流動する絵画 ・ 祈りの果て

皆さま元気にお過ごしでしょうか。
このような時代ですが、どうぞ心身ともに健やかに過ごせますようお祈りしております。

私も色々とライブなど演奏活動が延期・中止になり、今は楽曲制作を進めているところです。

時間が空いてしまいましたが、昨年リリースしたソロアルバム「muonk」について、また少しずつ解説を書いていこうかと思います。


◾️M02 流動する絵画

"有機的とは…多くの部分が緊密な連関をもちながら全体を形作っているさま。"

私が何となく捉えていた「有機的」と、辞書で引く「有機的」にはかなりの相違があって、それがこの曲を作るヒントになりました。

有機農業?オーガニック?なんとなく柔らかいイメージを「有機的」という言葉に持っていたのですが、本当の意味って何か真逆なような。

「多くの部分が緊密な連関をもち」ふむふむ。
「それが全体を形作っている」ふむふむ。。

どうやって音で表現しよう。

点を細かく打ち続けると線になって、音程も楽譜に書いてしまうと半音、全音のような書き方になるけど、本当は440Hz、441Hz...って1Hzずつ微妙に音程を変化させることが出来るんだよなぁ。

それで冒頭では、音と音のつながりを平均律ではなくて、もっと細かいところで繋げたくて、敢えて楽譜に書けない音程を歌い何声か重ねています。と、同時にヴァイオリンも同じように調に捉われない音を弾いてもらいました。

途中からはヴァイオリン、歌、ピアノがポリリズムになっています。(ポリリズム多用しまくりなアルバムです。笑)

歌とピアノは4拍子でヴァイオリンは7拍子、途中から歌も7拍子になり、最後に3楽器とも7拍子で揃う。

後半は6拍で進行していきます。
ここからまた徐々に冒頭のような表現があるのですが、前半の生っぽさから少し広い空間にしていきたかったので、歌にはモジュラーシンセをかけています。自分でツマミをいじりながら、声の音色をより深く広げていきました。ヴァイオリンにも沢山のエフェクターを使ってもらい同じような空間を作ってもらいました。

楽曲の最後はもう宇宙空間のようです。笑
宇宙のように広いけど、本当は人間の身体の中に通っている血管とか細胞の集まりをイメージしています。

「多くの部分が緊密な連関をもち」
「それが全体を形作っている」

まさに人間の身体かな?って思ったのでした。


◾️M03 祈りの果て


初期段階にある程度固まってたのに、全然仕上がらなくてお蔵入りにしようとしていた曲です。曲の中で色々実験はしているのですが、楽曲自体がなかなか良くならなくて最後まで悩んでいました。なんだかMixやマスタリングをしてくださっていくうちに良くなったといいますか、、、

音を詰め込み過ぎてたのだと思います。それを聴き取りやすくするために、丁寧に作業してくださったお陰で、マスタリング終わった頃には「いける!」という気持ちになりました。

挑戦したこととしては、まず冒頭のリズムのズレです。マリンバ・シロフォン・シンセの3楽器は同じリズムを叩いていますが、半拍ずつのズレがありまして、それで畝りみたいなものが出せたらと思いました。↓図参照

画像1

次にピアノを同じ音で2つ重ねたとき。
一方はベロシティを一定に、もう一方はダイナミクスをつけて、少し左右に振って。単品で聴くとおお!良い畝り!って思ったのですが、曲の中で聴くと他の音がモリモリでよく分からない、、。笑

それから歌ですが、生の歌以外に、1音1音「あーーーー」とロングトーンを半音ずつ録音しまして「かまのサンプラー」を作成しました。手作り初音ミク?のようなものです。なので鍵盤を弾くと自分の声が鳴る仕組みになります。それを3パターン。地声、オペラ声、ウィスパーボイスで録って。←これほんとにね、ほんとに大変だった。笑

歌は生歌と「かまのサンプラー」を重ねて制作しました。サンプラーはサンプラーで生では出せない表現があるから、両方を重ねてみたかったのです。結果的にとても良い風味を出せたように感じています。

このように、色々実験はしてるのですが、詰め込みすぎてあまりよく分からない。泣

勢いのある良い曲にはなったのですが、それぞれの実験を生かせる曲をまた別に作っていきたいなと思っております。

ライブでやるのはとても難しいのですが、個人的にはバンド編成で「祈りの果て」をやるのはとても好き!!!うおーーーって心の中でかなり盛り上がっています。


また他の楽曲にも触れていきたいと思います。

読んでくれてありがとうございました◯

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