「ぼくは翻訳についてこう考えています」(2020)柴田元幸著 の感想

 8月は日本会議通訳者協会(JACI)主催の「通訳翻訳フォーラム2020」のセッションが毎日あります。完全オンラインなので、地方在住の私も貴重な学びの機会を得ることができています。コロナ禍で運営に尽力してくださっている主催者の方々に感謝しています。

 さて、そのセッションの中でタイトル表記の本が紹介されました。このセッションの少し前に手にすることができ、セッションを経て昨日読了しました。

 読後感としては、なんていうのでしょう。暗中模索の状態で翻訳の勉強をしていて、右も左も分からない状態が続いていますが、ここまで「ことば」や「翻訳」そのものに強く気持ちが動かされたのは初めてでした。

 私は日々勉強する中で「やらなければいけない」「今日は課題の復習しなくちゃ」と思いながら取り組むことが多いですが、筆者はそれと真逆の「楽しいと思うから翻訳する」ということをおっしゃっています。同時に、時に背伸びすることの大切さも解いています。

 筆者は翻訳だけをして生活をしているわけではないのですべてが自分に当てはまるわけではありません。それどころか、筆者は大学の名誉教授で私は専業主婦です(汗)だからこそ、翻訳に対する姿勢は見習いたいところばかりでした。

 そのほか、翻訳の目的、翻訳するにあたって大切なことなど、今の私には高尚なことがたくさん書いてありました。高尚すぎるから、購入は先に延ばそうかとも考えています。(今手元にある本は図書館で借りています)成長を感じられたときにもう一度手にして読むというのもいいかもしれません。

 専業主婦で仕事もしてないのに生活に困らない上に勉強してる。という自分の状態に、モヤモヤした気分を実はずっと持っています。しかし、そのような状態や気持ちをどこか肯定してもらったような、背中を押してもらったような気分になりました。

 もちろん、専業主婦であることの罪悪感に対して慰めの言葉が載っているわけではありません。しかし、そこまでも網羅されているような深い深い言葉が紡がれた本でした。

 

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