見出し画像

【おすすめ本】『五色の舟』(津原泰水)が無料全文公開中!

『なんかおすすめの小説ある?』

困るひとことですよね。ディープなものからライトなものまで色々引き出しはありますが、どのくらいの距離感で答えたらいいのかわからなくて困ってしまうことが多いです。

でももし、『SFの短編小説でなんかおすすめある?』ともし聞かれたら、山田には即答できる一冊があります。それが『五色の舟』です。傑作です。距離感とかそういうの、関係なしに読んでもらいたい、そんな作品なんです。

それがいま、無料で全文公開中なんです。

それほど思い入れのある『五色の舟』ですが、いままで紹介記事を書けなかったのには理由があります。それは『黙って読んでください』以上のことが言えないからです。

ぼくが好むのは物語のギミックやどんでん返しなのですが、この短編に関しては、文体や雰囲気まですべてが傑作なんです。物語の鍵となるある空想上の生き物や、その生き物が持っている能力でさえ、知らないままに読んで欲しい。そして人々が取る行動のひとつひとつに思いを馳せて欲しい。

読書は体験です。はじめて読むという行為は一度しかできないのです。
それをたいせつにしてください。

突如、渋谷の街とともに300年以上先の時代へと転送されてしまった高校生たちの運命を描く、話題のSFアニメ「revisions リヴィジョンズ」。同様に、奔放なアイデアと冷徹な論理で驚愕のヴィジョンを体感させる時間SF短篇の数々――アメリカSF黄金期の名篇にして文庫初収録のC・L・ムーア「ヴィンテージ・シーズン」から、オールタイム・ベストSF短篇にも選出された津原泰水「五色の舟」まで、全6篇を収録する。

津原泰水さんという作家は知らなかったのですが、駅の本屋さんでたまたま手にとったこの短編集で『五色の舟』を知りました。これはすごい……、と息を呑んだ記憶があります。

これは余談ですが、当時はじめて読んだにも関わらず、『これってどこかで読んだよな……』という既視感がありました。それがこの物語の鍵となる設定に絶妙にリンクしていて、不思議な気持ちになったような気がします。ああ、どこかの舟のぼくはこれを読んだことがあるのだな、と。

先の見えない戦時にありながら、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、異形の者たちの家族がいた。(中略)津原泰水の傑作幻想短編を、近藤ようこが奇跡の漫画化。月刊コミックビーム2013年8月号~2014年3月号に掲載の全8話を収録。カバー、あとがき(近藤氏、津原氏)は書き下ろし。

漫画版の存在を初めて知ったとき、自分の目を疑いました。正気か。こんな……、こんな物語を、漫画で!?と。

あまりに気になったのでこれも読みました。素晴らしかったです。原作の独特な雰囲気と、この漫画家さんのタッチが完全にマッチしていて、ほんとうに素晴らしい出来になっていました。

そんな小説です。
『おすすめのSF短編小説ある?』って訊かれたら、山田が即答する短編小説です。ぜひ読んでください。そして、エピローグのあのことばにできない気持ちを、ともに味わいましょう。

明日は #エアコミケ

♡数で記事の自己評価をしています。ぜひぜひ♡を押してください(*´ω`*)

いただいたサポートは、山田とえみるさんの書籍代となります。これからも良い短編小説を提供できるよう、山田とえみるさんへの投資として感謝しつつ使わせていただきます!(*´ω`*)