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失恋して学んだ話3

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思い出した。

2回目に会った時、私は彼からお酒飲む?って聞かれたんだ…。
だけど、まだ一緒に飲むのは早いと思って断った。
変なことが起きたら嫌だと思って。

デート2回目を境に、彼から毎日メールが来るようになった。
正直もう私からは恋愛対象として見られなかった。
もとから恋愛するつもりで会っていたわけではないけれど、彼より就職活動の方が当時の私にとって断然上だった。
それが余計に彼を熱くさせたのか、冷たい態度?というよりはもう飾らず本音をバンバン言っていたら(確か一度、「俺って童貞っぽい?」と聞かれ、迷わず「うん、童貞っぽい」って言っていた気がする…)余計に興味を持たれたようだった。
恋は駆け引き状態なんだろうけど、何だか面倒くさいね。

そしてその日は訪れた。
ある日、彼から「一杯飲みませんか?」というメールが来たのだ。
就職活動もあったため、断ろうか考えた。
しかし姉に相談すると…

「行け!!!!!!!!
mocoちゃん、就職活動も大事だけど、仕事だけがすべてじゃないのよ!!!
結婚で人は幸せを見つけたりもするの!!!!
ねーちゃん思うんだけど、これは神様がくれたチャンスじゃないの?
だっていいじゃない。
アメリカで知り合って、東大行っていて、パイロットで、玉の輿♪
いいな~いいな~デートいいな~。」

うーーーーーーん。
それは話しが飛びすぎだ、我が姉よ。
私も何を血迷ったのか、幸せに憧れちゃったのか、姉の言葉に押され、OKを出すのである。
なんだかな…。

でも、ハルキさんの話しをする度に周りの友達は、

「うらやましい~~!!!!!逃しちゃダメよ!!!!!
mocoちゃん、もうこれで永久就職しているじゃない♪」

なんて言う。

周りからすると、下ネタを言われて気分を害した私はオーバーリアクションらしい。
そういうもんなの?永久就職?何それ…。
周りに対してすごく嫌悪感を感じた。

とまぁそんなこんなで、3回目。
私はまたハルキさんに会いに行くのである。
しかもまたまたとびきりおしゃれして。
(同じく姉が買ってくれた別の可愛い花柄ワンピースを着て、姉が髪をやってくれた)
おしゃれマジックとは怖いもので、女の子の気分をウキウキさせる。
そのせいでか、淡い期待を抱くのだ。
もしかしたら今回会ったら良い人かもしれない。
そうだ、あの一言で恋愛対象として見ないのも、大袈裟なことかもしれない。
今回でもっとハルキさんはどういう人か分かる。
そう思い込んだ。

しかし、今回は銀座で会わなかった。
ハルキさんが気を利かせて(?)私の住んでいる場所、月島まで来てくれたのだ。
私たちは豊洲のららぽーとへ出掛け、適当にショッピングモールを歩いた。

「どこか行きたいところある?」

とハルキさん。

「本屋行きたい」

と私。

その後は豊洲の海沿いを散歩した。
寒くて長居はできなかったけれど。
この日は本当に普通の話しをしたり、お互いの話しをしたりして、デートっぽく楽しく過ごした。
近未来的な豊洲が、私は好き。
山も、海も、自然が綺麗だけれど、高層ビルは高層ビルの魅力があると思っている。
やはりコンクリートジャングルで幼少時代を過ごした私にとっては、そこが私の故郷なのだ。

「なんか、mocoちゃん前よりもっと日本人ぽくなってきたね。」

「え、何でそう思うの?」

「いや…オシャレになって、可愛くなってきたから…。」

おーーーーーーーーい!なんだそりゃ。

「そういえばハルキさんって、和歌山出身ってことは関西弁しゃべるの?」

「そうだよ。」

「えー、でも全然標準語じゃん。」

「うん、もう東大の時に上京して、長いからね。」

「何か関西弁しゃべってよ。」

「えー…。」

「嫌だ?」

「嫌じゃないけど…。」

「ハルキさんの関西弁聞いてみたいけどなー。」

「それは、mocoちゃんが日本人に何か英語しゃべってって聞かれるのと同じなの。」

「あー、それは嫌だね。」

「でしょ。」

「和歌山弁って、大阪弁と京都弁とどう違うの?」

「うーん、田舎っぽいところかなぁ…。」

なんて他愛のない話しをしながら歩いていたのを何故か鮮明に覚えている。

豊洲をぶらぶら歩いた私達は、夕方月島のもんじゃを食べに行くことにした。
月島にしばらく住んでいたのに、もんじゃを一人で食べに行く気になれず、帰国してから一回も行っていなかったのだ。
ちなみに、皮肉なことに大学時代に付き合っていた日本人の元カレと始めてデートした時も、月島もんじゃだった。
月島もんじゃは、もしかしたら私にとって災いの元なのかもしれない…。

もんじゃときたら酒!!ビール!!!
もんじゃはそんなに好きではないけれど、もんじゃとビールの組み合わせは絶妙だった。
日本の生ビールはやはり格別だ。
日本の居酒屋の雰囲気も嫌いじゃない。
お座敷に座って食べるのは、少々キツイけれど。

ご飯も食べて、少し良い気持ちになった頃…。
(ちなみにこの時は、京大はどういう学校かについて教えてもらった。
変人でいっぱいらしい。学生寮に住む政治オタクの話しをしていた。)

「どっか他で飲みなおそうか?」

「そうですねー。ここじゃ落ち着かないですしね。」

「mocoちゃんのアパート行っていい?」


……え?


「えーーーーー……。」

「ダメ?」

うわーーーーまずいぞ、これ。
これはまずいぞーーーーーmocoよ。
酒+アパートときたら…。
てかまだ付き合ってないし。

「うーーん……。」

「mocoちゃんの部屋見てみたいな…。
ポートフォリオも見たいし。」

「あーーー、ポートフォリオは見て欲しい。」

けどなぁ…。

「ダメ…かなぁ。」

あーーーーーもう、この時の私はなんて甘くてウブだったのだろう。
本当はポートフォリオが見たかったんじゃないって分からなかったのだろうか。

「じゃぁ、変なことしないって約束してくれるならいいよ。」

ポートフォリオが見たいと言われて嬉しかったんだな(笑)
ご愁傷様です…この時の私。

その晩、私達はワインボトルを買って私のアパートへ向かった。
ちなみに、私は全然酔っていなかった。(もともとお酒は強い方である。)

アパートの中で長い間たくさん色んな話しをした。
哲学の話し。ハルキさんの夢。パイロットという仕事に対する情熱。仕事場の写真。操縦の仕方。
お客さんのたくさんの命を抱えないといけないというストレス…。
自分より、彼の方が多く語ってくれていた気がする。
この時、ハルキさんの本質に触れられたようで嬉しかった。
多分、私はもう彼のことが好きだった。(やっぱりチョロい。)
すごく真面目で一生懸命で、尊敬した。
中学校、高校とずっと図書館に閉じこもって23時まで勉強していたそうだ。
だから今の彼がいるのだろう。
自分の目標のためには努力を惜しまないということはすごくよく伝わってきた。
本音を言うと、まだ就職活動中で足場がない私にとって彼は眩しすぎた。
嫉妬に近い憧れみたいな感情が芽生えていたのだろう。

彼は私のポートフォリオを一枚一枚真剣に見てくれた。

すると突然私をぎゅっと抱きしめる。

「しばらくこうしていていい?」

「いいよ。」

「俺、mocoちゃんみたいな人に逢うの初めてだ。」

「私みたいってどんな人?」

「可愛いのに、セクシーというか、しっかりしているのに、繊細というか、とにかく見ていてすごく愛しいんだ。」

「…そう言われるとなんか嬉しいな。」

「ねぇ、付き合って。お願い?」

「うん…。」





っ釣れたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

ってちょっと待てい私!!!!

「え!!!!ちょっと待って!!!待って待って。」

「ダメ?」

「えと…私達まだ会って3回目なんですけど…。
あんまりお互いのことも知らないし。」

「うん…。でもこれからもっとお互いのこと知れるかなと思って。」

「うーーーん…。」

「俺はなんかうまくいく気がすると思っているんだけど…。」

「ごめん……ちょっと考えさせて欲しい……。」

本心を言ってしまうと、この時付き合いたいという気持ちはあった。
しかし、どこか心にわだかまりがあったのだ。
何故?経歴だけ聞くと完璧な人なのに。
でも私はこの人のことを知らない。怖い。

結局、その日は彼に返事を待って欲しいと伝えて終わった。
彼は待つと言ってくれた。
彼は2日後、2週間ほど名古屋に出張で行ってしまうらしい。
名古屋の空港で訓練を受けるのだ。
なので、2週間後また再会して、様子を見ようということで同意してくれた。
正直申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
何故あの頃私はOKしなかったのだろう?
突然ものすごい恐怖心が芽生えたのだ。

その後の2週間は私にとって地獄だった。
彼からぱたりと連絡が途絶えたのだ。
その間、名古屋付近へ面接に行ったこともあった。
もしかしたら名古屋でご飯でも食べられるかな?と思って彼に面接があることだけ伝えたが、彼からの誘いはなかった。
自分から誘おうとも思わなかった。
きっと訓練で忙しいのだ。
邪魔をしてはいけない。
そう自分に言い聞かせて。

彼との出来事をすべて姉と母親に伝え、どうしたらいいと思うか相談した。

姉は

「何であの時OKしなかったの?もったいない~。
だいたい男の人って3回目で決めるらしいよ。
でもその感じなら大丈夫だよ。
mocoちゃんの事好きって言ったんでしょ?
待っていてくれるよ。」

と言う。

母も同じ気持ちだったらしいが、「mocoちゃんの好きにしなさい。」と言ってくれた。
母も姉も彼のことを気に入っているようだった。

私はというと、2週間彼から連絡が来なくてすごく落ち込んでいた。
もしかしてもう私の事なんてどうでもいいのかもしれない。

そして彼が東京へ戻って数日後、私は勇気を出して彼に会いたいと伝えた。
返事はOKだった。


次回、最終回:


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