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「ふたりの5つの分かれ路」

ふたりの5つの分かれ路(2005) フランソワ・オゾン監督

あるカップルの離婚成立から、その数年前、子供が生まれた時、結婚式、出会いまで、
時計を巻き戻すようにさかのぼっていくストーリー展開です。

なぜお互いを傷つけあい、
心を通わせることができず、
元に戻りたくてもどうしようもないところまで来てしまったのか?

一つ一つの小さなボタンのかけ違いが、次第に大きな歪みになっていく。
自分の知らない自分と出会ったとき、それを一人で飲み込んでしまうと、
パートナーとの間に、知らないうちに溝を作ってしまう。
一人ではなく、二人で歩むということは、自分を知り伝え、お互いがその溝を埋める作業を日々忘れないこと。
それに目をつぶり、隠し、忘れてしまおうとすると、
最初は小さな隙間でも、時を経て、巨大な怪物となって、二人を引き裂き始める。

ラストはイタリアの美しい夕日が沈む海に向かって、二人が歩いていくシーンです。
まだつきあってもいないし、お互いのこともよく知らない。
ただ、偶然が重なって、一つの運命に向かって歩き出そうとする予感だけ。

「どんな結末が待っていても、出会いの素晴らしさは本物である、そういうことを伝えたかった」
というオゾン監督の言葉が印象的です。


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