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マトリョーシカ

最近の小説の流行りに作中作というものがある。流行りと言っても私が読む小説の中に多いだけなのかもしれないが。
作中作は小説の中に挿入された小説のことで、小説の中で更に別の小説が展開する入れ子構造になっている技法のことで、演劇等だと劇中劇と呼ばれているものだ。恐らく、ミステリー小説で用いられることが多く、「カササギ殺人事件(アンソニー・ホロヴィッツ)」とかが作中作を用いられている小説の中では有名だと思う。外国文学は基本読まないので詳しいことはわからないが。
作中作は読者と物語の間にさらなる距離感を与え、フィクションをフィクションとしてより意識させたい時に使われるらしいが、私は作中作を用いられると、この現実すらフィクションのように感じる。日々この現実が嘘だったらいいのにと思っているので、私は作中作により自分がフィクションになったように感じるのがかなり気に入っている。
オタクの皆様が知っているものだと「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の「星くず☆うぃっちメルル」とかが作中作ですね。マクロスとかも近いと思います。
作中作の作品は沢山あるので気になった人は調べて手に取って欲しい。今回は私の気に入っている作中作をいくつかお薦めするので気になったら読んでください。読んだら感想くれると喜びます。詳しいあらすじは各自調べてください。


「オキーフの恋人 オズワルドの追憶」辻仁成
三回目結婚と離婚をしていてパリで息子と暮らしていて料理本も出している辻仁成の作品。辻仁成は江國香織とセットで書かれた「冷静と情熱のあいだ」が映画かもしていて有名だと思う。「オキーフの恋人 オズワルドの追憶」を読んだことがある人に今まで出会ったことがないが、上下巻でそれなりにボリュームがある。中古で探すとかなり安く買える。私が初めて読んだ作中作の小説で、最初は異なる二つの作品がパラレルで展開することを脳内で処理するのが二つの本を同時に読んでいるようで難しかったが、下巻を手にする頃には慣れて二つの作品が一つの作品になっていくのが気持ちよかった。
辻仁成の他の作品だと「愛をください」が好き。

「原因において自由な物語」五十嵐律人
読書メーターで読みたい本ランキング上位に入っているのが気になって買った。五十嵐律人は若く弁護士で神は何物与えるんだ……と思った。作中作とは少し違うような気がするが、物語の中にある物語を元に事件を紐解いていく話。「原因において自由な物語」に顔面偏差値が数値で示されそれを元にマッチングしてくれるアプリというものが出てくるのだが、こんなものが流行ったら怖くて泣く。

「ソフィーの世界」ヨースタイン・ゴルデル
これも作中作とは少し違うかもしれない。主人公の少女ソフィーに手紙が届いてそこから物語が展開していく話。少女がたしか中学生くらいなので、頭は使うが専門用語等はあまり出てこないから中学歳以上なら誰でも楽しめると思う。
ヨースタイン・ゴルデルは哲学者で「ソフィーの世界」は哲学書としても物語調で読みやすいのでお薦め。中学の頃からの愛読書で同じ著者のカードミステリーも御伽噺みたいで大好きなのでよければ手に取ってください。


取り敢えず作中作的な小説のお気に入りの三作品を紹介したが、小説の話はしてもし足りないくらい出来るので気が向いたらまた小説お薦めnote描くかもしれない。
7/27発売の住野よるの「腹を割ったら血が出るだけさ」も作中作な気がする。住野よるは小説としての難易度が低く読みやすいので青春群像劇が好きなら読むといいかもね。

それでは、また。

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