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1人と1匹のシフクノトキ

家に帰ると、体が疲れてぐったりしていた。
最低限の着替えなどを済ませたら、そのままソファに寝転がった。部屋の明かりは点けていないが、そこまで暗くない。窓の外では雨が降り出している。宮崎には今晩から明日にかけて線状降水帯がかかるらしい。

明日は雨がひどいのかなぁ。

そんなことを思いながら目を閉じた。
いつのまにか少し眠ってしまっていたのだが、手を動かした時にモサッとしたものに触れた。ふと気付くと顔の近くに飼い猫の「まるお」がいる。
背中をこちら側に向けて丸まって寝ていた。

あらら、いらっしゃい。

わざわざ2階の僕の部屋まで来てくれたらしい。
背中をポンポンと撫でる。最近はこんな感じで一緒に過ごすことが増えている。あんまりしつこくすると噛まれるので、適度に迎えてあげるのがポイントだ。しばらくすると、起きてその場でグッと伸びをした。

そろそろ起きるのか?

寝たまま視線を送ると、今度はくるりとこちらを向いてまた丸まる。そして、僕の腕を枕にして寝始めた。前脚は僕の腕に添えている。

まるおが、こんなに寄り添ってくれるのは珍しい。そして、嬉しい。
こちらが疲れている様子を察しているのか、それともただの気まぐれか。どちらにしても、一緒に寝て過ごすのは至福の時だ。

外で車が停まる音がした。
玄関が開いて、人がバタバタと動いているのが分かる。

「ご飯だよー」

階段の下から声がして、僕はのそりと起き上がる。まるおも、あくびをして体勢を整える。

「ご飯だってさ。行くか」

「ごはん」という言葉に反応して、まるおは尻尾をピンと立てた。僕よりも先に階下の明かるい方へ階段を降りて行く。

なんか兄弟みたいだな。

寝起きのぼんやりした頭でそんなことを考えていた。

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