パクチー


今日は朝早くから電車に乗っている。眠気に負けないようにしているけど、けっこうギリギリ。
そんな瞼も落ちそうな俺の首に突然…

(((ワサワサ)))

なんかついてる!というかなんかとまった!?
瞬時に左手で払い除けたら、床にビターン!と何かが叩きつけられた。
動いている…当方、目が悪いもんで座っている位置からソレが何なのか見えない。なんだか立って近づいて確認するのも恥ずかしい。だけど、すでに車両の皆さんから俺に視線が向けられていることを全身で感じている。
知らないフリをしながらここで文明の利器!スマホのカメラでズーム機能をつかう!

ズズズズーム…📷

カメムシじゃねえかよ!!!

え、首にカメムシとまってて、そんで今この車両の中で俺は「カメムシ投げた人」になってんの?
「え、今この人カメムシ投げた?」ってその目の前の雰囲気菅田将暉も思ってんの?
やだ、やめて。誰も悪くないよ。

すかさず左手の匂いをかいだが無事なようだった。よかった。左手から匂わないということで、きっと首からカメムシの匂いもしていないことだろう。

話変わるようで繋がるけど、【パクチー】てあるじゃないすか。パクチー嫌いな人って大体匂いがダメっていうし、カメムシの匂いがするっていうよね。まぁ、パクチー好きからしたらよくわからんのだけども。
そのパクチーをね、16歳くらいまで【クシティ】だと思ってたの。むしろ「クシティってパクチーだったんだ!?」みたいな。
地元与那国島ではパクチーをクシティて呼んでたのね、給食にもよく出るし、献立にもクシティサラダって書いてあったし。だから島を出るまでクシティのことをなんら疑わずモリモリ食べて生きてきたわけです。
都会に出てスーパーでクシティと感動の再会をした時「パクチー」として売られてて「はにゃ?君クシティよね?」てクシティ信者の俺はパクチーを疑ったのよ。真実を知った時は衝撃だったね。都会でクシティと言ったら通じないわけだよ。
クシティはね、ツナ和えして柚子醤油で食べるのがいちばん美味い!

なんてことをこの首に飛びかかってきたカメムシを見て思い出した。
クシティ食べたくなっちまったな…。
いやまて、カメムシ見て食欲でた人みたいになってない?
違う 違う そうじゃ そうじゃない!と俺の中の鈴木雅之が歌い、目の前の雰囲気菅田将暉に心の中で弁解しながら電車を降りた。
カメムシ投げつけた人と思われながら電車をおりたんだ。

今日もがんばろ


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