見出し画像

The Beatles 『 Let It Be 』歌詞の訳



1.  Two of Us 

女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、どこにも通じていない自動車道路ね、 
でも、それもどこかのどなた様かが、財を注ぎ込んでつくったものなのでしょうねえ。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、日曜時間のゆっくりした速さで自動車旅行をしてるだけさ、 
中々着きそうにはないけれどね、それでもね、我が家へと帰る道にはいるんだよ。」 

女と男「わたしたち、 
私たち、我が家へと帰る路を辿っている、 
結局は、我が家へ帰ることになる。」 

女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、いつまでも配達中の絵葉書ね。 
でも、わたしは、その絵葉書、わたしのお部屋の壁に押しつけて書いたのよ。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、火縄を点けたままにしておいた、そうして周囲を欺くんだよ、 
ほら、それが閾を越える許しだったんだ、我が家へと続く道が展望出来るよ。」

男、独白「お前と私には、幾つもの思い出がある。 
それは、今目前に延びている道よりも、まだ、先にまで残っていく思い出さ。」

女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、ずっと外に出しっぱなしのレインコートね。 
もう、天気になって陽が差しているのに、空っぽのレインコートが立ってるの。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、兎狩りごっこを遊んで、印の紙を追っているのだよ、 
堂々巡りで、何所か別の所へ抜ける分けではない、最後には、我が家へ戻るんだよ。」   


2. Dig a Pony 

オレ、はあ、わあ、わあ、ポニーなんか好き( 坑道小馬 )。 
やあ、オマエはいつも寿ぐ、オマエに欠けてるものを。 
なあ、オマエはいつも寿ぐ、オマエに欠けてるものを。  

オレ、はあ、わあ、わあ、なんか傍若無人( 海道豚 )。 
やあ、オマエはたいてい通じる、オマエが行くところで。
なあ、オマエはたいてい通じる、オマエが行くところで。 

オレはオマエにこう言った。 
「こうあって欲しいとオレは思ってる、なんでもかんでも、オマエを映している様にと。 
だからだ。何もかもが、オマエが好む様になってないといけないんだ。」

オレ、はあ、わあ、わあ、脇月なんかに付き侍る( ミシシッピ川沿いのアメリカヤマボウシ ) 。 
やあ、オマエはきまって放射する、オマエの存在そのものを。 
なあ、オマエはきまって放射する、オマエの存在そのものを。

オレ、はあ、いま、わあ、石果なんか転がす( 路傍の石 )。 
やあ、オマエはふだんそのままなぞる、オマエが知っていることを。 
なあ、オマエはふだんそのままなぞる、オマエが知っていることを。 

オレはオマエにこう言った。 
「こうあって欲しいとオレは思ってる、なんでもかんでも、オマエを映している様にと。 
だからだ。何もかもが、オマエが好む様になってないといけないんだ。」 

そして今、い、ま、オレは、風が吹いてるのを感じる。 
そう、オマエが見たものは皆、瞳に表れている。 
本当に、オマエが見たものは皆、瞳に表れている。  

そして今、オレ、はあ、わあ、荷船に石炭を積んだ。 
それで、オマエは声を揃えて船を漕ぎ出せと言えるんだ。 
そうだ、オマエは声を揃えて船を漕ぎ出せと言えるんだ。   


3. Across the Universe 

言葉がね、次から次へと溢れ出てくるんだね、ほら、捨てられたままの紙コップに雨がいつまでも降ってコポコポ音を立てている時みたいだよ、それでね、その言葉はね、うねうね蛇行して行って、宇宙の向こうへ消えていくんだね。 
悲しみの淵があるんだけどね、そこを楽しみの波が渡って行くんだけどね、その時、ぼくはあけっぴろげでいるからね、波はぼくの心の中を勝手に通っていくわけ、ぼくのことを巻き込んだり、優しく撫でたりしながらね、通り過ぎていくんだね。 
マントラ「南無大師」 
大師の言葉「我が世界を変易させむとせしものは全く存しない。」  

光がね、瞬いているんだね、ほら、一百万の瞳がまばたきしているみたいにチカチカとしてぼくの目の前で踊っているようだよ、その光の幻影がね、何度も何度もぼくを呼んでいるんだよ、宇宙の向こうでね。 
思いが堂々巡りをしているよ、そうだね、郵便箱の中に入った風が止まることなくグルグルと走り続けているのと同じだね、思いはなんとか出口を見つけようとドドドウと走り回っているのだよ、そして、宇宙の向こうへ行きたいんだ。 
マントラ「南無大師」 
大師の言葉「我が世界を変易させむとせしものは全く存しない。」 

笑う声がね、ほら、あれが生命を思い起こさせる声だよ、その声がね、聞き耳を立てたぼくの耳の中で鳴り響いているんだよ、そして、ぼくを招き寄せ、惹きつけるんだ。 
愛があるんだよ、無限で死ぬことのない愛なんだよ、ほら、それが、一百万の恒星の様にぼくを取り囲んで輝いている、そして、宇宙の向こうから、何度も何度もぼくを呼んでいるんだ。 
マントラ「南無大師」 
大師の言葉「我が世界を変易させむとせしものは全く存しない。」   


4. I Me Mine   

日のある間はずっと、 
私がそれをする、それをするのは私、それは私こそするもの、
  私が、私は、私のため、 
帷が降りている間はずっと、 
私が、私による、私のため、私は、私に、私を 

ごらんよ、人々は “i” が等閑視されないかと気を揉んでる、 
誰もが、 “i” をより優位に置いて解釈している、
それもずっと 

日のある間はずっと、 
私が、私による、私のため 

私、わたし、ワタシ、自分 

耳にするのは決まって、
私、私、私、 
それは泣いている時にでも、 
私、私、私、 

誰一人も、 “i” を口にするのを憚らない、 
誰もが、 “i” と言って話している、 
気前よく垂れ流している、ワインではないからね 

日のある間はずっと、 
私、私、私、、、、  


5. Dig It   

道ばたに転がってる一個の石ころみたいに、
なんだろ、道ばたに転がっている一個の石ころみたいな何かに似てるものみたいな、 
F.B.I. みたいな、 
C.I.A. みたいな、 
B.B.C. みたいな、 
B.B. KIng みたいな、
それに、ドリス・デイに似てる、 
マット・バスビーに似てる、 
注目、注目、注目、注目、注目、
注目、注目、注目、注目、注目、注目、注目、注目、注目、注目、
いまのは、ジョージ・ウードの「 キャン・ユウ・ディグ・イト 」でちた。 
つぎはあ、「アワア・ジ・エンジェルズ・カム」をかけよとおもいまちゅ。 


Doris Day アメリカの女優。
Matt Busby はイギリスのサッカー選手、監督。 
Georgie Woods という人は、フィラデルフィア、ペンシルベニア地区でラジオのパーソナリティーをしていた人、テンプテーションやスティービー・ワンダーを精力的に掛けていた人。 Georgie Wood というイギリスの喜劇俳優もいるけれど、DJ スタイルの喋りなので、Georgie Woods の可能性が高いのではないかと推察する。   



6. Let It Be  

いつの間にか、気が付くと、僕は、揉め事の中。
そんな時、死んだマリー母さんが来るんだ。 
母さんは、賢者の言葉の片句を繰り返している。 
「我に成れかし」 

それで、時も忘れて、僕は、真っ暗の中。
そんな時、母さんは僕のすぐ側に立っている。
母さんは、賢者の言葉の片句を繰り返している。 
「我に成れかし」 

「我に成れかし」「この身に成りますように」 
母さんは、賢者の言葉の片句を繰り返している。 
「我に成れかし」 

身近な人を亡くして悲嘆にくれている人たちは、
それでも、この世に折り合いを付けている。 
でも、亡くなった人からの返事があることもあるんだ。 
「我に成れかし」 

生きている人もいずれは死ぬ。とは言っても、
生きている間にも、亡くなった人に会うことがあるんだ。 
亡くなった人から返事があることがあるんだ。
「我に成れかし」 

夜の間、それも曇って星明かりもない、 
そんな時でも、一条の光が差して来る。 
夜明けまで照らしてくれるんだ。 
「我に成れかし」 

そんな時、僕は目覚める、耳の中に音楽。 
そう、死んだマリー母さんが来るんだ。 
母さんは、賢者の言葉の片句を繰り返している。 
「我に成れかし」 

ルカ福音書1:38
そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。

マリヤ言ふ『視よ、われは主の婢女なり。汝の言のごとく、我に成れかし』 

εἶπεν δὲ Μαριάμ· Ἰδοὺ ἡ δούλη Κυρίου· γένοιτό μοι κατὰ τὸ ῥῆμά σου.

And Mary said, "Behold, I am the servant of the Lord; let it be to me according to your word."

And Mary said, Behold the handmaid of the Lord; be it unto me according to thy word.   


7. Maggie Mae ( 民謡 )   

あああ、すれっからしのマギイ・メイ、 
捕まっちまったよ、 
もうライム通りを歩くこともないだろうな。 
あああ、判事さん、判事さんは窃盗罪を
言い渡したよ、ひどい、情状酌量もない
窃盗さ、航海から帰ったばかりの男から盗んだのだから、マギイ・メイ。 

それは、リヴァプールのあるところだったのさ、 
あの女は俺を見直したのさ、って、 
俺の給金、 
週に二ポンドだったからさ。    



8. I'm Only Sleeping / I’m So Tired / I’ve Got A Feeling   

誰もに辛い一年があった、
誰もに嬉い一時があった。 
誰もが枕を濡らして寝たことがあった、 
誰もが輝く陽を顔に浴たことがあった。  

目を覚ますと、まだ朝早くて、 
ぼくは、頭を上げたけど、口は大きく開いたまま。 
夢の真っ只中、まだ途中で、 
ぼくが、潜り込んだベッドは、夢のせせらぎへ浮かび上がる、 
だから、おこさないで、ぼくを揺さぶらないで、 
そのままにしておいて、ぼくは寝てるだけだから。 

疲れている、私はずっと、瞬きする間も寝てないのだ、
疲れている、私の精神は、明滅状態になっているのだ。
どうだろう、立ち上がって、自分で飲み物を用意した方が良いのだろうか。
出来ない、とても出来ない。
疲れている、自分が何をすれば良いか、私はまるで分からない。
疲れている、私は全神経を君に向けているからだ。
どうだろう、君を呼べば良かったのだろうか、でも、
君がいつも何をするかは分かってるから。 

誰にも良い一年があった、 
誰にも髪が抜ける思いの時があった。 
誰もが緒を締めて勇み出た時があった。 
誰もが地団駄を踏んだ時があった。 

ぼくはなまけもの、とみんなは思っているみたい。 
ぼくはそれでいいんだ、みんなが可笑しい、とぼくは思うから、 
どこでもあんなスピードで走り回ってるなんて、 
いつか、そんな急がなくて良かった、と気づくよ、 
だから、ぼくの大事な一日を駄目にしないで、ぼくは夢の空なんだ、 
そんなこと言わなくても、ただ、ぼくは寝てるだけだから。 

世間が活動しているのを窓から目に留めて、 
よこたわって天井を見つめてね、眠くなるのを 
時間をかけて、ぼくは待つんだ。  

私は君に大袈裟に言っていると、君は言うが、 
私は至って真面目だ、この事態は私を害しているのだ。 
私が眠れないのを、思案を止められないのを、君は知っている、 
三週間になるのも、私が発狂しそうなのも、君は知っている。 
私が落ち着いた僅かの間に手に入れたものは、 
全て君に渡していることも、君は分かっている筈だ。 

誰にも良い一年があった、 
誰もに辛い一時があった。 
誰もが枕を濡らして寝たことがあった、 
誰もが輝く陽を顔に浴たことがあった。 
誰にも良い一年があった、
誰にも髪が抜ける思いの時があった。 
誰もが緒を締めて勇み出た時があった、 
誰もが地団駄を踏んだ時があった。   

世間が活動しているのを窓から目に留めて、 
ぼくは時間をかけて…

疲れている、私は急き立てられている様に感じる、 
それでもとても疲れている、タバコをもう一本吸いたい、 
吸ったら、ウォルター・ローリー卿を罵るのだ。 
本当に馬鹿な奴だ。  

そんな感じがする、 
そうしようと思う、
そんな感じがする。    



9. One After 909   

彼女が来週の909で旅に出るって言ってるんだよ、
「言ったでしょ、引っ越すの、ね、あなた、 
その列車で旅に出るのよ。 
前にも引っ越したわ、また引っ越すの」ってさ。 
「来週の909で旅に出るつもり、」って、 
お前、そんな酷いことを言わないでくれよ。 

僕は彼女にお願いした、 
膝をついて行かないで欲しいとお願いしたんだ、 
「冗談を言ってるだけだろ、 
僕をからかってるだけだろ」って。 
「言ったでしょ、引っ越すの、また引っ越すのよ」
「来週の909で旅に出るつもり」って、 
お前、そんな酷いことを言わないでくれよ。 

鞄をとって、 
駅に走った、 
駅員は、 
「ここではないですよ」って。 

鞄をとって、 
家に走った、 
ああ、数字を読み違えてた、 
と気がついた。    


10. The Long and Winding Road   

 路がある。この路を辿れば「アナタ」の住む家の戸口に着く、と私は信じている。路は長い、そしてずっと彎曲している。路の先は見通せないのだ。まるで、ぐるりと回っている様にも思える。私の視界には、足元の路しかない。辿って来た路面が、依然として、私の眼前にある。路はどうしても同じ此処に遣って来るのだ。「アナタ」の戸口に辿り着けるのだろうか。

 夜が過ぎる。風が出る。強い風は私を押し戻す。そして、路の上で渦巻く風は、私をきりきり舞いさせるのだ。風が吹き上げた様々な物が私の視界を遮りさえもする。降って来る雨が、それだけは洗い流してくれる。けれども、雨は愚かな私を涙溜まりにしてしまう。そして、夜は、いつまでも、昼になっても、この愚かな私を泣かせ続けるのだ。私をここに足止めさせる理由は何か、行く路を示して欲しい、と叫び続けるのだ。 

 何時間も私は一人で居続けている。何時間も私は叫び続けている。私は、何度も脇道に入ってみた。あるいは、それが脇道でなく本道であるのかもしれない、と思いながら。ただ、どの路も、やはり戻ってしまうのだ。何度も踏んで来た此処。私に視界には、先の見通せない彎曲した路しかない。その路が何処までも続く。「アナタ」は、私がこうして行き迷っていることを、ずっとご存知なのだ。

 「アナタ」は、私をここで長い間待たせ続ける。長い間待たせ続ける。けれども、いつまでもここに立たせて置かないだろう、戸口へと連れて行ってくれるだろう、と私は信じている。   



11. For You Blue   

あんたのせいで切ない

あんたいい匂いそれに別嬪、それでおれあんた好きさ、 
あんたいい匂いそれに別嬪、嬢ちゃん、ほんとさ、 
ずっと好きさ、嬢ちゃん、すき。 

あんたがいて欲しいな、朝、好きなんだ、 
あんたがいて欲しいな、おれがふさいでいる時にね、 
あんたを恋しがって日がな一日暮らしてるんだ。 

作者の声「ひたり、
ひたりと、猫が歩いていくぞ、 
行けよ、ジョニー、行くんだ、 
おなじみの十二小節のブルースですよ、」 

(この曲ではエルモア・ジェイムスは何にもしてないぜ、ヘヘッ) 

あんたを見たその瞬間から好きなんだ、 
あんたおれに気が付いたろ、あんたにして欲しかったのはそれだけ、 
切ないな、あんたも切ながっていればいいがなあ。 

作者の声「ブルースを実践してみているところです。」   




12. Get Back   

自分は独りぼっちと思ってる、へのへのはそんな男。
でも、ずっと独りなんてことはないって、思ってたんだ。
アリゾナのツーソンにあった家を捨てたへのへの、
カリフォルニアかどこか、草原のある場所に行きたかったんだ。

「戻れ、戻れ。
己の生まれた所へ戻れ」
と誰かが言う。

自分は女らしいと思ってる、香り立つロレッタ・マーティンは
でも、男と変わらない女。
取り巻くお嬢さん達は、あの娘は無理やり入って来たのと言うけれど、
ロレッタは、入れるから入っただけなんだ。

「戻れ、戻れ。
己の生まれた所へ戻れ」
と誰かが言う。  






The Beatles 『 Abbey Road 』歌詞の訳


  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?