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タイトルが思い浮かばない

進んだり止まったりを繰り返している電車に乗っているうちに、会社に行くのが面倒になってきた。夏だったら、このまま武蔵小杉で乗り換えて湘南か逗子に行ってしまいたい。
今は寒い冬だし、会社のことがそこまで嫌なわけじゃないんだけれど、規則正しく電車に詰め込まれることは最適解じゃないって思ってしまう。席を譲られてもイヤホンで聞こえてないおじさんのことも、嫌いになってしまう。

大森靖子のMUTEKIをぐるぐるかけ続ける。ギター1本でまっすぐに届く声に、さらに気持ちがよく分からなくなる。

着たくもない制服はもう二度と着ることは無いし、思ってもないことを口にしなくてもよくて、どうでもいいことに時間を割くこともない。ワイシャツはもう全部捨ててしまおう。ヒールを履かなくてもいいし、スニーカーにジーパンで出勤してもいい。
つまんない常識とか固定観念に囚われている人はどこにでもいるけれど、その人全部が嫌いなわけでもない。悪く言えば無関心かもしれないけど、否定するつもりもないし、その人が生きてきた道のりでそうなっただけで、私も偶然今こうしてここにいるわけだし。

何かにもやもやしていて、それは食べることでは解消されないし、誰かに何かを言っても解消されそうにない。何にもやもやしているのかさえ分からない。多分ちいさなことの積み重ねで、体調の優れなさだったり、お昼に選んだ飲み物が美味しくなかったことだったり、それ一つだと大したことないように思うけれど。ちいさな棘がちくちくと痛い、さかむけみたい。今日は早く帰ってお茶を飲んで眠ろう。

ただ、疲れたって言葉にして誰かに吐き出せば消えてなくなるようなことを、わざわざここにたくさん書き出す自分は面倒臭いな。「生きているだけで、愛」の寧子の言葉を、文庫本で反芻すると、頭のなかで映画版の映像が流れ出す。映画にも葛飾北斎の富嶽三十六景の話を入れてほしかったな。

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