見出し画像

タマゴにいちごジャムって合うらしい。まだ試したことはないけれど。

昼間に入ったコメダ珈琲は思ったよりも人が少なかった。

「タマゴにいちごジャムって、意外と合うんだよ。知ってた?」

8歳の息子が言っているのは、モーニングのメニューのことだ。セットとして色々な選択肢がある中で、パンに挟むのはタマゴペースト、そしてパンに塗るのはいちごジャムが息子の好みらしい。

意気揚々と語る息子には大変申し訳ないが、モーニングのサービスは午前11時まで。今は午後1時なので、既に終了している。

「えー…そうなの。タマゴといちごジャムが良かったのになぁ」

メニューを見ながら、少しがっかりしている様子が可愛くて面白い。

今日は久しぶりに息子と2人で出かけた。おそらく、3ヶ月ぶりだ。僕が去年の12月末にIgA血管炎に罹って以来、親子2人でどこかに行くということができなかったからだ。
親子で今日は午前中に髪を切りに行き、そのまま昼ごはんを一緒に食べることにした。

「ラーメン屋にレッツゴー!」

当初、髪を切り終えた息子のリクエストはラーメンだった。息子の好きなラーメン屋まで車を走らせたが、人が多くて入れそうになかった。

「あ、コメダ行く?」

その100メートルほど先にあったコメダ珈琲の看板を見て息子に聞いてみると「行く!」と返事したので、そのまま駐車場に入ったのだった。

「たっぷりタマゴのピザトーストです」

店員さんが息子に料理を運んできた。トーストが2段になっていて、1段目はタマゴペースト、2段目はピザが載っている。

「うまい」

トーストにかぶりついた息子は、つぶやくように言った。

あー、こういうのが普通だったんだよな。

3ヶ月前まで当たり前だった暮らしが、病気のせいで一変した。一時期は家の中ですら移動に苦労するくらい、症状がひどかった。約3ヶ月、外出もろくにできなかった。その時期からすると、ようやく少しずつ日常に戻れてきている気もする。少なくとも、息子と髪を切りに行ってご飯を食べられるくらいには回復してきている。

「お待たせしました」

今度は僕が頼んだミートソースが運ばれてきた。食べてみると、これが驚くほど美味しかった。パスタはもちもちしていて、ミートソースはしっかりとした味わい。フォークに絡ませて口に運ぶと、ソースとパスタが絶妙なバランスで混ざり合う。すぐに「おかわり」したくなった。

「これ、美味しいよ。食べてみてん」

少しだけパスタを取り分けて息子に渡す。あまりに僕が「おいしい」を連呼するので、息子も気になったようだ。ピザトーストを置いて、代わりにミートソースを口に運ぶ。

「うまっ!」

パスタに落としていた視線を、パッとコチラに向けた後に笑った。

「だろ?」

こんな、なんてことはない普通の日常。
でも今は、こんな当たり前の日々が尊い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?