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ぼくセザール 10歳半 1m39cm

Moi Cesar 10ans1/2 1m39 (2003)

セザール
10歳半
1m39cm
ちょっと太め

甘いものが大好きだけど内緒にしてる。
学校では目立たなくしてる。1番だと皆に嫌われるし、ビリだと両親に怒られるから。
両親は自分ができなかったことを子供にさせようとする。
パパは「大人の権威」でぼくに命令して、いつも重要なことは教えてくれない。
大人はどうして子供に敬語を使わないの?
早く大人になりたい。

親友モルガンは、成績が良くてスタイル抜群、みんなが頼りにしている。
恋してしまったのは、2週間前に転校してきた、サラ。
サラの前では二言以上はなせない。もしぼくがモルガンみたいだったら・・・
でも10歳の女の子に男は中身だって、わからせるのは簡単じゃない。

大人っぽいモルガンだけど、彼にも悩みはある。
お父さんが誰か知らないんだ。ロンドンに住むフィッツパトリックということだけ。
サラのパパは最高だ、離婚したのに遠足にも来てくれるしサッカーもしてくれる。
でも別荘に行ったとき、サラの新しいママになるかもしれない人を紹介された。
ぼくのパパはすぐ怒鳴るし、叩くし、ぼくの話を聞いてくれない。

モルガンがお父さんを探しに、ロンドンにいく計画を立てている。
サラは英語ができるから行くみたいだ。
こんな大事な冒険に一緒に行かなかったら、サラを振り向かせることなんてできない。
だけど、ぼくはパパの顔なんて見たくないけどな・・・

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この映画はセザールの目線、1m39cmからの世界が描かれている。
大人からはつねに見下ろされて、列に並んでも見すごされる。地下鉄のラッシュではかばんやお尻に押されて死にそう。
親が何をしているのか、なぜ時々ものすごく不機嫌なのか、さっぱりわからない。
部屋に戻りなさいとか、外で遊んできなさいとか、いつものけもの。
学校では、かっこいいやつだけがもてて、先生はいつも不公平だと思う。
ときどき自分がとてつもなく無力だと感じる。

10歳の頃、どんな子供だったか?
その頃の親はどんなだったか?
親に不満ばかり感じる時期ってたしかにあるけど、この映画を見ると、
親は親で一生懸命だったこともよく分かる。
そして、子供は子供なりに精一杯生きようとしていることも。
むちゃをしたいと思ったら、大人の思いつかないようなことをしでかす。
それはけっして大人にはできない、本当の危険をはらんでいる、本当の冒険。
だからこそ、その冒険をやり遂げたら、子供自身の大きな成長になるだけでなく、周りの大人も変えてしまう、ものすごい力がある。

監督リシャール・ベリの娘、サラ役のジョセフィーヌ・ベリへの愛を感じる作品です。

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