共感性羞恥と老害のはじまり？
共感性羞恥という言葉が嫌いだ、というと語弊があるのだが、最近この言葉を聞くとムズムズしてしまう。
TikTokやYouTubeのコメント欄で見かける「共感性羞恥」は私が知っている意味とは少し違いそうなのだ。
あるタイミングからネットミーム化して本来の意味から離れ、言葉が一人歩きしている現状にある。
元々共感性羞恥は、ドッキリなど人が恥をかいてしまう場面を見かけると本人の心情に共感し自分も居た堪れない思いをすること、である。
それが、ヲタクが大声ではしゃぐなど「痛い」と思う行動を見ると自分も恥ずかしくなる、という意味でも使われるようになった。
しかし、この場合は対象に共感しているわけではない。ヲタク側はおそらく恥ずかしいとは1mmも思っていないんだから。他人に勝手に恥ずかしがられるなんて全くもって大きなお世話である。
蛙化現象も近年違う意味で使われるようになった。
元々は、好意を抱いている相手が自分に好意を持っていることが明らかになると、その相手に対して嫌悪感を持つようになる心理現象のことだ。
これは、自己肯定感の低さにまつわる話だと理解している。相手に好意を返された途端「私のことが好きなんてセンスのない男だな」と思い拒否反応が出るらしい。
これは、自身が蛙化現象で悩んでいるとか、恋人に蛙化現象を起こされたため付き合ってすぐにフラれた、酷いやつだとかそんな文脈で使われることが多かった。
1年ほど前、某女性YouTuberが「男性が会計の時、財布を出すのを見たら冷める」「フードコートで席に戻る時キョロキョロと探されると冷める」という価値観を蛙化現象と言い出したことを皮切りに、若い人の間で「些細な行動をきっかけに幻滅すること」という意味で使われることが増えた。
これに関しては具体例が理不尽の域である。
そんなことで冷めるやつは恋愛なんて辞めちまえ！！！
でもそういう人に限って恋愛体質だよね？
という悪口はさておき、これらの言葉がここ数年で記号のように簡単に使われるようになったことが気に食わない。
元々の言葉に上品な意味合いはないとはいえ、人を馬鹿にする時の言葉に変わってしまったというのは悲しいものである。
時代によって、価値観も言葉も常識も変わっていくことは分かるし、それによって辞書が改訂されていくのも必然だとは思う。だが、このままでは心の誤用指摘マンが成仏できない。
言葉の使われ方が変化することに文句をつける私の方が、老害と揶揄される側に足を踏み入れてるのだろうか。いや、やっぱり納得いかねー！
私はゆとり生まれインターネット育ちTwitterで複数アカウントを持ってるやつはだいたい友達だ。流行ったネットスラングには、乗るしかない、このビッグウェーブに……！とウキウキでサーフィンしてきた。私もその時旬なワードを擦り倒してきた側の人間だから、集団で同じネタに乗っかる楽しさがわかる。キャッチーで、面白くなる気がして、便利だ。
コミュニケーションが苦手なネット民にとって、ネットスラングは意思疎通できているかのように思わせてくれる言葉だった。こういう連帯感って側から見たらダサいのかもしれないけど、許せ、そういうお年頃だった。
淫夢語録やなんJ語も昔は使っていたし、疲れからか不幸にも黒塗りの高級車によく追突していた。ネットに染まりすぎた汚い言葉遣いだったと思う。
でも、池沼やアスペ、ガイジという言葉は使わないように気を付けていた。2chではスレッドの流れを汲み取れてない人や言語に齟齬をきたしている人にアスペか？wというノリがあった。「アスペ」というのはアスペルガー症候群のことを指している。
自虐ネタならまだいいんだが、そういったセンシティブな言葉を他人に向ける風潮そのものが怖かった。
共感性羞恥という言葉を乱用する人を見るとこの時のことを思い出す。
もちろん2chでの使われ方の方がずっと暴力的なのだが、人物名を入れるとサジェストの上位に共感性羞恥が出てくるのを見て、やはり人を揶揄嘲笑する時の言葉としてミーム化されてしまったんだなと思った。
私もYouTuberの言動やら何やらを見て居た堪れない気持ちになることはある。でも誹謗中傷の材料として書き込んだりリプで本人に送ることはしない。
ただ、その気持ちに名前があることを知って、こういう気持ちって私だけのものじゃなかったのかーと安心するくらいがちょうどいいんじゃないかな。思うことは悪くないけど本人に伝わる形で言う必要はない。
さて、最近センシティブなネットスラングについてのサロメ嬢の発言がおバズりになっていた。
ゲームをしながらコンプラにも壱百満点の配慮をなさるの、流石お嬢様としての品格が溢れてまくっていますわ。
脳死は元々医学用語だが、ネットスラングでは思考停止という意味で使われている。
リスナーには医療従事者も患者側の家族、何も知らない子供だっているだろうし、全年齢向けコンテンツはそういう気遣いがあると嬉しいよね……。
サロメ嬢が脳死を言い換えたくらいで評価されるのはおかしい、言葉狩りだ！普段は実況中ぶっ殺しますわ〜とか言ってる癖に！という反論も見かけたのだが、脳死とぶっ殺しますわ〜！では話が違うと言っておきたい。後者はゾンビに向けて言ってるし現実の「生」には関係ない使い方なんだから。
サロメ嬢はバチバチのネットスラング使いでありつつもサザエさん並みのコンプラ遵守を持ち合わせているところが人気の理由の一つでもある。
私は粗品やたぬかなみたいな毒入りコンテンツも大好きだけど、安易に真似するのは危ないね。ああいう人たちは危険物取扱の資格でも持ってるんだろう。
賢い人が使う尖った言葉は身体に悪いジャンクフードってｳﾏ！最高！ってなるけど馬鹿が使うと毒殺である。マックとデスマフィン……いや、ほんと死者が出るから……。
これからも色々なコンテンツがネットのおもちゃとして消費されるだろうけど、センシティブな意味合いをもつ言葉からは距離を取って、うまく付き合っていきたいね。
私も気づかないうちにポイズンクッキングをしかねないから自戒でもある。凡人は尖りなんて捨てて、無印のたまごボーロのような優しい口溶けを目指したい。
そんなわけで、今日はYouTuberが炎上するとヒカキンの評価が上がるし、共感性羞恥と蛙化現象を乱用する人を見るとサロメ嬢の評価が上がるよって話でした。
最後にサロメ嬢の紹介代わりにオリジナル曲を載せておきますわ〜！なんと東方のアレンジ、チルノのパーフェクトさんすう教室を作ったIOSYSからの楽曲提供という点でも激アツですの💯
皆様方もサロメ嬢に首ったけになりませんこと？
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