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かんしゃのことば (アフリカ育ちの娘たちへ)

我が家の3歳と5歳の娘たち。

長女は生後3カ月からベナン、次女は生後4カ月からブルキナファソで暮らしています。

彼女たちのまだまだ短い人生のうち、そのほとんどをアフリカで過ごしています。


アフリカ育ちの娘たち

娘たちは、ちょーわがまま。

泣くか、大声を出せば、世の中はすべて自分たちの思い通りに動くと思っています。

寝るのも、お風呂に入るのも、髪を結ぶのも、トイレでうんちするのもイヤ。


長女は生後3カ月からベナンへ行き、

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(ベナン人に抱っこされる当時0歳の長女)


生後10カ月の時に、ヒトクイバエに寄生されて、手首から生きたハエの幼虫が出てきたことがありました。

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(左手首にうっすら残る跡)



1歳を過ぎて、ブルキナファソへ。


ブルキナファソへ向かう途中、エチオピア航空の飛行機が遅れて、急遽アディスアベバで1泊することに。

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(エチオピア人と当時1歳2カ月の長女)


お湯の出ないホテルに泊まって、冷たい水で洗われてギャーギャー泣いていました。


停電、断水が多く、生活インフラが不安定なブルキナファソでの生活は、くじけそうになるくらい不便なことがたくさん。

雨漏りがひどくて、心霊現象が起こっているような、こんな部屋でお昼寝したこともありました。

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ブルキナファソで幼稚園へ行き始めました。

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学校には日本人はおろか、アジア人はひとりだけ。


日本語が通じないから、長女がどんなに

「やだよぉ〜、お家に帰りたいよぉ〜」

って泣いて叫んでも、先生たちはだれも理解してくれません。


日本語で「おなかがいたい」って言っても、だれもわかってくれません。

幼稚園へ送っていき、日本語が通じることのない先生に抱きかかえられながら、日本語で一生懸命泣きわめくことしかできない娘を見て、私が泣きながら帰ったこともありました。

学校のトイレは、私ですら「ここでしたくないな」って思うくらい汚く、停電になると、暗くて暑い。


そんな環境で、ずっとがんばってきました。


ここで熱が出たら、必ずマラリア検査をしないといけません。

熱が出る度に針を刺されて採血して、いっぱい泣きました。

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(大泣きで採血してマラリア検査をした次女)


注射が大嫌いだけど、日本にいたらしなくていい予防接種もしました。

処方された薬が薬局になくて、薬を買ってあげられないこともありました。


ブルキナファソには、娘たちが大好きなプリキュアも、アンパンマンも、しまじろうもいません。


日本で大好きだったボールプールもありません。


水族館もありません。


公園もありません。


ブルキナファソの遊園地にあるボロボロの飛行機のすべり台に登り、壊れた操縦席に「乗りたい」と言って、一生懸命持ち上げて直そうとします。

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(当時4歳の長女)


娘たちがうれしそうに乗る乗り物は、古びてちっともかわいくありません。

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日本にいる同年代の子どもたちが緑豊かな公園や、新しくできたキラキラの子ども向けの施設で遊んでいる様子を見ると、

最貧国のブルキナファソで、壊れたボロボロのすべり台、お世辞にもかわいいとは言えないアトラクションに、たのしそうに乗っている娘たちがかわいそうで、不憫に思ってしまうこともあります。


母としての本音を吐露すると、

不便な生活をさせちゃってごめんね

って思うことばかり。


娘たちの成長

それでも、3歳と5歳になった


ちょーわがまま、泣くか、大声を出せば、世の中は全て自分の思い通りに動くと思ってる、寝るのもお風呂に入るのも髪を結ぶのもトイレでうんちするのもイヤがるアフリカ育ちの娘たちは、


いつでもどこでも全力で楽しんで

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フランス語がうまくなって、仲の良いお友達もたくさんできて

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停電で真っ暗になっても、泣かずにろうそくの火をじっと見つめて、

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(長女は妹の心配までしてくれる)


小さい子が大好きで

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みんなの前でアフリカンダンスを踊り、西アフリカの伝統打楽器「ジェンベ」をリズミカルに叩き、

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何度も日本⇆アフリカの超長距離フライトを乗ってきたから、飛行機に乗ったら、自分でシートベルトを締めて、機内食もひとりで食べられるようになりました。

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2人とも、自分とお友達の肌の色が違うこと、世界にはいろんな肌の色の人がいるということを知っています。


お友達の絵を描くときにはいつも、

「〇〇(友達の名前)は何色だっけ?」

と言いながら描きます。

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私はそれがすごく好き。


日本語とフランス語と現地のモレ語、

異なる言語があることを理解して、学校の先生に話す言葉と、家で私たちに話す言葉をちゃんと使い分けています。



———「日本」は遠いところにあって、じいじとばあばとアンパンマンとしまじろうがいるところ


———「ブルキナファソ」は今自分たちが住んでいるところで、お友達がいるところ


っていうこともちゃんとわかってる。



「ムスメたちが不憫でかわいそう」っていうのは、私が勝手に思い込んでいただけだ。


気づいたら、ものすごくやさしく、ものすごくたくましく成長していました。


ほんと、すごいよ。
私、アフリカで育ったことないもん。


そして、ブルキナファソでの生活がしんどくて

「不便な生活、不便な生活……」

と文句を言ってばかりの私に、


「どこにいても家族みんなで
 笑いあっていれば、たのしいんだよ」


ということを教えてくれます。

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アフリカでここまでたくましく、元気に大きくなってくれた娘たちに、頭が上がりません。


かんしゃのことば


アフリカ育ちの娘たちへ——

ベナンでもブルキナファソでも、パパとママをたくさん笑顔に、元気にしてくれてありがとう。

ブルキナファソでの生活を思いっきり楽しんでくれてありがとう。

ブルキナファソを好きになってくれてありがとう。

ボロボロのすべり台でも、たのしそうに遊んでくれてありがとう。

病気やケガが心配なこの環境で、元気でいてくれてありがとう。

熱が出た時には、いつも痛いマラリア検査をがんばってくれてありがとう。

手首からウジ虫が出てきたことも、いっしょに笑いとばしてくれてありがとう。

日本語を話せる人がだれもいない学校でがんばってくれてありがとう。

言葉がうまく通じない中で、ともだちを作ってくれてありがとう。

心もカラダも、ここまでたくましく育ってくれてありがとう。


たくましく成長している2人を見ていると、

「ママもがんばらなきゃ」

ってパワーをもらいます。

大変なことがたくさんあるかもしれないけど、どこにいても全力でたのしんで、いろんなことをいっしょにのりこえていこうね。

ままより


はぁー、

育児ノイローゼになったり、3歳、5歳児相手に頭が上がらなくなったり、本気でイラッとしたり、ちっちゃいカラダでがんばってる2人が愛しくてたまらなくなったり、育児って心もカラダも忙しい。



育児って本当大変だ。

家族って、とっても愛おしい。

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