『邂逅書架 Ⅱ』が通販予約開始! 収録作『《閻魔帳》に書かれていない』の冒頭を公開します。
(えみる)こんばんえみえみ。
(山田)初回頒布イベントであったコミティアが中止になってしまった『邂逅書架 Ⅱ』ですが、無事、通販での予約が開始されました!
(えみる)よかった! あとで話すけど、思い入れのある作品なんだこれ!
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ある一冊の本を巡る物語を集めたアンソロジーの第二弾!
山田えみるは、『《閻魔帳》に書かれていない』という短編小説で参加をしています。他にもそうそうたるメンバーが、同じテーマでの小説を寄稿しています。 いまから他の方の作品を読むのが楽しみ(*´ω`*)
(山田)あー。山田(Y)ならトリを狙えると思っていたんですが!
(えみる)今回はアルファベット順だけど、君、いつも出席番号最後だもんね。
『本と出会いアンソロジー』、第一弾は諸事情により参加表明をしたものの辞退をしたので、無事、第二回に参加できてほっとしています。
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今日から通販にて予約開始! 5月6日からの発送となります。
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ちなみにこの小説、『《閻魔帳》に書かれていない』はかなり数奇な運命をたどっています。
①ホラーを書いてくださいと頼まれる。
②その企画が倒れる。
③別の合同誌のお誘いがあったので、タッチを変えて提出する。
④その企画が倒れる。
⑤『邂逅書架 Ⅱ』のお話があり、タッチを変えて提出する。
⑥新型コロナウィルスの影響でコミティアが中止になる
⑦通販開始!←イマココ!
(えみる)こうやって見るとやばすぎる。呪われているのか……。
(山田)とはいえ、今度こそみなさんの手元に届くはず……!
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(山田)いい加減マジでみなさんの手元に届いてほしいので、『《閻魔帳》に書かれていない』の冒頭部分を公開します。
(えみる)どうぞ~!
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『あっ、これは無理だ』ということがあって、死のうと思った。首を吊ってみたのだけど、苦しい思いをしたばかりで死ぬことができなかった。今度は高いところから身投げをしてみたが、やっぱり死ぬことができなかった。異なる液性の洗剤を混ぜてみたり、練炭を炊いてみたり、手首を切ってみたりしたのだけど、それでも死ぬことができなかった。
「まったく、いい加減に諦めてくださいよ」
「……だれ?」
いつしか、《死神》というものが見えるようになっていた。
『《閻魔帳》に書かれていない』
「いいですか、あなたがこのタイミングで自殺するなんて、どこにも書かれていないんですよ!」
ばんばんと古めかしい本を叩くその少年に、わたしは正座をしながら『すいませんした』と小さく言った。さっきまでざっくりぱっくり裂けていた手首の傷は逆再生でもしたかのようにあっという間にふさがってしまった。その割に、この四畳半の部屋に飛び散っている血痕は消えていなくて、夢ではなかったことがわかる。こんなに汚しちゃって大家さんにまた怒られちゃうな……。そんなことを考えていると、和装の少年は『聞いているんですか!』と声を荒らげた。
「あー、死神か。死神ね。それで君は何番隊なんだっけ」
「漫画の読みすぎです」
「妙に遠回りで器用貧乏な卍解使いそう」
「話を聞いてください!」
少年は姿勢を正して、こちらを見つめた。古めかしい本をばんと掲げる。くすんだ赤色のその本には、銀色でこの世のものではないような文字が刻まれていた。
「これは《閻魔帳》といいます。あらゆる人間の産まれてから死ぬまでの出来事が記された帳簿です。あなたが首を吊っても、身投げをしても、塩素ガスでも一酸化炭素でもリストカットでも死ねないのはこれが理由です。あなたがこのタイミングで自殺するなんて、どこにも書かれていないんです」
「なにそれ、デスノート的なこと?」
「ま、まぁ。そういえば理解が早いですかね」
「あっ、ごめんね、りんご食べる?」
「漫画の読みすぎです」
まぁそれはいいとして、ひとつ疑問が浮かんだ。
「その《閻魔帳》ってのに全部書いてあるなら、そもそもわたし自殺しようとしないんじゃないの?」
少年は大きくため息をついて。
「《閻魔帳》にはあなたのすべての行動が書かれているわけではありません。それでは死後に閻魔様が罪を裁く意味がありませんから。ここに書かれているのは、あなたの人生における主要なできごと。いわば、目次のようなものです。その中でどのような物語を紡ぐかはあなた次第」
「わたし次第なの? ならよかった。死にたいんだけど、わたし」
「そういうわけにはいきません!」
ふんすと気合いの入った表情を見せる死神くんだった。
まったく、面倒なことになってしまった。自分の生き死にくらい自由にさせて欲しい。死神くんの造形がわたし好みのショタなのはいいのだけど、追い詰められた人生の最後の逃げ道だと思っていたところがこんなかたちで塞がれてしまうとは思ってもみなかった。
「もう落ち着きましたか。それじゃ冥界に帰りますね」
「ちょい待ち」
仕事が終わった感を出して帰りたがる彼を捕まえて、部屋の血痕の掃除を手伝わせた。
「ほら、そこまだうっすらついてるから、気合い入れて拭いて!」
「帰らせてくださいよ。もう晩御飯の時間なんですって!」
「なんでまた死んでるんですか……」
その日からボクはこの風変わりな人間に取り憑くことになった。
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そんなお話です。
(山田)コメディですか?
(えみる)コメディです。
いまのところ、この『邂逅書架 Ⅱ』でしか読めない短編なので、気になる方はぜひぜひ通販をご利用ください(*´ω`*)
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昨日の記事はこれ!
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いまやってるゲームはこれ!
『原稿しない島(と)』のえみるさんカンヅメ部屋ができつつあります。ポイントは風船割ったら出てきた監視カメラ。
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