合気道って上手くなったのか分からない!
合気道には試合がありません(一部流派を除く)。相手と優劣をつけず、お互いを思いやる、海外では「動く禅」とも呼ばれる武道です。
しかし、試合がないからこそ、自分の成長がわかりにくい側面もあります。
今日はそんな話です。
報告書
先輩たちが部室で何やら話しています。
「そんなこと言われてもな……」
先日開催されたインカレに出場後、大学の学生課から報告書を求められたのだそうです。提出したところ、大会の概要欄をもっと正確に書けと突き返されたとのこと。
「例えば○○大学と対戦して、18ー12で当部が優勝した……とか。
え? 試合がない? なんでもいいからもっと細かく書いて持ってきて!」
インカレで合気道部が行ったのは、各大学の演武と合同稽古、担当大学師範による講習の受講。他大学との技の違いがあったり、参加して学びがたくさんありました。
……でも、確かに勝ってみんなで喜びを分かち合うとかないし。
正直地味だよなー。
正直飽きちゃいました
「師範、カクカクシカジカで……」
おーそうかそうか!と、楽しそうに笑っていました。
「正直、合気道って自分が上手くなったのか分からないし、何度も同じ技を繰り返すのがつまらない、飽きたと思う部員もいます。」
「そうか、そうよの。わわわわしは報告書はちょっとわからんけどな、ハハハ。合気道が上手くなったかどうかはちょっとわかるぞ。相半身でな、手取りの二教(相半身交差取り二教)やってみぃ。」
キョトンとして言われたとおりお互いに二教をする先輩ふたり。
手首の関節を極められ痛がってはいるものの、こう着状態が続いている感じです。
「それもええんよな、やけど、ホントはな、二教はここまでかけたい」
師範が交代すると、ガクンと膝から崩れる先輩の姿が。キョトンとしていたかと思えば、なんだか顔が笑ってる??
「あはははは あははは 師範、手が離れないっす! 痛くないのにあははは」
関節技をかけられているのに笑い転げている光景は、見る人が見ればきっとヤラセ??って思うでしょう。
「相手が鏡なんよな」
「あああ相手が教えてくれるんよな。自分の技が上手くできとるかどうかは、受けが教えてくれる。崩れ方を見るんよな。自分の膝なら膝が上手く使えとったら、相手は膝から崩れる。」
「それからの、合気道で一番強いのはな、相手を笑かす技なんよな。自分が笑たら相手も笑う、相手が笑たら自分も笑うやろ。
……相手が鏡なんよな。」
学生は学生でいろいろ大変だと思う、部活の雰囲気がいい時も悪い時も「相手が鏡」これを思い出してくれたら嬉しい。
あれから20数年経ちましたが、師範が教えてくれた一番好きな言葉です。
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