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サンディエゴ大呪術合戦!

 安倍晴明が五芒星を逆にした印でアノヨから魔物を召喚して暴れている。サンディエゴの夏。   
 繰り返される破壊と殺戮。無限に湧く魔物に支配され死都となったその街は、もはや地獄の形相を見せていた。
 
 ブロロロロロ……。
 しかし、今ここに、1台の車が走っている。いや、その後に続く2台の…いやその後の10台…20台…………その数100台以上!

 全員窓やサンルーフから体を出して武器を振り回している。
「オラーッ!かかってこいや晴明!」「出てこいコラッ!」
 モヒカンチンピラやコーンロウ屈強黒人が叫び、サンディエゴの赤と黄色の市旗を掲げる!

 彼らを率いて、トップを走るのは旧式のダッジモナコ。
 そのボンネットに、胡座で座る巨漢の坊主がいた。「………」
 彼は目を瞑り、まるで車の一部かのように動かない。
 
 夕暮れのサンディエゴ。
 彼らはただ前を向いて走り続ける。

 高速で過ぎ去る椰子の木。カーステレオから流れるヴェイパーウェイブ。人々の死体。海と海岸沿いのアザラシ。魔物。地平線。記憶。
 
 彼らの目的地は、長い高速道路のその先は……炎上するサンディエゴのダウンタウン!
 その中心部にあるのは、安倍晴明の巨大五芒星!
 
「見えてきたぞ!」
 誰かが叫んだ。先の空が真っ赤に染まっている。燃えているダウンタウンの光だ。


 しかし、その時!
 ドゴーン!と側壁から飛び出す巨大な質量!それは、全長5mはある一つ目の鬼だ!それは雄叫びをあげ、ダッジの前に立ち塞がる!

「おっさん!」運転手が叫んだ!

 だが、そんな突然の魔物の出現にも動じず、ボンネットの男は笑っていた。
 男は、ゆっくりと立ち上がる。道着の袖が風を受けて激しくはためく。彼は言った。

「1000年ぶりだな…晴明!」

 そして彼は空手を構えた。すると突如、その両拳が発火し、邪悪な紫焔を纏う!

「再び、この道満の暗黒空手の前に平伏すがいい!!」

 次の瞬間!
 道満はボンネットを蹴って跳躍する!
 そして、降り注ぐのは、紫色の空手!!!



【続く】

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