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「ちょっと背伸びした行動」がもたらしたデザインの学びについて

はじめに

こんにちは🌱 鈴木愛佳です。
気づけば前回の初投稿から一年経っており、時間が経つのは早いとつくづく感じる3年の秋、この頃です…。

noteに投稿はできなかったものの、この一年の中で起こった様々なことは言語化して自分の中に蓄積していました。

しかし、このタイミングで今回noteを書いた理由は二つあります。

一つ目は今週末10/20.21.22の3日間、札幌でのデザイン学会に参加するためです。
今回タイトルにもある『「ちょっと背伸びした行動」がもたらしたデザインの学び』というのは、
6月に芝浦工業大学豊洲キャンパスで行われた「第70回 日本デザイン学会 春季研究発表大会」に参加した3日間の最終日によって得たのです。

私にとってデザイン学会というのは特別な意味を持っていました。
今回参加する前に改めて振り返り、言語化して発信することで、自身に喝を入れようと思ったのです🔥

二つ目は、前回のnoteをきっかけに私自身の変化が多くあったためです。
デザイナーを目指すのだ、という決意表明として大きく機能してくれたことに加えて、思ってもみなかった周りの声がとても嬉しく、私の中で大きな自信になりました。

そんなこんなで、もう一度noteを発信してみようと意を決したのでした😌

今回もとても長くなってしまったのですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


デザイン学会 春季研究発表大会

芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催されたデザイン学会の3日間は、デザインの熱を直に浴びたようでした。
満足感や多幸感、燻るような大きな感情を抱えて、この熱を冷まさないように、冷まさないようにと同期(以後Aと表記します)と沢山対話を重ねました。

ホテルに帰るなり、
「この発表が良かった!!」と自分の持てる言葉で精一杯言語化してみたり。
「何か凄すぎて逆によく分かんなかった……」と自分たちの未熟さを痛感したり。

こういう事じゃないかな?とIPadの無地のキャンバスに、視覚化を用いてお互いの解釈を擦り合わせることに熱中したあの夜はきっと忘れることはないと思います。

そんな濃密な3日間を通して、最高潮に熱が高まっていた私とAの間には、お互いには言わなかったけどきっと、

「なにかやりたい」

という気持ちが湧き上がっていたのだと今なら思うのです。たくさんのインプットを得て刺激された欲は、

「ちょっと背伸びした行動」を引き起こし、想定していなかった失敗と驚き、そして喜びの連続は、私達を学びと気づきの渦へ誘発しました。

これは、そんな私たちのちょっとした冒険譚です🚩

計画になかった行動


「博物館にいこう」

デザイン学会最終日を終えた後、私たち二人はものの数秒でお互いの合意を形成しました。

「東京の博物館へ行き、資料集めとフィールドワークをする」
これは当日まで計画には無かった、突発的な行動だったのですが、デザイン学会の熱冷めやらぬまま静岡に帰る訳には行かない……!という直感と「なにかしたい」という、うずうずした私達の心が導いた「ちょっとの背伸び」だったのです。

ハプニングの連続

スマホを片手に、すぐさま博物館への道のりを調べます。
東京の路線は、家の電気機器のコードよりも複雑に絡み合っているようで、慣れない土地に四苦八苦しました。

「ここで乗り換えて…って、合ってる…?」
「まって通り過ぎた!」
「東京のバスって前から乗るの?!面白い!」

スマホという地図を携えたまさに旅人のように、あっちこっち駆け回って色々なものに一喜してようやく着いた博物館は、旅人を前にしたダンジョンそのものです。

閉館の時間までそんなに時間もないため、急いで資料を集め、写真を撮り、お話を聞き……
ゆっくりは出来ませんでしたが、とてもほくほくした気持ちで博物館を後にしました。

…しかし、なんやかんやありつつ順調に思えたこの旅のハプニングの連続はここからだったのです。

お互いにスマホとにらめっこしていたことが原因で充電が尽きかけます。
モバイルバッテリーを借りられるサービスをコンビニで見つけ藁にもすがる思いで利用を始めたと思ったら、今度はホテルの領収書を貰い忘れていたことに気づき…。
荷物を持ち帰えりがてらホテルで手続きをしたのですが、何やらトラブルがあって長いこと待機。
刻一刻と時間が過ぎていきます。

交通費を浮かすため鈍行で静岡まで帰る予定だった私達は、終電もやむ無しかな〜と思いつつ、帰るまで2.3時間はかかることを想定すると、そろそろ電車に乗らないと焦り始める時刻になっていました。
心もとない充電と、暗号のような路線図…

加えて、どんなときでも情けなくお腹はすくもので…

私達は疲弊しながら、東京の魔の側面を目の当たりにしたのです。
まさに、凶悪な敵を目の前に奮闘する旅人のごとく。
(単に不慣れ過ぎている部分が大きいのですが)

……しかし奮闘虚しく、極めつけには
「電車が止まる」というレアな緊急事態も発生してしまったのです。
夜の東京にぽつり二人の田舎者。これには流石の私達もガックリ肩を落とし、「しばらく動かないよ」という駅員さんの言葉が更に追い打ちをかけたのでした…。

慣れない路線ばかりでややパニック状態の私達は、電車が止まったことで激しく忙しそうな状態の案内窓口を後にし、
「とにかく行ってみよう」と未知の魔境に踏み込んでいったのです。

「帰る」ということ

ただ、家に「帰る」という行為がこんなにも障壁だらけで過酷なものだとは生きていて感じたことはありませんでした。

家を出て、いつもの電車に乗って、いつもの駅で降りる。大学に向かい、授業を終えたらまたいつもの駅へ帰っていく…。

いつもの日常がなんて生ぬるいのかというのを痛感し、「帰る」という行為の原初的な部分に立返ることで、「当たり前」を疑う機会になったのでした。

私たちが本当の意味で人間を理解するためには、こういった、当たり前すぎて見逃しているような人間活動を細やかに見つめ、自分自身が体感することで初めて自分の中に知を蓄え、社会に還元できるのだと思うのです。

そういった意味で、私たちはこのトラブルの連続をマイナスに捉えることは無く、むしろ
「いい経験だ」
と笑いあったのです。

温度を持った関わり

魔境に踏み入った私達は、静岡に帰るべく、何とかして帰路を見出そうとしていました。
駅員さんから矢継ぎ早に聞いた路線を辿るように確認するも、”絶対失敗できない”という意識が冷静さを失っていき、
「こっちじゃない?!」「まってこっちかも!!」
と、言うことが2転3転していきます。

段々ホームにいる人が少なくなっていることに焦りを覚えながら、”おそらく”乗るべきであろう電車の到着を予告するアナウンスが無慈悲にも聞こえてきたとき、
私達は「道を尋ねる」ことにしたのです。

「すみません…!」

意を決して、というよりかは半ば助けを求めるような形で話しかけたのは40代くらいの女性でした。
驚きながらも、キャリーケースを携えた私たちをみて一瞬で理解してくれたのか
「とりあえずこれに乗りましょう!」と同伴してくれたのです。

電車の中で感謝の言葉しか出ない私たちに、その女性はにこにことした笑顔で「大丈夫よー☺️」と安心の言葉をかけて下さったのでした。

大学と家の往復で、静岡から出ることもままならなかった私からしたら、たかがこんなこと、と思われるようなことも壮絶な冒険で、助けを求めることも最初は勇気がいることでした。

そんな過酷な冒険の半ば、私達は頼もしすぎる協力者を得て、さらに確実な航海図を得たのです。

「次降りて、2番ホームに行って、それで…」
と丁寧に教えて下さった女性は、横浜にずっと住まわれている方でした。

「また横浜に来てね」

最後、そんな言葉で送り出してくださったことに私達はそれはもう感無量で、その女性を連れて電車が過ぎ去るのを見送った後、言葉にならないこの高揚感を必死に言葉にし合おうとしました。

この経験を経て

デザイン学会の中で感じた、「社会の中の人々」よりもよりミクロな「人」そのものを見つめる視点と繋がるような気配を感じたこの体験を振り返ると、
機能的なモノやサービスが溢れる都会で、他者と温度をもった関わり合いを体感したことは何か特別な原体験になったような気がしたのです。

そしてこの体験によって、私達にとっての”横浜”という固有名詞に新たな「意味」が加えられた瞬間でした。
”横浜”という言葉を聞いたら、この出来事を思い出すなんて、素敵だなぁと思うのです。

そしてそれは、量産されたサービスや産業のためのアプリケーションでは成し得るのことが難しい到達点なのではないか。

ひとりひとりがオリジナルの「意味」を蓄積していくことが、人々にとっての本当の”豊かさ”に繋がるのではないか。

この体験を経てそんなことを思ったのです。

デザイン学会の熱に後押しされて突発的に発生した「ちょっとの背伸び」は、色々な事象に揉まれ、ぶつかり、一喜一憂しつつも、最後には「果てしない満足感」と「デザインに繋がりそうな新しい学び」を得たのでした。

おわりに

振り返ると、僅か4ヶ月前なのに、遠い日の様です。今では東京に行く回数が急激に増加し、南に行ったと思ったら今回は北に行ったりと、大分移動距離を広げることに慣れてきました。

それでもまだまだ自分の知らないこと、触れたことのないこと、それ故に恐れていることがいっぱいあります。

移動した距離こそが価値観を広げ、自分の世界を広げるのだと信じて、これからも「ちょっとの背伸び」のような小さくとも偉大な勇気を携えて色んな所に旅にいけたら良いな、と新たに札幌で行われるデザイン学会を前に、思うのです。
(もう1日目始まっていますが…!)

長文をここまで読んでくださり、ありがとうございました🙇‍♀️


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