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『かつて憎んでいた母に1年ぶりに会った日』2023/05/26 日記

・如月愛歌です。
うつ病だったりと色々あり、暫く人生のお休み中って感じで一人暮らしまったり過ごしている人です。
まあまあ広く浅く、だいたいなんでも好きです。
詳しくはこちらにて。


・5月の目標は『週2外出』です。


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・0時就寝、12時半起床。


・母親は今はグループホームで生活をしているが、その前は病院で数ヶ月か入院をしていた。その間は私と同じ住所に移し、書類を代わりに管理していた。
その書類を、グループホームの施設長に頼まれて持っていくこととなった。

・グループホーム……ではなく、関連施設のB型事業所で待合せ。バスに揺られる私。
この時、予感にも近い密かな『覚悟』をしていた。



・乗ったバスは前乗り後払い。
障害者手帳を持っているので割引が適用される。
入手して初めて提示することになる。ただ運転手さんに見せる、たったこれだけの事だが何事も初めてというのは一歩を踏み出すことに物凄く気力体力を使うものなので、バスに揺られながらシミュレーションを何度も繰り返していた。手帳を出して怪訝な顔をされたらどうしよう、なんて事も考えてしまう。

・さて降車だ。
まるで何度も繰り返していたかのような手つきで手帳を見せる。頷く運転手。料金を支払う。なんの問題も無く降りることができた。
案外、一歩を踏み出した後はあっさりしたものかもしれない。


・事業所に着いた所で突然ご年配の方に声を掛けられる。どうやら道に迷われたようだ。
教えようとするも、土地勘が無いせいでうまく説明ができず結局断りを入れてしまった。
そのタイミングで施設長と合流。そのご年配と顔が合ったので事情を説明して話を引き継いでもらった。施設長には手間を掛けてしまったが、ご年配の方が無事に理解したようで何よりだった。
私が説明するより良い、これもまた善行だと信じる。


・閑話休題。
立ち話も早々に事業所の中へ入る。
本題に入る前に、施設長は「母に会ってみないか」と問い掛けられた。
予感は的中した。用事ついでに会うだろうなと思った。
どうしようと悩むより先に「会わせて下さい」と言葉になった。

・今思えば病が母を狂わせてしまったのが分かるものの、金の無心をしたり近隣に迷惑を掛けたり等で散々苦しめられてきた。
そろそろ向き合う時がきた、うつ病の元凶である母に会う『覚悟』を。


・椅子に腰掛け、周りの方々と同じ様に机の上で作業をしている母。
作業中の母に支店長が声を掛ける。
母がゆっくり振り向く、私を認識する。
母がゆっくり立ち上がる、私の手を取る。
母がゆっくり口を開く、私は

「愛歌……愛歌なの?会いに来てくれたの?」


「ずっと会いたかった」




壊れた。何かが壊れた。
涙がとめどなく溢れてきた。

恨み言の1つでも吐いてしまおうかと思ったけど、その気は失せた。
まるで呪いが解けたように、心を解くように、「会いに来たよ」と言って母の手を握り返した。


・施設長の計らいで時間を取って母と話すことにした。
主治医や施設長の話の通り、母の病状は落ち着き見違える程に穏やかな姿をしてきた。
「本当に落ち着いたんだな」とぼうっとしたのも束の間、しきりに私の話を聞きたがっていたので、入院をした事・一人暮らしを始めた事・仕事を辞めた事・療養しつつ仕事を探し始めている事etc…語った。
うつ病であることと、その理由が母であることは伏せた。
言った所で多分伝わらないだろうし、母も統合失調症のせいでめちゃくちゃな行動をしていただけで今の母は何も悪いことをしちゃいない。せっかく娘に会えたのに曇らせるような事を言うのははばかられた。
なかなか自分の話をしたがらなかったのもあり、会話が噛み合わない場面もあったが、母は満足そうに話を聞いていた。
体調を案じたり、お茶を注いで渡してくれたりの母なりの気遣いも見られた。
その行動が信じられず、でも嬉しくてまた涙を零した。

・もう許したよ、全部全部。
いや、許されたかったのは私の方かもしれないな。全て病の仕業にも関わらず母を憎み毒の親と許せなかった私を。
思わず「ごめん」と零した。
返答はなく、私の言葉が聞こえたのかもすら分からず、母はただただ私の顔を見つめて微笑んでいた。


・30分近く話した後、施設長とも話をする。
さっき聞けなかった母の様子を伺った。
母は根を上げることなく真面目に仕事に取り組んでいる事、いつも穏やかに過ごしていた事、かなり耳が遠くなっていた事、私に会いたがった事……。


・元々の用事である書類は、必要な内容が見当たらなかったようでそのまま私が預かることになった。
もし母に会わずにいたら今日の日記はもっと短かったであろう。「無駄足だった」なんて書いたのかもしれない。


・その後のことはぼんやりしている。
なんだか真っ直ぐ帰る気になれなくて、かなり寄り道をしたような。
途中ベンチに腰掛けては今日の出来事心の動きを忘れぬよう文章を書いては消して纏めてを繰り返していたのは確か。


・ふと空を見上げた。
何処までも眩しかった。



・今日はこの辺で。






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