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去年の今頃は、西船橋で1日3万歩を歩いていた

去年の今頃、僕は千葉の西船橋にいた。
JRAが主催する「ブリーズアップセール」を取材するためだ。

僕は去年、JRA宮崎育成牧場を舞台した1時間のドキュメンタリー番組の制作を抱えていた。セール開催までの1年間、JRAが運営する宮崎育成牧場で育成馬たちを追いかけるという仕事。
前年の9月に1歳になった育成馬たちが宮崎にやってきて、約9ヶ月かけて調教。翌4月に開催されるセールが中山競馬場で行われる。ここで馬主が見つかることで、育成馬は競走馬へと道が開けていく。

去年の今日は、セール前の事前取材の1日目。
セール本番はカメラマンと合流する予定だったのだが、事前取材の3日間はディレクターのみ。
1人でカメラと三脚を抱えて現場へ行き取材を開始したのだった。

1年間取材した中でも、このブリーズアップセールで取材した5日間が一番濃かった。なんせ人生史上初!1日に3万歩も歩いていた。期間中の歩数が取材の過酷さを物語っている。結果的に、トータル54分の番組の中で約20分が中山競馬場でのシーンとなった。

ドキュメンタリーの作り方は、色んな手法があると思うのだけど、僕が取ったのは下記のようなやり方だ。
まず、1年間取材して撮影した全てのデータを見直す。そしてインタビュー内容や現場でのつぶやきなどの言葉を全て原稿に書き起こす。
ここまでやってようやくスタートラインに立てる。

インタ起こしの軌跡。凄まじい量だった。

そして、ここからいよいよ構成へ。1年間追いかけているだけあって、エピソードとしてはあり過ぎるくらいあった。そのどれもが印象的で捨てがたい。構成台本の初稿をもとに映像を繋げたら当初2時間を超えてしまった。
そこから編集で54分に凝縮していくという作業が始まる。これがしんどかった。

ここは入れたい!でも、入らない。なら違う場所を切って…いやいや、ここを切ると他のシーンとのつじつまが…。

こんなことを何度も繰り返して、何とか完成させた映像がコチラ。

9月に宮崎県内で放送され、その後にTverやFODでも公開された。
幸い、たくさんの人達に視聴いただけて今やYouTubeで12万回も再生されている。
その中で一番嬉しかったのは、やっぱり取材させてもらったJRAの方々に喜んでいただけたこと。取材できて良かったと心から思えた。

後日談ではあるけれど、このドキュメンタリーをギャラクシー賞に応募していたのだが結果は残念。4次審査通過までだった。5次審査通過後に受賞だったので、惜しかったような、まだまだ遠かったような。

今年のブリーズアップセールは、明日と明後日の2日間行われる。
今年も育成馬たちが力を出し切って、競争馬への道が開けることを心から願っている。

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