園芸家12ヶ月
園芸家12ヶ月 カレル・チャペック
草木や花は、春芽吹き、秋に葉を落とし、冬に葉は枯れる。
私たちはそう思う。
でも、葉が落ち、花が秋に枯れるのは、視覚上のイリュージョンに過ぎない。
秋は本来葉が育つときなのだ。
自然は休養しているかのように見えるが、
その中では春のためにもうその準備が始まっている。
これこそほんとうの春だ。
未来は私たちの前にあるのではなく、一緒にいる、だから見えない。
ときどき、過去の思い出に包まれてすえたにおいを放っているような気がすることがある。
過去という古い作り土の中に、現在どれたけの芽が伸びているか、
その秘められた将来の繁栄を、もし今ここで見ることができたら、
私たちは言うだろう、さびしさや、未来への不安なんてものは、ナンセンスだ。
肝心なのは、生きた人間であるということ、つまり人間も木々のように茂ったり枯れたりしながら、育つということ。
今年一年はどんな年だったでしょう。暑すぎたような台風がたくさん来たような。来年は、順当に冬の次に春が来て、夏の次に秋が来たら、それだけでもう十分なのかもしれない。
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