娘のチャレンジを「小学生VTuberハッカソン」なんて大袈裟に公表したけど、実はそんな次元の話じゃなかった件
前回の続き
バーチャルYouTuberになりたい!しかも、自分が描いたイラストを自分でアバターにしてみたい!という、とっても夢のある思いつきをしてくれた娘あいかのために、単身赴任中の僕は、買ったばかりのPCとペンタブレットを持って、長距離バスに乗り込んだ。
思いきって週末を合わせた三連休を用意したため、朝方まで仕事が立て込んでしまい、ほとんど仮眠すら取れていなかったが、どちらにせよここ最近は、楽しくて楽しくてなかなか寝つけない毎日だったので、それほど気にしていなかったし、とくに疲労感もなかった。
あいかと直接連絡を取り合えるようにと、初めて僕のお古のスマホを渡して以来、彼女からはちょこちょことメッセージが届くようになった。
楽しい「親子VTuber」の打ち合わせで癒されるのも嬉しかったが、実際には更に、まったく期待していなかったサプライズ的な発見もおまけでついてきた。
お古のスマホなので、当然電話もメールもできない。つまり、自宅Wi-Fiに繋いだタブレット代わり、といったところだ。必然的に、googleやYouTubeのアカウントは、僕の開設した状態のままだった。
つまり、離れ離れの二人のスマホが、常に同期したままなのだ。検索履歴はリアルタイムで両方に表示されるし、おすすめ動画なども流れてくる。
これが、予想以上に面白い展開に導いてくれた。
まず、動画の検索履歴
「バーチャルユーチューバー あいさつ」「VTuber デビュー」などの文字が並ぶ。
意識してる・・・。かわいい。
小学生の無意識の行動、興味の向く方向性、しかしそれは、立派なマーケットリサーチでもある。理に適っている。
google検索は、もっと面白い。
「宿題がはかどる曲」「こどものねんざの治し方」
・・・これがリアル小学生の破壊力かっ 父親なのに、鼻血出そうになる。
さらに攻撃力は高まる。
ここ最近、頻繁に「お願いダーリンねえ聞いて欲しいのは形じゃないもの」など、むっちゃ長い文字が並ぶようになった。
何のことか、僕にはさっぱりだった。しかも、どうやってあんな小さなスマホの検索窓にこんな長い文字を???
その答えは、後日判明する。衝撃とともに・・・
会いに行って、遊んで、しゃべって、落ち着いたある時、ふとのんびり静かに二人それぞれスマホをいじっていると
「ポロロン♪」
あいかのスマホから、音声認識の合図がなる と、その途端っ
「ねぇー テストにかーいたーゆめー きーみーのハーイラーイトー♪」
一瞬、何が起きたのか、理解できなかった。
歌ってる。あいかが、スマホをマイクのように握り、突然がっつり歌いだしてる。
しかも、音声検索のほうが先に音を上げ、「ピンポロロン♪」と認識終了しても、お構いなしに歌い続けてる。
そうか これが、彼女の検索方法だったのか・・・
ちなみに、今現在、僕のスマホの検索履歴トップの表示
さて、話を戻そう。
少しさかのぼって、出発の数日前。
仕事も調節し、あと何日後かには会いにいけるとウズウズしていたある日、突然あいかから「1日目は学校だし、2日目も学校の行事があるから、ほとんど家に居れない」とのビッグニュースを聞かされる。
正直、今回は完全に「週末2日間みっちり、一緒にアバター作りに専念する」つもりでいたので、戸惑った。
本人はとっても楽しみにしている。しかも楽しみ過ぎて、クラスのみんなにも話したらしく、仲良しのお友達が見学に来たいと言っているとも。
う うん それはもちろんいいさ 大歓迎さ。
ただ、う~ん どうだろう 正味何時間? 1日以下?
「で できるのだろうか・・・」
もちろん、せっかく興味を持ってくれたお友達をないがしろにはできない、したくない。できれば一緒にチャレンジさせてあげたい。
しかし、パソコンは1台。
中途半端なところでタイムオーバーになってしまえば、一番悲しむのはあいか本人だろう。「だったら、最初から期待させなければ良かった」なんてオチも、容易に想像できる。
なんせ、次の機会、つまり父娘が会うのは、一ヵ月後になってしまうのだから・・・
しかーしっ 今そんなことクヨクヨ悩んでも仕方ないさっ
なるようになれっ
あー 会いたいさっ パパだって会いたいさっ
来てほしいなんて言われて、予定変更なんてできるわけねーーーんだよっ!!!
そんなわけで、ノープランのまま、僕は高速バスに乗り込んだのであった。
その後の展開は、YouTubeとツイッターに公開した時系列のとおり
苦し紛れ、という訳ではないが、「どうせ時間が限られてるなら、その制限を逆に楽しんじゃえっ」と思いついたのが、この【小学生VTuberハッカソン】という企画。
あいか本人は、なんにも気にしてなかった。僕のほうが、時間を十分に割いてあげれない免罪符、という感覚だったのかもしれない。
そして、いよいよ始まる、親子最大のチャレンジ(←パパ的に。繰り返すが、あいかは、まったく気にしていない)
結局、初日は夜のみの作業となってしまったが、その割には驚くべき集中力と吸収力で進めてくれたと思う。
そしてついに、訪れた運命の日、チャレンジ最終日(←しつこいようだが、大袈裟なのはパパだけ。あいかは、なーんも気にしてない)
お友達が来てくれたことで、確かに作業ペースは遅くなったが、盛り上がりは絶好調!やっぱり楽しいのが一番。
これは今だけの課題じゃない、ずっと好きでいてほしい、ずっと楽しい思い出として残ってほしい、未来を変えるかもしれないきっかけなのだから。
話は変わるが、実は2日目の朝、上記のツイートよりも先に、もう一つ、報告ツイートをあげていた。
「朝起きたら、誰にも言われずに自らパソコンの前に座って作業を始めたあいか。娘の成長にパパ涙」という内容で、リアルタイムで追ってくださってた方々にたくさんいいねをいただき、本人も喜んでいたので、覚えてくださってる方もいると思う。
しかし、なぜかいつの間にか、そのツイートが消えていた。
まったくのツイッター初心者の僕が、誤って消してしまったのか?真相はわからないが、今でも悔やまれる。
そうそう、このお友達が合流してくれたタイミングで起こった出来事が、こちら
想像してみてほしい。
「けもみみおーこく国営放送」のエンディング曲をスマホで流し、その曲に合わせて、FaceRigでモーションキャプチャーした状態のコが、顔をぐうぃんぐうぃんと振り回す。
当然、すぐにモーションキャプチャーが外れる(つまり、こどもだけぐうぃんぐうぃんしてて、アバターが真顔に戻る)
「あーーーwww んもぉーーーーーーwwwwww」とタメ息まじりの爆笑で、ひたすらぐうぃんぐうぃん。
それを見てるほうも、大爆笑(なぜか、待ってるほうもぐうぃんぐうぃん)
曲が終わると、「はーーーーい つぎっ」と、まるでブランコの順番待ちのように交代して、またぐうぃんぐうぃん。
やめてくれ・・・・ 父親なのに、父親なのに、萌え死ぬ。
結局、しばらくのお遊びタイムの後、三人でランチを食べにお出かけすることを僕から提案した。
この雰囲気に、水を差すことなんてしたくない。もっともっと、関わることすべてを「楽しい思い出」にしておいてほしかった。
※おまけ情報
僕は初めて会った、そのお友達ちゃんは、蓋を開けたら、とんでもねーーーほどガッチガチのYouTuberファンだった。そのおかげで、僕より全然業界に詳しい彼女に、食事中ずっと今後の活動に有益なレクチャーを受けることとなる。
さて、すっかり打ち解けて気を良くしたお友達ちゃんとあいかは、「今日はお泊り会にしたいっ」と言い出す。
時折、あいかは僕のほうを見て、悩ましい表情をする。
うん、わかってる。楽しいのが好きで、パパも好き。パパは明日の朝帰っちゃう。二人っきりの時間もほしい。いっぱい甘える時間もほしい。でも、お友達と楽しい今も好き。
こんな純粋な彼女の気持ちを、くんでやれないはずがなかろうが。
「いいねーーー♪パパ大賛成だよっ」と乗ってみせる。パァーーーーッと表情が明るくなる娘。
うん、これで良かったんだ。
ツイッターで経過を待ってくださってる方々には、あとで謝っておこう。
これは、僕が勝手に企画したことです、彼女は何も悪くないですと。
しかし・・・夕食後に、感動のサプライズが。
あいか、無言でパソコンの前に座り、淡々と続きの作業を開始する。
※その間、僕は再びお友達ちゃんから、濃厚なYouTube活動のレクチャーを頂く
そして、こちら
実際、あいかも、相当疲れていた。
そりゃそうだ、まだまだ慣れない作業、お友達ともめいっぱい遊ぶ。その後に、さらに自主的に続きをこなす。
リング上に、タオルを投げ入れたい気分だった。
あいかに、落ち着いた口調でゆっくり尋ねる。
「もういいんだよ。無理に今日中じゃなくても、またいつでも続きできるよ。パソコンもこのままプレゼントするから。疲れたでしょ、もう今日は終わりでもいいんだよ?」
そして、あいかからの言葉
「ううん、パパがいるうちに、最後までやりたい。」
・・・ねえ神様 僕は、どうやって、この流れ落ちそうになる涙を堪えたらいいんですか
そして、フィナーレ
最後のLive2Dの部分は、だいぶ、ううん、ほとんど、僕が手伝った。
リアルタイムで見ててくださった方、誇張表現に伝わってたら、ごめんなさい。
でも、だって、あいかは頑張ったんだよ 本当に、本当に、がんばったんだよ
僕が止めたんだよ、「いいよ、あとは、パパが頑張って、一気になんとか、動かせるとこまでやってみるから、あいかは休んでて」って。
そしたら、「・・・うん」って言って、そのままお布団に、ぽてんって倒れこむんだよ。
彼女のがんばった事実を、ネット上で盛大に尊重したっていいじゃないっ
こうして、僕ら親子の挑戦は、終わった。
ここから先は、翌朝の高速バスの中でツイートした、僕の勝手な総括振り返り集です。
えらそうでしょ えらそうに述べてるでしょ
実際は、ワタクシ、バスの中で、ずっと号泣してます。
強がってないと、声が漏れちゃって、ダメだったんです。
嬉しくて、切なくて、有難くて、尊くて
ごめん、なんかもう、俺の望むもの、全部ここにあるや
これから、僕ら親子が、どうなっていくのか、どんな展開が待っているのか、それは誰にもわからない。
僕らにも、わからない。
だからあえて、ここで先に言っておこう。
僕らは、別に有名になりたいわけじゃないんです
お金を儲けたいわけでも、人気者になりたいわけでもないんです
ただただ、父と娘、心を繋いでいたいだけなんです
この「バーチャル」というキーワードを介することで
離れていても、本当に「手を繋ぐことができる」って知ってしまったんです
だから、もう止まらないんです。
別に、どこを目指してるわけでもない。ただ、止まらないんです。
あいかとパパ、ずっと仲良く、手を繋いで、前に進んでいきます。
最後まで、お付き合いくださり、本当にありがとうございましたっ
あいかパパでしたっ
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