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【Auftakt Concert終演~コロナ禍の中でのコンサート開催準備について~】

 去る10月4日、「Project NAKA Auftakt Concert伊澤悠・櫻井愛子 ジョイントリサイタル」を開催することができました。沢山のお客様にご来場いただき、また配信で見てくださった方も沢山いらっしゃりました。本当にありがとうございました。

 3月ごろに、伊澤さんから「大変だろうけど一緒に乗り越えてくれないか」と言われ、「失敗したとしても失うものはまだあまり無い」とコンサートの開催を決断しましたが、正直ここまで大変だと思いませんでした。以下にちょっとした感想をまとめます。

【注意】以下の文章は2020年10月4日現在のガイドラインに沿って、自分たちが納得且つ出来得る限り講じた対策の一部をご紹介しています。これから小規模のコンサートを予定している方のご参考になれば嬉しいです。

配信について

 一番大変だったのはやはり配信の準備だったと思います。大変だったといいつつほとんど伊澤さんに任せていたのであまり声高には言えないのですが…。
 配信をしようとなった時に、

・ライブ(生)配信なのか、収録したものを配信するのか
・音声のみ(ラジオみたいな)か映像か(生配信の場合音質と画質を上げるのは至難の業)
・何を使って配信するか(アクセスしやすさがポイントになるが、例えばYoutubeなら有料にしてはいけないとか、他の媒体でも個人情報の登録が必要とか、壁は意外と高い)

 上記のようなことを考えつつ、結局私たちはZOOMウェビナーという有料のサービス(100人ぐらいまで同時の視聴が可能とかなんとか(うろ覚え))を使い、ZOOMのウェブカメラ(画質は微妙だが音質は良い)で生配信(1週間録音(または映像)のオンデマンド配信)にすることに決めました。
 実際ライブで聴きたい派と、その時間は都合が悪いから後で聴きたい派の2パターンの方がいらっしゃって、オンデマンドサービスは好評でした。今回即日公開のため録音のみオンデマンドという形になりましたが、やはり多くの方が映像のオンデマンドを希望されていて、次からは多少日がずれてもオンデマンドも映像が良いのかなと思っています。

ただ、実際本番どんなものになるかさっぱり見当がつかないのに、1週間のオンデマンド配信、と銘打つのは相当勇気が要りました。

 生配信の場合重要になってくるのがホールのネット環境ですが、伊澤さんがホール側(今回お借りしたのはやなか音楽ホール様)にかけあってくれて、ホール内事務局のネット回線を有線でこちらのパソコンに繋げることができました。防音ドアの下に隙間があったことが幸いし、ドアを閉めた状態でも有線を使用できました。やはり有線の方がデータが確実に送れるので、生配信では出来るだけ有線を使った方がいいと思います。

実際配信チケットを買ってくださった方はどんな方かというと、
・お住まいが遠方で当日いらっしゃれない方
・直接のご来場に不安を感じていらっしゃる方
・入場チケットが完売してしまい、画面越しでも見たいと思ってくださった方

の3タイプのいずれかが当てはまる方でした。


オンラインでのチケット販売について

 オンラインでのチケット販売は、60代以上になると購入が難しい方も多くいらっしゃって、個人で別の手段(銀行にお振り込みいただくなど)で対応しました。直接のお知り合いの方には何らかの手段で直接ご連絡いただくことができますが、やはり相談用の電話番号は万が一のため必要なのかな、と思います。

 今回コロナ対策で、個人情報を一部(お名前とメールアドレス)を伺わなければならないので、オンラインのチケット販売の場合、有効なメールアドレスを確実にいただけるので、その点便利かなと思いました。


飛沫対策について

 コロナの蔓延後、一番演奏形態に気を遣っているのは声楽なのではないかと思っています。しかも今回はドイツ歌曲を扱うのでどうしても飛沫が気になります。
 当初、フェイスシールドや、透明な板などの配置で対策しようとしましたが、顔の表情が見えにくいことやどうしても響きに影響が出ることが懸念されたため、障壁系での対策は断念しました。
 有難いことに様々な団体様が飛沫実験のデータ結果を公表してくださっていて、そのデータ結果より、自分の真正面には席を置かない+客席と舞台の間に2mの間隔を空けるという対策を講じることにしました。

 ただ、やはりフェイスシールド等の対策を諦めた時から、もしも私が無症状感染者だったらどうしようという不安が猛烈にあったため、PCR検査を受ける決意をしました。それからいろいろと個人でPCR検査を受けられるところを探しましたが、大抵の場合検査から2~5日で結果が出る「予定」ですと書かれてあり、私のようなケースですと、いつ出るのかはっきりしてもらわないと困るし、結果が出るまで家から出られないのも困ります。

そのうちに探し当てたが、「新宿内科」でした。17時までの検査で当日24時まで、17時以降は次の日の16時までに検査結果を報告してくださるという驚異のスピードが売りの病院で、アクセスは新宿駅南口から2分ほどの超好立地です。
 
 本番二日前の夜、無茶苦茶緊張しながら検査を受けました。院長様が音楽にご理解のある方で、検査を受ける理由に「コンサート開催のため」と記入していたところ、「大変でしょうけど頑張ってください、応援しています」とおっしゃってくださいました。

 検査してから結果が来るまで、生きた心地がしませんでした。もしも陽性だったら、ここまで準備してきた演奏会は勿論中止になります。共に暮らす家族もそれぞれの職場を持ち、どれだけの人にご迷惑がかかるか計り知れません。「陽性の場合は電話が来る」といわれていたので子機を持って、その日は他に何も手がつかず早めに布団に入りました。

 結果は公表している時間よりも早く22時にメールにて通知が来ました。陰性とありました。とりあえず演奏会が出来ると、安堵しました。

 PCR検査は本当にストレスで、しかも本番直前にその苦難を受けなければならない大変さがあります。高額な検査費も今は自費で払わなければならず、相当な痛手ですが、受けたことに悔いはなく、また、小さめのホールでの開催の場合は当分の間残念ながら必須のことではないかと感じました

当日の受付について

 当日の受付の持ち物についても、いつも以上に気を配らなければいけませんでした。例えばお名前を記入していただくボールペンやペグシルは除菌したものを用意し、ペグシルは使用後持って帰っていただきました。除菌シートや除菌液の他に、マスクを忘れた方に予備のマスクをお渡しする用の手袋も用意しました。
 スタッフにはマスクの上にフェイスシールドを装着してもらい、非接触体温計で体温を測ってから入場してもらうようにしました。
 会場アナウンスも、本来地声で十分なのですが、飛沫対策としてマイクを使用しました。
演奏時にドアを開けたままにすることも想定していましたが、会場が空調による常時換気システムだったので、ドアは演奏の際は閉めました。


以上で準備についての感想は大体述べられたと思いますが、また思い出したら追記します!


櫻井愛子

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