見出し画像

愛犬サンダーありがとう〔21〕

歩くだけの散歩になってからは、途中休憩が楽しみになったよね。それが目的って感じやったよね。「ちょっとコーヒー飲んで行こか?」って言ったのが始まりやったね。あの階段の上にあるカフェの、あの席で、毎日毎日、コーヒーとサンダー用のパウンドケーキを注文して。見物人ができたくらいやったね。お財布を忘れた時は、納得させるまで時間がかかったね。あの日いつものように、食べ終わって帰ろうとした時、サンダーが地面にへたり込んでしまったよね。起こそうとしても動けなくて。近くに居た男性に「この子の手を私の肩に乗せて頂けませんか?」とお願いして。恐る恐るサンダーをかかえて、私の背中に乗せてくださったのでお礼を言って。おんぶして帰ったよね。サンダーが若い頃、「サンダー!おんぶおんぶしよっ!」って手招きしたら、お母さんの肩に両手を乗せてくれたのに、あの時は、肩に乗せている手に力がなくて・・・。この日以降、あの階段を、サンダーと上がることはなかったね。お母さんは、もう一度、サンダーとあの階段を上がりたかったよ。

                                       つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?