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パリのランデブー

パリのランデブー Les rendez-vous de Paris
1994年 エリック・ロメール監督

パリを舞台に3つの恋を描いたオムニバス。
第1話は「7時のランデヴー」。恋人に浮気の疑いを抱いた大学生を描いた作品。
第2話は「パリのベンチ」。恋人と一緒に暮らしながら違うタイプの男とデートを重ねる女性の姿を描く。
第3話は「母と子 1970年」。ピカソの「母と子」が恋物語を展開させる。

パリで待ち合わせるならカフェ。デートは公園でしょうか?

マルシェでの買い物、公園の彫刻、ピカソ美術館、アトリエ洗濯船跡・・・3つの恋の物語にパリの風景がとても効果的に盛り込まれています。
第1話は、ポンピドゥー近くボブールのカフェ Dame Tartine
第2話は、リュクサンブール公園、モンソー公園、ヴィレット、ベルヴィル公園、トロカデロ、モンマルトル、オートゥイユ公園
第3話は、モンパルナスのカフェ、Coupole

個人的には学校に近かったリュクサンブール公園が懐かしい。
噴水のそばでサンドイッチをほおばったり、ぼんやり本を読んだり、友達と話し込んだり、ダロワイヨのChausson au Pomme をかじりながら通り抜けたり。
公園に面した場所に寮Foyer international des etudiantesがあり、夏の間の2ヶ月滞在していました。古めかしい建物で、最上階の図書室は貴族のお屋敷みたいに趣があり、ステンドグラスのような窓から通りや公園をぼんやり眺めるのが好きでした。最初は一人部屋だったのに、8月になるとアメリカから団体が押し寄せ、部屋が足りずに二人部屋に・・18歳のアメリカ人の女の子は、一日で部屋の半分にスーツケースの中のものを散乱させ、シャンゼリゼの靴屋さんで出会ったというフランス人の男の子から電話がよくかかってきて、なぜか私にフランス語で話してと受話器を渡し、二人はよくリュクサンブール公園で待ち合わせをしていました。アメリカの恋人やお父さんからの電話の伝言を伝えたり、突然男を部屋に連れ込んだり、嵐のような一ヶ月が過ぎると、ある日散乱していた荷物がなくなり、ベッドの下にケルアックのon the roadが置き土産のように忘れられていました。

「待ち合わせは、嬉しいものばかりじゃなくて、驚くこともあるけれど・・・泣く人もいれば、笑う人もいる」
73歳のロメール監督が撮ったというこの作品は、とてもさわやかに恋をするって素敵だなと思わせてくれる映画でした。

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