく知ってた ー 
腕輪を着けた、白くてむき出しの両腕、 
(でも、ランプの光りの中、薄茶の毛髪でぶら下がってる!) 
ワタシをこんなに脱線させるのは 
ドレスから放たれている香りのせいか? 
一台のテーブルに載せらている、一枚のショールに巻かれている、腕が何本か、 
 どう取れば良かった?  
 ワタシはどう始めればよかった?  

どうだろう、夕暮れ時、ワタシは狭い通りを歩いていて、 
窓から迫り出した、ワイシャツだけの独り身の男たちの
いっぱいのパイプから上る煙を観察していたと、言えばいい?  

静かな海の底をちょこちょこ横切っていく 
カニのぼろぼろはさみだった方が良かった。   

それで、午後も、夕方も、カニはおだやかに寝てる! 
長い指で撫でつけて、 
ほらここ、アンタとワタシの側で、のびている 
ねむって…、疲れている様で…、寝たふりなのか。 
きっと、お茶とケーキとアイスの後、ワタシは 
その時を無理にも重大な岐路となる様な力を持つべきだった? 
けれど、ワタシは血を流して断食してたし、泣いて祈っていたから、 
けれど、ワタシは自分の頭(少し禿げてた)が大皿で運ばれるのを見てたから、 
ワタシは預言者ではないよ、ああ、それはどうでも良いこと 
けれど、ワタシは自分の偉大さがさっと過ぎったのを見たことがあるから、 
それに、永遠の召使がワタシのコートを掲げるのを見たし、忍び笑いを見たし、 
詰まるところ、ワタシは怖がっていたわけ。 

そもそもが、甲斐のあることだったのだろうか、 
マーマレード、お茶、会食の後、 
陶器に囲まれ、アンタとワタシの会話の最中、 
あんなこと、甲斐のあることだったのだろうか、 
微笑みながら物を噛みちぎるなんて、 
世界をボール程に絞りこむなんて、 
そのボールを膨大な質問へ転がすなんて、 
「私はラザロである、死より戻って来た、
諸君に伝える為に戻って来た、すべてを話そう」と言うなんて、 
きっと、きっと、彼女の頭の側に枕を置いて、 
    「私が思っていたのはそんなことではないのです 
    まったく、違うんです」と言えばよかった。   
そもそもが、甲斐のあることだったのだろうか、 
甲斐のあることだったのだろうかそれでも、 
日没の後、家の前庭、小雨の通り、 
小説の後、紅茶茶碗のうしろ、床を引き摺る長いスカートの後ろ、 
それから、もう十分か? 
思うことを話すのは無理! 
けれど、魔法のランタンが繰り返し模様の脈をスクリーンに映す様に 
甲斐のあることだったのだろうか、
きっと、きっと、枕を置いたり、ショールをするりと落としたり、 
そして、窓の方を向いて、言えばよかった、 
    「私が思っていたのはそんなことではないのです 
    まったく、違うんです」。   

そんなわけない! ワタシはハムレット王子ではないし、それに 
王の御前に列席する諸侯の一人でもない、 
ほら、行幸を盛り上げる奴さ、場面の一つや二つを始める奴、 
王子に進言するんだ、間違いなく、使われやすい奴、 
恭しくって、喜んで使われる奴、 
思慮深くって慎重で注意深い、 
高尚な文でいっぱいで、でも、ちょっと頭が鈍い、 
時には、ほんとに、ほとんど愚か、 
ほとんど、時には、馬鹿、そんな者でない。   

ワタシは老いる…、 ワタシは老いる…、 
ズボンの裾を捲って穿く様になる。 

髪を後ろへ撫でつけた方がいい? 思い切って桃を食べた方がいい? 
ワタシは白いフランネルのズボンを履くことになるだろう、で、海岸を歩く。 
ワタシは人魚たちが歌うのを、お互いに歌い交わすのを聞いたことがある。 

ワタシは人魚たちがワタシに歌ってくれてるとは思わない。 

ワタシは見たことがある、白と黒の海へ風が吹きつけて、 
波の白い髪を後ろへ撫でつけている時だった、
人魚たちが波に乗って沖へ向かっていたんだ。 
アンタとワタシはぐずぐず居残っていた、海の部屋にね、 
側には、赤や茅色の海藻にくるまれた海の女の子たち、 
そのうちに、人間の声がワタシたちを目覚めさせた、と、溺れた。  

 

Hey Bulldog   
 
ひつじいぬ、雨ふってんのに、じっとしてる 
うしかえる、また、ノシノシはじめた 
しあわせのひとつは、マイルで測れるさ。 
アンタほほえんでるけど、アンタが特別だと思わさせてるのはなにさ? 

む邪気、だれもわかってない 
ジャックないふ、あせばんだアンタの手に 
じゅんしんのひとつは、歳で計れるさ。 
アンタの耳、じぶんのおそれに澄ますってどういうことかわかってないね。 

アンタ、ワタシに話していいよ、 
ほかに誰もいないなら、ワタシに話していいよ。 

おとなおとこ、公園をあるいてる、 
円すいテント、暗やみにバタバタしてる、 
さびしさのひとつは、アンタで量れるさ。 
なんだそれか、ってアンタ思ったかい、でも、 
       アンタ、見当もつかなかったんだろ。 

なあ、英国犬、そうだろ、英国犬、ちがうか、英国犬。   



5. It's All Too Much

   

 
至聖の君、あなたの瞳を覗き込む、と、 
あなたの慈愛が私を迎えてくれている 
視線をあなたのもっと内奥へと進める 
と、目に入るものがもっと増えていく。 
あなたの周りで輝く慈愛、あまりに多すぎて、それももっと増えていく、
それを私は頂くのだが、私の手には余るのだ、取り尽くせはしないのだ。 
あなたは私たちがそれに与れる様にと、至る所に慈愛を施す、有り余る程に。 
あなたは私を伴い、時の流れの上を、一つの生から別の生へと漂いながら、 
あなたが現存するところ、これから現れ様とするところ、 
それらの何処にも何の違いもないことを私に示すのだ。 
この世のすべてを照らすあなたの慈愛、それはあまりに多すぎて、 
それももっと増えていく。 
この世の全体は誕生日のケーキの様だ、私たちはその一切れずつを分け取るのだが、 
一切れなら多すぎはしないのだ。 
銀に輝く太陽、その上でなら私が自在でいられることを私も分かっている、 
あなたは私をそこで帆走させて、私に示してくれる、私もこの世のすべてに 
偏在していることを。そうしてから、お茶の時間には家に戻らせてくれる。 
あなたの周りで輝く慈愛、あまりに多すぎて、それももっと増えていく、 
学べば学ぶほどに、私はどれ程知らないでいるか 
すべきことはあまりに多いことが分かっていく。 

 …、あなたの長い金の髪に導かれ、あなたの青い目に示され、…、 



6. All You Need Is Love 

 

すき、すき、すき、
すき、すき、すき、
すき、すき、すき 

そもそもが為果せない様に出来てるのだからやり様がないだろう、 
そもそもが歌わせない様に出来てるのだから歌い様がないだろう、 
一言もないね、でも、正々堂々な振る舞い方は身に付けられるよ、 
屈託なくね。 

そもそもが作らせない様に出来てるのだから作り様がないだろう、 
そもそもが貯させない様に出来てるのだから貯め様がないだろう、 
一手もないね、でも、合わせる様にする仕方は身に付けられるよ、 
大体さ。 

畢竟、君に欠けてるのは、好きになること、 
他でもない、君に欠けてるのは、好きになること、 
全く以て、君に欠けているのは、好きになること、 
好きになることが、君がすれば良いことなんだ。 

そもそもが知られない様に出来ているのだから知り様がないだろう、 
そのそもが見せられない様に出来てるのだから見ようが無いだろう、 
君がそこに居る様にはなってなかったのだから、席はないよね、 
それで良いだろう。

畢竟、君に欠けてるのは、好きになること、 
他でもない、君に欠けてるのは、好きになること、 
全く以て、君に欠けているのは、好きになること、 
好きになることが、君がすれば良いことなんだ。 



S-1.  Lady Madonna

御局奥様、両の御御足に御子らがとりついて居られますな、 
然も不思議やな、帳尻をどうやってお合わせになるやら、 
何方様が貴女が為に用立てて、お屋敷のお家賃をお支払いなされるやら、 
然もや、銭は天よりの授かり物と思し召しか? 

フレイヤ女神の日の夜、行李も持たずに御出でになるが常のこと。 
ソール女神の日の朝には、黒頭巾鳩の如く誰にも知られず出奔が常。 
マーニ神の日の御子は、既に靴紐の結び方を習得されて居られる。 

天晴れ、御子らは駆けてゆく。 

御局奥様、乳房には嬰児がとりついて居られますな、 
然も不思議やな、他の御子にはどうやって御膳をお与えなさいますやら。 

御局奥様、御床に横たわって居られますな、 
みかしらの内で鳴る楽の音に耳を欹てて居られる。 

ティール神の午後は終わることが御座いません。 
オーディン神の朝、新聞は来ることが御座いませんでした。 
トール神の夜には、御靴下は繕わねばなりませんでした。 

天晴れ、御子らは駆けてゆく。 



s-2.  Baby You're A Rich Man

 

 
名士に列せられるって、ご感想は? 
さてと、あなたはなりたいものがわかっている人だとわかったわけなの? 
それで、肉眼で見える限りは旅行もしてきたわけなのかい? 

佳人に数えられるって、ご感想は? 
知り尽くすほどって、どれくらいそこに行ってたわけなの? 
なんにも上演してないとこにいて、あなたは何を見たのだい? 

「あなた」が答える:
「君って、面白い人、 
興味深い人、 
なんだか、いろいろな人だね、 
お金は、大きな紙袋に入れて、動物園に置いてるって、 
なんてことをする人だろうねえ。」 

一流に仲間入りって、ご感想は? 
とっても楽しい、ミの音に合わせるんだね。 
それで、何を弾こうとして、新しい調を見つけたのだい? 



sー3. The Inner Light

 

不出戶知天下
不窺牖見天道 
其出彌遠其知彌少 
是以聖人不行而知 
不見而明不爲而成  

戸から出る必要はなく 
下界に出来するすべてを知悉する。 
窓から仰ぎ見る必要もなく 
星辰の運行を熟知したのだから。 

旅路をさらに伸ばせば 
無知はさらに広がる 
知ることは、まことに、少なくなる。 

戸から出ることはなく、
聖人は下界のすべてを知悉する 
窓から仰ぎ見ることはなく 
聖人は星辰の運行を知る。 

聖人は、行かずに知を得、 
聖人は、見ずに明らかにし、 
聖人は、行為せずに成し遂げる。 


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