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療育にまつわる「からだ」へのまなざしvol.48

先月のカフェも、引き続き、「ポリヴェーガル理論」を扱いました。現場での大人や子どものからだの様子を、あえて「色」で、見ていくことで、赤や青の状態がずっと続くことは、あまりよくないな、ということに気づきます。この「ずっと」に変化が起きるように、例えば「背中をさする」や、「涙をふくためのティッシュを差し出す」という動きが出ることは、当たり前のようで、人の営みとして、もっと大切にしていいことなのかもしれない、と、話していく中で感じたところです。他者の働きかけ故に、当事者がよい方向に変化すること、、の事例を、もう少し見ていこうと思います。人は人によって癒される、という時、この理論の腹側迷走神経系の特徴は、もっと知られていいのだろうな、と思うに至っています。

(以下、文責:花沙)
今回は、吉里恒昭氏(臨床心理士・公認心理士)の「ポリヴェーガル理論ってなあに?マインドフルネス実践者に向けて」(2023年7月末)という講座を受講した感想をシェアさせて頂きました。ポリヴェーガル理論の初心者に向けての分かりやすい講座でした。前回シェアさせて頂いた伊藤氏の著書(*)への理解がより深まる内容だなと感じました。

吉里氏は、マインドフルネスの実践も臨床で行っておられますが、一般的に言われる「マインドフルネス=瞑想」というよりも、周囲の物をただ観察することから始めて、揺れ動いて構わない思考の観察と、中心対象(呼吸や身体感覚)に戻ることを大切にして(「今に心をこめる」)、クライアントさんのペースで丁寧に進めているとのことでした。こういったマインドフルネスを実践するにあたり、ポリヴェーガル理論を知っておくことはとても有効であることを教えてくださいました。

一番印象に残ったところは、緑(腹側迷走神経系)は他の神経系をチューニングする役割であるという捉え方でした。即ち赤(交感神経)、青(背側迷走神経)が悪いということではなく、どの状態も大切であるけれども、振り切ってしまうとやっぱりしんどい・・それを心地よい状態に調整するのが緑なのかなと思いました。

最後に、吉里氏の資料より、「3色にコンパッション」という項目の内容を少し引用させて頂きます。「赤は大切な人・物・価値感・文化・哲学を守るために働く、青は自分の命や体を守るために働く、緑は自分が大切にしたいものと共につながるために働く」


*伊藤二三郎「ポリヴェーガル理論で実践する子ども支援」(遠見書房,2022)の内容:脳の自律神経系が作用し、人間は3つの心身状況 ①激しい闘争モード、②恐慌状態の逃避モード、③穏やかなモード、を有している。本書では、これを①赤、②青、③緑、と色で表現している。


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